無限の住人

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無限の住人

解説

木村拓哉と三池崇史監督がタッグを組み、沙村広明原作の人気時代劇コミックを実写映画化。伝説の人斬り・万次は、妹の命を奪われて生きる意味を見失った時、謎の老婆によって無理やり永遠の命を与えられ、死にたくても死ねない「無限の体」になってしまう。そんな永遠の時間を孤独に生き続けるだけの日々を送っていた万次の前に、剣客集団・逸刀流に両親を殺された少女・浅野凛が現われ、仇討ちの助っ人を依頼する。凛の姿に亡き妹の面影を重ねた万次は、用心棒として凛を守ることを決意し、凄絶な戦いに身を投じていく。「湯を沸かすほどの熱い愛」の杉咲花が凛役のほか、万次の妹・町役も務めて1人2役を担当。逸刀流の統首・天津影久役を福士蒼汰が演じるほか、市原隼人、戸田恵梨香、市川海老蔵ら豪華実力派キャストが集結した。

2017年製作/140分/PG12/日本
配給:ワーナー・ブラザース映画
劇場公開日:2017年4月29日

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(C)沙村広明/講談社 (C)2017映画「無限の住人」製作委員会

映画レビュー

3.0キムタクはキムタク?キムタクで何が悪い!キムタク自身にはまるで興味がなかったおっさんは本作をこう見た!

2017年5月3日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

確か似たようなコメントのレビューを書いた記憶がある。そうだ、「ボックス!」(2010)のレビューだ。

そうだ、市原隼人だ。三池監督は市原隼人が大好きだ。そしてオレも大好きだ。理由は簡単だ。

いつだって市原隼人だからだ。

だからキムタクと三池。相性が悪いはずがない。

そう確信して、風邪気味の奥さんをほったらかしにして、極悪のおっさんは渋谷へ。

「無限の住人」



漫画の原作は未読。三池と漫画原作の相性が悪いといわれるが、最近作の「テラフォーマーズ」は題材、つまり原作がつまらないだけで、三池が監督することで、飛躍的に見るに堪えうるものとなっただけである。

三池は、漫画原作こそ、真骨頂。

相変わらずの、時代劇のくせして現代語とか、説明過多なセリフや脚本にうんざりはするし、くだらない部分はあるものの、プロフェッショナルな、陰影のある画や迫力ある殺陣は健在。個性的な豪華キャストも見どころある。

だがしかし、木村拓哉。この映画の見所はやはり彼だ。

序盤のモノクロのアクションから魅せる。本人、そうとう殺陣の練習をしたと思われる。構えからの腰の入り方が立派だ。

だが、木村拓哉の、本作の最も素晴らしい点は、時代劇に合った風貌である、という点だ。

そう、特に顔のデカさ。

これこそが、木村拓哉が、時代劇が一番様になる要因。顔が大きいがため、重心は下がり構えは美しく力強くなり、全身を映した状態で、顔の表情がはっきりとわかる。目も大きいので、なおさらだ。

一方の福士蒼汰の貧弱な立ち振る舞いもそうだが、顔が小さいがため、迫力が足らない。まあ、そこは戸田恵梨香同様、マンガの世界なので、ガタガタいうつもりはない。

他の役者については、やはり海老蔵が素晴らしい。白髪のロン毛から覗く顔はやはりデカく、ベニチオ・デル・トロのようにねっとり。

この海老蔵の「大切な人を失ってきた」設定が、「悟った」かのような表情が実に「リアル」だ。

彼とキムタクとの、三池映画特有の「ガチンコ」殴り合い、じゃなかった「斬り合い」も楽しい。

そして、市原隼人。

やり過ぎで、狂ってる感がとてもいい。ここまで外道な役も珍しいが、本当に信頼できる役者である。

だが、彼とキムタクを見てると、ふと萩原聖人を思い出し、こういう映画で、共演してほしいなあとも思った。

杉咲花については、登場人物のセリフにあったように、「あの女を黙らせろ」。それ以外に言葉がない。

詰め込みまくりの、詰め込み気味の本作だが、序盤の北村一輝のキモいキャラなどもっと面白くできたと思うので、シリーズ化前提で撮ったほうがよかったかもしれないが。

むろん、キムタクのスケジュール次第だろうが、本作以上に彼を活かせる企画はないのでは、と思うほど、これ1本はもったいない。

追記

不死の設定について。

不死身モノという題材について勘違いしてるようだが、本作、初めからその点の面白さは狙っていない。豪華キャストに、毎回、キムタクがいじめられ、痛がる、それが本人らがやりたいことだったのだから、これで良いのだ。

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しんざん

3.0不死身モノの難しさ、三池監督&キムタクをもってしても克服できず

2017年4月30日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

楽しい

アメコミヒーローものなどのアクション系映画でたまに出てきます、不死身の主人公。ダメとは言わないけれど、キャラクターに感情移入させて観客をハラハラドキドキさせるのは、よほど工夫しないと無理。どんな強敵が登場しようが、多勢に無勢で圧倒的に不利になろうが、「どうせ絶対死なないんでしょ。勝つんでしょ」と冷めた目で見てしまうから。

木村拓哉の殺陣は健闘していたと思うが、生身の剣豪という設定ならスリリングになるであろう斬り合いの連続も、不死身キャラなら冗長に感じられてしまう。主要キャラのキャストに思い入れがあるとかでなければ、140分はつらいです。

三池崇史監督らしいケレン味あるバイオレンス描写など、楽しめる要素もあるだけに、惜しい。新感覚のチャンバラ映画といえば「るろうに剣心」もワーナーブラザース配給だが、個人的には「剣心」に軍配を上げたい。

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高森 郁哉

5.0死なない侍の壮絶な死闘の数々!

2024年4月8日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD、映画館

単純

興奮

原作はまだ見てません。
映画館で見た時に面白くて、漫画も見てみようと思ったのですが、今に至った次第です。
マンガの方がグロいって話も聞いてるので、興味はあるのですが・・・

さて、本作品。やっぱりキムタクの存在感がハンパないですね。何をやってもキムタクなんですが、万次というキャラクターがメチャカッコいい。原作を見ていないので、比べるものはないのですが、最高のキャラに魅せられました。
杉咲花に、殺された妹の幻影を重ねてはいるのでしょうが、彼女のために死闘を繰り返すさまは、ホンッとかっこ良かった。

ただのチャンバラじゃなくて、変わった武器を使う連中との闘いってのが本作の魅力ですかね。苦戦に次ぐ苦戦の連続で、まさに死闘のオンパレード。
万次の設定が死なない侍なんで、たとえ斬られても平気なはずなのに、ドキドキしながら見ちゃいました。

北村一輝さん、市川海老蔵さん、戸田恵梨香さんとの闘いが壮絶でした。そして、それぞれがみんなカッコいい。敵の一人一人、みんなが魅力的って見せ方がスゴいですよね。
特に敵の総大将を演じる福士蒼汰さん。最初に出てきた時には、とんでもない悪役だと思ってたんですが、話が進むにつれ、見方が変わってきます。まぁ、カッコいいのは終始なんですが。
そして、もう1人、市原隼人さん。これまた、癖のある狂気を見せてくれます。ある意味、如何にも三池作品といったキャラじゃないでしょうか。

三池監督の作品って、好き嫌いが大きく別れるものが多いと思います。本作もかなりグロい部分があるので苦手な人は多いんじゃないでしょうか。ホラー大好きオヤジの自分は、この作品好きです。
特に最初と最後の1対多数による壮絶なチャンバラは、ホンッとスゴいと思います。
傷つきながら死体の山を築いていくって感じ。
ただ、不死の侍である万次が後半でも同じような闘いをしてるのはどうかなってのがちょっと気になりました。斬られても直ぐに再生して斬りかかるっていう死闘も迫力あるんじゃないかな。ただ、負けることはないから、ドキドキは感じないか。

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ratien

4.0リアルな殺陣で魅せる時代劇

2023年5月28日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

興奮

本作は、時代劇の醍醐味である殺陣を惜しげもなくの盛り込みながら、死に様を重視する時代劇に不死という真逆で大胆な設定を加えた新感覚の作品である。

本作は、不思議な老人に不死の体を授けられた100人斬りの異名を持つ剣士・万次(木村拓哉)が主人公。不死の体になったことで生きる目的を見失い、無為に生きてきた万次の前に、殺された妹と瓜二つの凛(杉咲花)が現れ、父親の仇討ちの用心棒を依頼する。仇は逸刀流の首領である天津影久(福士蒼汰)。亡き妹への想いから、用心棒を引き受けた万次は、仇一味ばかりではなく、様々な敵を倒し、ついに仇と対峙することになるが・・・。

従来時代劇は主人公の死に様がクライマックスであり、死と隣り合わせの生き様の潔さがクローズアップされるケースが多い。これに対して本作の主人公は不死である。命に限りが無いので、ぼんやり無目的に生きている。優しさを捨てられず、無限(不死)の世界を彷徨っている感がある。そんな主人公が、凛と出会うことで、生きる目的を見出していく。生き地獄のような無限(不死)の世界から立ち上がっていく。木村拓哉が円熟味を増した“らしさ”を発揮して、難役である不死の主人公の彷徨を好演している。福士蒼汰も迷いのない真っ直ぐな青年剣士を熱演している。

主人公が不死になって登場した時、片眼、衣装から、往年の傑作時代劇・丹下左膳を思い出した。丹下左膳へのオマージュが感じられた。これは、かなり泥臭いリアルな殺陣をやる気だなという予感がしたが、その通りだった。主人公は様々な敵を倒していくが、圧勝ではない。不死身の体を活かした泥臭い満身創痍の辛勝である。様式美のようにスマートではないリアリティを重視した殺陣が際立っている。

剣術の流派統一の野心に燃える福士蒼汰のサイドストーリーが、出世、裏切り、虚々実々の駆け引きなど、典型的な時代劇の要素を取り入れていて、儚く切ない。荒唐無稽、無味乾燥に成りがちの作品に落ち着きを与えている。

本作は、全編、殺陣の連続であるが、特にラストの300人斬りとも称される殺陣は壮絶であり圧巻。万次、影久の鬼気迫る一刀入魂の太刀さばきは迫力十分。無限の住人である万次と有限の住人である影久の対照的な生き様がそのまま殺陣に体現されている。

本作は、あれこれ詮索せずに、殺陣の魅力を無心に無邪気に堪能したい作品である。

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みかずき