われらが背きし者のレビュー・感想・評価
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ル・カレの地味渋な世界観をドッド・マントルの映像美で。
ジョン・ル・カレ原作のスパイ映画はいずれもアクションよりもやるせない悲哀に主軸が置かれているが、それは大学教授と弁護士の妻が成り行きでにわかスパイになる本作でも変わらない。リアル志向と言ってしまうのは現実のスパイや組織犯罪のことを知らなさすぎて憚られるものの、相変わらず地味渋な美学が沁みてくる。
そしてなによりも、天才撮影監督アンソニー・ドッド・マントルの映像魔術がたまらない。ストーリー自体はシブいのに、映像には奇妙な悪夢を観ているような酩酊感があり、同じル・カレ原作の「裏切りのサーカス」や「誰よりも狙われた男」のストイックさとはひと味違うアプローチだ。キャストも適材適所でハマっており、いい意味でバランスのいい大人向けエンタメに仕上がっている。
【今作は”三人の信義を重んじる、平凡な大学教授と、ロシアンマフィアから足を洗った物凄い暗記能力ある男と、MI6の男の絆”をスリリングに描いたスパイアクション映画なのである。】
■冷え切った夫婦関係を改善すべく、モロッコで休暇を取っていたイギリス人の大学教授・ペリー(ユアン・マクレガー)と妻・ゲイル(ナオミ・ハリス)。
或る晩、ペリーがクラブで呑んでいると、陽気なロシア人から”お前の銀行カードのNoを覚えるから、当てたら一緒に呑もう”と言われ、当たる訳ないと思ったら見事に当てられ、二人は共に酒を飲む。
そして、そのロシア人、ディマ(ステラン・スカルスガルド)からロシアンマフィアのマネーロンダリング情報が入ったUSBをMI6に届けてくれと頼まれる。ディマはロシアンマフィアのマネーロンダリングをしていたが、家族と共に組織を抜け英国に亡命しようとしていた。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・登場人物としては、名優ステファンスカルスガルド演じる家族を大切にする信義を重んじる男ディマが、圧倒的に魅力的である。
表面的には明るいテニス好きの男だが、且つて母を凌辱していた男を射殺した経験から、家族を大切にしている。
詳しくは語られないが、所属していたロシアンマフィアで、若くして台頭して来たボス、プリンスと上手く行かなくなっていたのが、原因であると劇中、彼とプリンスが食事の際に話す会話で分かる。
・ペリーも一見冴えない大学教授であるが、危険な事は分かっているのに、ディマの家族を英国に亡命させるために、会ったばかりの彼に協力していく姿。テニス好きと言う所も似ているが、彼も又信義を重んじる男なのである。
・MI6のヘクター(ダミアン・ルイス。元MI6の今は下院議員のオーブリー・ロングリック(ジェレミー・ノーサム)のマネーロンダリングの事実を掴むために、ディマとペリーに協力し、ディマの家族を英国に亡命させようとする。
<今作は、上記3名がディマの家族を英国に亡命させようとするスリリングな物語である。ディマが命懸けで家族を英国に亡命させた後に、ペリーに託した”プリンスが幼かった時に鹿を撃てなかった白い象牙のグリップの銃の弾倉”にディマが書いて置いたマネーロンダリングで、不正に利益を得た者たちの名前と銀行口座が細かい文字で書かれた小さな紙の巻物をMI6のヘクターが見つけるラストシーン。
そこには、勿論オーブリー・ロングリックの名前も記載してあるのである。
今作は、信義を重んじる平凡な大学教授と、ロシアンマフィアから足を洗った物凄い暗記能力ある男と、MI6の男の絆を描いたスリリングなスパイアクション映画なのである。>
見応えのある作品 最初マフィア側 MI6側とそんなに目立つわけじゃ...
普通の夫婦が巻き込まれる工夫
ロシアマフィアから命を狙われる男性を手助けすることになった、名もなきイギリス人夫婦の苦闘を描く物語。
有名作家によるスパイサスペンスのようですね。
特別な力も知識もない夫婦が恐怖に及び腰になりながらも、男性を、男性の家族を必死に守る姿が良く描かれていると思います。
やや地味に感じますが、夫婦の弱さをしっかりと描いている分、緊迫感を感じることが出来ました。
主人公と男性の友情描写も心地よく、良いアクセントになっていると思います。
ただ、夫婦が巻き込まれる展開には、無理やりを感じます。クライマックスへの展開にも納得感の乏しさがありました。
この映画に感じた納得感のなさは、巻き込まれ型のサスペンスの弱点では良くあるのですが、この映画ももう一工夫が必要だったと思います。
私的評価は普通にしました。
家族だけは守るというディマの覚悟
スパイものといってもとにかく地味。
結果的に家族が守れたということでディマの願いは叶ったのだろう。
結局は救いのない展開になるかと思いきやそうでなくて良かった。
命がけのおせっかい
明快
結構、みごたえある巻き込まれ型。
分かりやすく美しいジョン・ル・カレ
モロッコ、パリ、ロンドン、フレンチアルプスとロケーション色々、パーティーシーンもあり映像がきれい。
ロシアンマフィアの刺青、イギリスとロシアの微妙な関係。
MI6といえど予算も人も無尽蔵に使えるわけでは無かったり話に派手さはないがキャストは何気に豪華。
ステラン・スカルスガルドが刺青だらけのボカシ入り全裸でノシノシ歩く。
髪の毛長めのユアンマクレガーが教え子とつい浮気してしまう意志の弱い大学教授を好演。マネーペニーが女弁護士妻、胸チラみせもあり。
難解な印象のあるルカレ原作スパイ映画の中ではエンタメ度高くみやすい。
traitor!
また好きになった
アクション不要のサスペンス
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