ブルックリン

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劇場公開日:

ブルックリン

解説

1950年代、アイルランドからニューヨーク・ブルックリンにやってきた移民の少女の青春や揺れ動く心を、「つぐない」のシアーシャ・ローナン主演で描き、第88回アカデミー賞で作品賞、主演女優賞、脚色賞にノミネートされたドラマ。脚本は、「ハイ・フィデリティ」「アバウト・ア・ボーイ」の原作者で、「17歳の肖像」「わたしに会うまでの1600キロ」などで脚本家としても活躍する作家のニック・ホーンビィ。監督は「BOY A」「ダブリン上等!」のジョン・クローリー。大人しく目立たない性格の少女エイリシュは、妹の将来を案じた姉の勧めで、アイルランドの小さな町からニューヨークへとやってくる。それまでとはあまりに異なる大都会での生活に戸惑うエイリシュは、しかし、イタリア系移民の青年トミーとの恋をきっかけに大きく変わっていく。洗練されたニューヨーカーとして生き生きと日々を過ごすエイリシュだったが、そんな彼女のもとに故郷からある悲報がもたらされる。

2015年製作/112分/G/アイルランド・イギリス・カナダ合作
原題または英題:Brooklyn
配給:20世紀フォックス映画
劇場公開日:2016年7月1日

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第73回 ゴールデングローブ賞(2016年)

ノミネート

最優秀主演女優賞(ドラマ) シアーシャ・ローナン
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(C)2015 Twentieth Century Fox. All Rights Reserved.

映画レビュー

3.5彼の空、彼女の光

2016年8月18日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

「BOY A」は、私にとって特別な映画だ。忘れ難い、希望と絶望。あの映画を作ったジョン・クローリー監督の新作と知り、これは観逃せないと思った。そして、脚本は、イギリス映画秀作には必ず顔を出す、脚本のニック・ホーンビィ。これはもう…!と、いそいそ劇場へ。 ヒロインが渡米する船のデッキ越しに広がる一面の海と空、恋人とデートする海辺の遊園地、故郷の浜辺…。中でも遊園地は、パステルカラーと楽しげなざわめきに彩られている。希望と幸せに溢れているはずなのに…空が重たい。雲ひとつないものの、どこかくすんで寂しげだ。 新たな世界に飛び込み、人と繋がり距離を縮めることの喜びと恐れ。そして、他者と近づくほどに、埋められらないと痛感させられる孤独感。「BOY A」と共通するものを感じ、すっと引き込まれた。 本作のヒロインは、帰郷により新たな世界から一旦離れ、飛び出したかつての居場所を新たに見つめる機会を持つ。揺れる彼女の選択は…。もどかしくも踏み出せなくなる彼女を後押しするのが、何とあの人物!…という点が、とても効いている。この意外性が、本作の魅力をぐっと押し上げていると感じた。 出逢いとは、つくづく妙なもの。親切で心優しい人以上に、思い出すだけで身の毛がよだつ、忘れられない嫌な出逢いもある。忌み嫌いたいものへの全面対決が、あらたな道への突破口となるのかもしれない。その時は不幸と思えた出来事が、後から思えば、何にも代え難い体験とるのかも…。そんな様々な過去の情景が、とりとめなく頭を駆け巡った。 人生は、不思議に満ちている。ヒロインを包み込む、ラストのあたたかくも力強い光が印象的だ。そういえば、船からの海と空、入国審査所の扉からも、光が差し込んでいた…! 闇あっての光。そんなことも感じた。

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cma

2.5クサレ男子鑑賞注意。見た目はオサレムービー、中身は硬派な「故郷」を棄てて「故郷」をまとった移民賛歌。

2016年7月2日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

楽しい

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しんざん

4.5人生の初心を思い起こさせてくれる”旅立ちの物語”

2016年12月31日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

楽しい

誰もが共感できる“旅立ちと新生活の始まり”のストーリーを、俊英監督と女優シアーシャ・ローナンが見事なまでに初々しく、かつヴィヴィッドに描き上げた秀作。透き通ったその瞳で見つめる50年代ニューヨークは、アイルランドの田舎町から来た少女にとってあまりに巨大で、時に押し潰されそうになりながらも、新たな出会いや経験が少しずつ彼女を変えていく。 もちろん、楽しいことの分だけ、辛いこと、悲しいことも多い。だがニック・ホーンビーの脚本は、昨日までの悲しみをセリフ一つでサッと霧消させるユーモアとセンスに満ち、胸の中にいつも一筋の光を差し込ませ続ける。また、ホンビー作品ではお馴染みの“二周目の風景”も登場。人は一周目だと初めてのことだらけで笑っちゃうくらい無様なことも多いが、二周目では視野が広がり、少しだけ遠くまで見渡せるようになっている。その成長ぶり、表情がたまらなく素敵なのだ。人生の折々に見返したくなる。観るたびに初心を思い起こさせてくれる名作である。

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牛津厚信

4.0主題は「恋」よりも「生きる」こと。

2016年10月26日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

知的

幸せ

現代の価値観から、主人公に主体性がない、結局は養ってくれる男性を天秤にかけているだけ、といった感想をよく目にした。 本当にそうだろうか。この映画が描いているのはむしろ選択肢が非常に限られていた時代に、ひとりの女性が人生のわずかな可能性を模索する物語ではないか。 日本でも少し前までは、結婚は社会的にも経済的にも「生きる」ためのほぼ唯一の選択肢だったし、それは本作が描くアイルランドでも同じだったろう。 祖国を飛び出した彼女は、新天地アメリカでアイルランド移民のコミュニティに身を寄せる。これも生きていくために当然であり必然の選択だった。そんな彼女がイタリア移民の男性と恋に落ちるのは、国際結婚くらいにハードルが高かったはず。 現代にしてみれば些細なことも、彼女にとっては自分の人生をつかみ取るための必死の決断。やはり自分には、果敢に時代に立ち向かった雄々しいヒロインの映画である。

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村山章