残穢(ざんえ) 住んではいけない部屋のレビュー・感想・評価
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見ざる聞かざる障(さわ)らざる
『予告犯』『白ゆき姫殺人事件』の中村義洋監督最新作。
彼は『ほんとにあった!呪いのビデオ』シリーズの
演出とナレーションも多く手掛けているのだけれど
(「と、でも言うのだろうか……」っていうアレね)、
実は映画としてのホラーって最近ほとんど撮ってない。
果たしてどんなホラーになるのか、楽しみにしていた。
結論としては……
ぎょっとさせるようなシーンは少ないし、『リング』
『呪怨』のような強烈なビジュアルの恐怖は無い。
だが、それでもこの映画は怖い。すんげえ怖い。
瞬間風速の強い台風ではなく、じっとりべっとりした
梅雨のような厭(いや)な感じ、とでも言うか。
「あー怖かった~」で終わる映画なら幾らでもあるが、
“その類いの話”を信じる人なら、この映画は観賞後も
しばらくその厭な後味を引き摺ると思う。
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実録ホラーものを手掛ける作家の“わたし”のもとに
届いた、女子大生“久保さん”からの手紙。
そこに書かれていた怪奇現象は、「無人の寝室から、
畳を掃くような音がする」というもの。
調査が進んで怪異の正体がハッキリしていくかと思いきや――
時代を遡れば遡るほど「湧いて出る」、忌まわしい逸話の数々。
自殺に他殺に事故死に変死、おぞけを覚えるほどの死屍累々。
怪異の因縁はまるで感染症のように拡がり続け、
どこまで行っても終わりが見えない。
この映画は、話が進めば進むほどに不気味さが増していく。
言うなればいろんな色の絵の具を重ね塗るかのように、
進めば進むほどにどろどろと澱んでいくような感じなのだ。
終盤にもなると、「……待てよ……この映画観てる
自分は大丈夫だよな……」という不安すら覚える始末。
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それに本作、疑似ドキュメンタリーとかそういう
スタイルを取ってる訳では無いし、おまけに
名のある役者さん達もがっつり出演してるのに、
醸し出される“実話感”がハンパない。
人の怨み辛みが残りそうな事件事故というのは
僕らもしょっちゅうニュース等で耳にするけど、
本作に登場する逸話の数々もやけに身近な話ばかり。
「親戚の○○さんとこの娘さんが……」
「実は近所のあのお婆ちゃんは昔ね……」
「ずっと前に新聞にも載ったけどあそこの家は……」
みたいな。
また、大抵のホラー映画は主人公らが味わう恐怖の
シーンと真相究明シーンを交互に描く流れがまるで
フォーマットのように用いられるが、本作はそこも独特。
恐怖シーンは基本的に、投稿された手紙や主人公らが
行うインタビューからのイメージとして描かれるので、
“現在起こっている”恐怖シーンがほとんど登場しない。
いわば観客には主人公たちと同様、「気味が悪いけど
自分はあくまで聞き手だし」という安心感がある。
だが、話が進むに連れてその壁が少しずつ崩れていく。
そのじわりじわと侵食されていくような感覚が、怖い。
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惜しむらくは、クライマックスの恐怖の畳み掛けを
もっとしつこくやってほしかったり、「最後あんたで
締めるんかいッ」というキャラでエンドロールを
迎えてしまう所で消化不良を覚える点。
まあ……実録ものの雰囲気を狙うならやりすぎは禁物
なので、あの辺が落とし所だったのかも知れないが……。
エンドロールでは劇中であいまいになっていた
あるアイテムが登場して“厭な後味”に貢献してくれるので
そこはよしとするか。
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土着的、と書くとかえって身近な感じが薄れてしまう
気がするが、斬新ながらも実に日本的なホラー。
僕はホラー映画にかなーり点が甘い方だと思うので
判定4.5は付け過ぎと思う方もおられるだろうが……
個人的にはかなりの秀作だと思います。
にしても、あんな恐ろしい現場取材にまで
付き合わされた“久保さん”かわいそう(笑)。
<2016.01.30鑑賞>
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余談:
僕は一昨年に今のマンションに引っ越した。で、
細かい所はもううろ覚えなのだが、その部屋探しの際、
築約40年2階建て一軒家の情報を見掛けたのを覚えている。
5人家族くらいが住めそうなそこそこ大きな間取り。
家賃はたしか……月35,000円……。
……やめといて正解だった……と、でも言うのだろうか。
(↑書きたかっただけ)
良作です
ホラーテイストのミステリーかな?恐がる気満々で劇場に足を運ぶと肩透かしを食うかも。とは言え自分は充分に楽しめました
土地を介して穢れが拡がる様は呪怨、怪奇現象の根本を探って行く過程を魅せるのはリング。日本が誇る2大ホラーのエッセンスを想起させる良作です
久々にもう一度観たい!と思わせるホラー映画に出会えました。ただサブタイトルはセンスないですよね(笑)
静かに怖くなる
ホラー映画って怖いんですね。
初めて劇場でホラー映画を観ました。
私は霊感はありませんが、霊魂の存在を信じているので余計に怖かったです。
じわじわときて、ずるずると引きずる、日本的(?)ホラー映画の良作だと思います。
女優さんが無駄にキャーキャー言わないのも良かったです。
きっと、帰宅してからも余韻に浸れることでしょう。
ホラーが苦手な人でも観れるかも
怖くないけど怖い
すべての不可解な死は、元を正せば繋がる
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