レヴェナント 蘇えりし者のレビュー・感想・評価
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“静”と“動”、“愛”と“憎”
“静”と“動”がここまで明確に使い分けられている作品も珍しい。息子を殺された父親の復讐劇というシンプルな物語であるが、映像の力によってかくも見事な作品へと昇華させる。
テレンス・マリック作品で培った自然の映像美と『バードマン』で見出した長回し技法を武器にしたエマニュエル・ルベツキのカメラワークが冴え渡り、観客に主人公の飢えと寒さ、そして孤独ささえも体感させる。かと思えば、突如先住民族に襲われれば、スクリーンは瞬く間に戦場と化し、これまでの無言と極寒の世界を激しく揺さぶってくる。
悲願のアカデミー賞を獲得したディカプリオの演技は確かに鬼気迫るものがある。フラフラになりながら歩く、生肉を貪り食うなど、彼の無言の一人芝居が物語の大半を占める。しかしながら、主人公が一人でいることが多いためか、はたまた瀕死の状態でさまようためか、彼の怒りの感情が感じ取りづらかった。故に復讐劇としてのカタルシスはあまりない。
無論、この作品の肝は復讐という一点ではない。そこにカタルシスを求めるのは的外れかもしれない。けれども、過酷すぎるほどの彼の命の旅において、息子への愛と仇への憎みという相反する双方の感情が彼の生きる原動力となって然るべきだったのではないだろうか?
見るべき価値のある作品ではあるが、映像が素晴らし過ぎる故、ついつい多くを求めてしまう。“生きるためには悪をも辞さない”、主人公を含め、人間の邪悪な一面がもっと強調できれば、あのラストの決断が見事に昇華できたのではないかと欲張ってしまうのだ。
動物は食料であり、衣服であり寝具である。
レオナルドディカプリオが、
クマに襲われ、
全治5年くらいの重傷を負い、
仲間に置き去りにされ、
さらには息子を目の前で殺され、
復讐を誓い、
口から白い泡を出しながら、
地を這いつくばり、
魚やバイソンを生で食いながら生き延び、
馬と銃を強奪し、
死んだ馬の内蔵を引きずり出し、
体内で寝て寒さをしのぎ、
最後はお互い血みどろになりながらトムハをぶっ殺す映画 。
うん、こりゃアカデミーあげないとね笑。
とてつもない緊迫感。プリオの鬼気迫る演技は迫りすぎてもはや鬼。2時間半超の長尺の中でおそらく半分以上は喋らずに唸っていた笑。
おかげでグラスのまさに言葉にならない悔しさや憎しみが表現されている。
そして最初に長々と書いたようにプリオがとても体を張っている。
なんと生肉食いや死体内睡眠をホントにやったらしい。これだけキャリアを重ねた上でこれだけ体張った演技をしてるってのがとてもすごいことだと思うホントにこの人素晴らしい俳優。
あとはやはり舞台の素晴らしさかな。THE 大自然。とてつもなく過酷な環境とそれに似つかわしくない壮大でとても綺麗な風景が目を引いた。冒頭の森の中をゆっくりとカメラが動くシーンでの水の流れる音がすごく心地よかった寝る時に聞いてたいやつ笑。
どシンプルなストーリーを演技力と結果までのプロセスを極限にまで高めて、最高のクオリティに仕上げてきた印象の作品。アレハンドロナントカカントカ監督絶好調だね。多分一生名前覚えられない気がするけど次の作品も楽しみにしてます!
怒りは…
圧倒的な大自然と、壮絶な生き様に引き込まれました。見応え充分でした。
不意に訪れる静寂の幻想的な場面が印象深かったです。
怒りは、生き抜くために必要だった。その後生きていくには。そんなことを考えました。
自然の美しさに見入りました。
特に水辺の美しさは、目に見えない無数の生物の命まで映り込んでるようでした。
明るさに反応して自然に変化する瞳孔は、人間も動物であることを印象付けています。
森の生き物を想起させる表現もあって、主人公ヒュー・グラスがミミズクのように見える所が場違いに安らかで、なんだか涙が出ました。
レオナルド・ディカプリオが渾身の演技。トム・ハーディとドーナル・グリーソンも出過ぎず引かずで見事だと思いました。
音楽も良かったです。たぶん日本人の琴線だけに触れると思われる音達がフワッと浮きあがってすうっと消えていく、そんな感じは日本の方が世界で活躍されている醍醐味だと思いました。
意外と、、、
レオ・ブラボー!
リオ・ブラボー!じゃなくてレオ・ブラボー!となった今回のアカデミー賞。
レオ様悲願のオスカー獲得!!に湧いた。良かったねぇ。蘇えりし受賞だ。
とある批評家の「これでとらせないとあとで何するか分かりませんからねぇ」
には笑ったが、この演技でとらせないわけにもいかないでしょーと思った。
だがそんなレオ様の偉大な匍匐前進(長いぞ!)にも勝る名演がカメラワーク。
見事なまでの自然光への拘りが映える!映える!テレンス・マリックみたい。
ストーリーはシンプルだし、大いなる復讐劇(荒野に生きるのほぼリメイク)
なので西部劇に近い感覚で観られる。熊に襲われ瀕死の重傷、しかも息子を
目の前で惨殺され主人公グラスは復讐の鬼と化す。でもほとんど動けないし
口も利けない状態っていうのが長いから、目立って活動するのは宿敵である
フィッツジェラルドの方。レオ様直々の指名にて演じたのがT・ハーディで
まぁ巧いんでこっちにも感情移入してしまった。そもそも追われている身で
金さえ貰えりゃOKの汚ない輩に最期を任せた隊長にも責任あるってもんだ。
映像演出に拘ったことから人間関係の描き方は結構浅く、グラスの復讐魂が
炸裂するほどの家族に対する深い情念が伝わってこない。夢想幻想に現れる
妻や幼い息子との日常が描かれることもなく説明もないという不親切な展開
ながら観客はレオ様渾身の匍匐前進に頑張れー!と祈らざるを得ないわけだ。
かなりリアルにグロいシーンもあるが、やはり映像はまったくもってスゴイ。
感じろ!超自然!とはさすが自然愛好家で地球温暖化に警鐘を鳴らすレオ様。
(今作で熊を怖いと思った人続出!もうテディ・ベアなんて言って<script id=
そんなに見たいとは思っていなかったので余計に見た衝撃が凄かった リ...
ディカプリオの地獄巡り
ディカプリオ受賞に納得
大自然の映像と音、生への執念。
良い作品を観た後の、魂が震える感覚。
壮大で美しすぎる大自然と、そこにある生。動物達のように一瞬の勝ち負けによる生死とともにありながらも、生き抜くことへの執念や魂をもって開拓してきた人間の、残酷かつ、きれい事で善悪を区切ることのできない生を観た。
とにかくディカプリオの壮絶な俳優魂に感服。目や表情で魅せる演技はもちろんのこと、今作は特に全編通して体を張りに張りまくったディカプリオ大先生。アカデミー賞は取るべくして取ったんだね!
他の俳優陣それぞれが良かったし、カメラワークも最高だったな。強調させた息づかいに合わせた映像展開が、緊迫したシーンや命を感じさせるシーンをより引き立ててた。大自然の素晴らしい映像に合った音楽もさすがという感じ。
観るには体力がいるけど、同時に観た後に命の力を感じれる作品。
壮絶な演技
重厚。荘厳。圧巻。
こんな長い映画、単なる執念深い復讐鬼の話だったらどうしよう?と思いながら見始めたのだが、あっという間に終わってしまった。
とにかく、映像が素晴らしい。ため息が出っぱなしだった。そこで展開される(されてきた)、自己理論を振りかざし開拓に手を広げる文明人と、ネイティブアメリカンの妥協と衝突。ネイティブアメリカンを野蛮人とさげすむ文明人こそ、自然や動物に対して野蛮な行動をしている矛盾。そのいい例が、バッファローの頭骸骨で作られた塚だ。それを見上げ、沈黙しているグラスは何を思うのか?、そう観ているだけで、メッセージ性の強い映画だと思えた。
そんな、双方の狭間にたつグラスの葛藤が、個人をこえて人種や文化の軋轢を表現しているのが心に響いてきた。歴史好きの僕にしてみれば、まるで、奥州藤原三代の祖・藤原経清の葛藤を見ているような気がしてならなかった。
時たまグラスの妻の幻影が現れるのがまた、心揺すぶられる。「いかに風は吹こうと、木は倒れない」というグラスの妻の言葉に、どれだけグラスは勇気づけられたことだろう。グラスは、強すぎるほどの執着心で復讐を決意し続けるのだが、けして無謀ではなく、冷静で深慮ある判断力、行動力に、観客はみな、ぐいぐいと引っ張られ続けていく。
ラスト、復讐は神に委ねられた。
アリカラ族の酋長の娘を助けたグラスを、彼らは殺すことはなかった。しかし、すれ違い様に礼を言うでもなく、娘も微笑むでもなく。はっとした。酋長の態度に「俺は娘を取り戻したが、お前はどうなんだ?」と問いただしているように思えたからだ。
全体に、重厚な音楽が映像美をさらに高尚なものに盛り立てていた。
特にエンドロールでの、息づかいのようなチェロの旋律、心臓の鼓動のようなピアノの調べ、感情の抑揚のようなバイオリンの奏で。もう、グラスの執念がこっちに乗り移ってきたかのように、息を荒くして真っ暗な画面に見入ってしまった。
人間はここまで生きられるのか。畏怖すら覚える“執念”。
【賛否両論チェック】
賛:主人公が体現していく、人間の持つ生きる執念に、畏怖の念すら感じられる。演者さん達の迫真の演技にも感動させられる。
否:かなりグロいシーンが多いので、苦手な人には絶対不向き。上映時間も長め。
普通の人間であれば、さすがに諦めて命を落としてしまうような極限状態にあってもなお、息子を殺された復讐心を胸に、厳しい大自然の猛威をくぐり抜けて行く主人公の姿が、人間の持つ“生への執念”を感じさせます。レオナルド・ディカプリオの渾身の演技に、思わず脱帽です。
弓矢で体を貫かれたり、クマに受けた傷痕が化膿したりと、描写はかなりグロくて、人によっては目を覆いたくなるかも知れません。終わり方も、やや物足りないかも知れませんね。
とはいえ、人間の限界を越えた壮絶な復讐劇を、是非劇場でご覧下さい。
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