コングレス未来学会議

劇場公開日:

コングレス未来学会議

解説

「戦場でワルツを」のアリ・フォルマン監督が、「惑星ソラリス」の原作でも知られるポーランドのSF作家スタニスワフ・レムによる小説「泰平ヨンの未来学会議」をアニメーションと実写を交えて映画化。俳優が自らの一番輝いている姿をスキャンし、デジタルデータとして保存することが可能になった未来世界。40歳を超えて女優としての旬を過ぎたロビン・ライトは、難病を抱えた息子のためにも、巨額の報酬と引き換えに、それまで出演を拒んできた売れ筋の映画を含むあらゆるジャンルの作品に彼女のデータを提供するという契約を結ぶ。映画会社のミラマウント社にデータを提供したロビンは演技をすることもなくなり、表舞台から退く。そして20年後、ミラマウント社が開く未来学会議に招かれたロビンは、人々が化学薬品を使った新たな娯楽に没頭している世の中を目の当たりにする。

2013年製作/120分/イスラエル・ドイツ・ポーランド・ルクセンブルク・フランス・ベルギー合作
原題:The Congress
配給:東風、gnome
劇場公開日:2015年6月20日

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(C)2013 Bridgit Folman Film Gang, Pandora Film, Entre Chien et Loup, Paul Thiltges Distributions, Opus Film, ARP

映画レビュー

5.0とてもリアルな未来像

2018年5月29日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

知的

この映画の提示する未来像は、破滅的であるがかなりの部分が現実のものとなるのではと思わせる。そしてそれが思いの外心地よいものになるかもしれない。

旬を過ぎた女優が、全身のデジタルデータを提供し、CGで完全再現が可能な技術がある。一度スキャンすればあとは女優自身は必要ない。スキャンデータとして映画の中で永遠に再生産可能。そして人は思い思いのアバターになって暮らせる社会が到来する。まるでバーチャルYouTuberのようだ。

人は生まれ持った外見を捨てられない。整形などの手段はもちろんあるが、この映画が描くのはその延長線上のものだ。そしてそれは現実に起こりつつある。それは悪いことばかりとも言えない。VRの世界で自分の心の性別に簡単になれる。トランスジェンダーの人々の間でこうした技術は期待されている。一方で映画が描くように退廃的な世界を生むかもしれない。

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杉本穂高

4.0作品のアイデンティティは著作権

2024年2月14日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

知的

難しい

思考実験かつアートな1本。
ゆえに物語の起承転結へ没入しようとした場合、
説明不足や設定の腑に落ちないところが目立つのではないかと感じた。
だがここではないどこか、幻想の中で生きるとは、
を突き詰めようとしたアート作品であると理解すれば、疑似体験に浸れる作品と観る。

実写とアニメのギャップ。
美しくファンタジーあふれる夢心地なアニメ世界の、しかしながら行き詰まり退廃的でどこか影がつきまとう雰囲気。暗い現実の、しかしながら不思議な安心感。
どちらを自身の現実として生きるか、迫るにいずれも帯に短したすきに長しで、悩ましいところが暗に何かを言わんとしているようで絶妙だった。
他にも多数あろうが「サマーウォーズ」や「竜とそばかすの姫」と基本的設定は似ている、と理解しなおしたとたん見やすくなっている。

時代が追いつき昨今のAI 事情とリアルに絡む分、
作品もその存在はひとつ模擬人格であり、
そこには確かにアイデンティティ(著作権)がある、と本作から理解できる。

なりたい姿(他の著作物)で生きる世界はつまり、
自由なようで自身のアイデンティティを放棄した生ける屍の世界ではなかろうか。
冒頭に記述した退廃的な雰囲気の原因をそう考える。
これをネット上のアバターと考えるとなおさら仄暗い。
そして物語のラストも。

どう考えてもトム・クルーズ的アニメキャラがチラチラ出入りしていて、
ちょっとニヤけながら見てしまったw

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N.river

0.5出鱈目過ぎるアニメ。

2023年10月14日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD
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マサシ

4.0Ari Folman監督が描く近未来の世界はdystopiaなのか、それとも…

2021年1月10日
iPhoneアプリから投稿

前半は痛烈な現代マスメディア(とくにハリウッド業界)批判、後半は一転してアニメーションを通じてドラックとXRに覆われた近未来の世界を描いている。

そこでは人びとがなりたい人物になりきることが可能な世界であり、他人とのコミュニケーションも問題なくできて、容易に自己実現が可能な世界。
大半の人びとは拡張現実の世界で生きているが、一握りのエスタブリッシュ層だけがまさに「天空」の世界で現実世界を生きている。

極端な所得格差で分断された社会と「見たいものだけを見る」世界はすでに今ここに在る世界であり、この作品で描かれている世界はその延長線上に過ぎない。むしろその社会課題の解決策を提示しているともいえる。

この作品で描かれている世界はディストピアなのか。近未来の向こう側からみれば、こちら側の現実世界がディストピアとみえなくもないのではないかと。

向こうにみえる景色がディストピアかユートピアかはそれぞれの主観的価値観にもとづくものであり、ヒトの主観的価値にもとづく課題はTechnologies によって十二分に補完できるというのがPeter A.Thielの主張で、その主張は直接間接問わず社会に受け入れられつつある。

この作品を通じて、私たちはこれからどのような社会を迎えたいのか、個人個人が考えて周りの人と議論することは決して無駄なことではないと思う。

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atsushi