ヴィヴィアン・マイヤーを探して

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ヴィヴィアン・マイヤーを探して

解説

シカゴのオークションで偶然発見された謎の天才女性写真家ビビアン・マイヤーに迫り、第87回アカデミー賞の長編ドキュメンタリー賞にノミネートされたアートドキュメンタリー。2007年、シカゴで暮らす青年ジョン・マルーフが、オークションで大量の古い写真のネガを380ドルで落札した。マルーフがその一部をブログで紹介すると世界中から賞賛の声が寄せられ、写真集の売り上げは全米1位を記録。欧米各地で開かれた展覧会も好評を呼んだ。写真を撮影したのは、かつてニューヨークでナニー(乳母)として働いていた女性ビビアン・マイヤー。すでに他界しており、15万点以上もの作品を残しながらも、1枚も公表することなくこの世を去っていた。ナニーである彼女がなぜこれほどまでに素晴らしい写真を撮影できたのか、そしてなぜ作品を誰にも見せなかったのか、彼女の作品の発見者であるマルーフ本人が監督を務め、関係者へのインタビューなどを通してその人物像を明らかにしていく。

2013年製作/83分/G/アメリカ
原題または英題:Finding Vivian Maier
配給:アルバトロス・フィルム
劇場公開日:2015年10月10日

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第87回 アカデミー賞(2015年)

ノミネート

長編ドキュメンタリー賞  
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(C)Vivian Maier_Maloof Collection (C)2013 RAVINE PICTURES, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

映画レビュー

4.0彼女の写真は涙が込み上げるほどの温かさで満ちている

2017年5月28日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

偉人や偉業を描くでもなく、このドキュメンタリーが光を当てるのは名もなき乳母だ。彼女が撮り貯めた膨大な写真の山。それを偶然発見した本作の監督。どのショットも美しく、構図も素晴らしく、何よりも被写体への温かみ溢れる視座がある。本作はこれまで誰にも見られることなく眠り続けてきたモノクロ写真をディスカバーするのと同時に、今は亡き「名もなき写真家」の素顔を少しずつ解明していく。芸術の分野では生前よりも死後にその作品が評価されて名声を高めていくケースがあまりに多いが、本作に触れることはそのダイナミズムを現在進行形の文体にて体感することでもあるのだろう。ヴィヴィアンの素顔が決して聖人君主ではないところや、「果たして彼女のことを世に知らしめてよかったのだろうか?」と自答する監督の胸中も含めて、非常に素直で正直な映画だと感じた。そして、何度目にしても彼女の写真はどれも時代と文化と人物を優しく切り取っていて、涙がこぼれるほど素晴らしい。

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牛津厚信

4.0無欲な写真家

2020年7月11日
PCから投稿

功名心がない、誰かにほめられたいとは思わない、意外にそんな人は少ない。
いや、ほとんどいない。
世の中はやったことの対価で成り立っている。
誰でも何らかの欲得をのぞむ。
無欲なんて、あり得ないし、多少なりと腕に自覚があるなら、それを生かそうとするだろう。

ヴィヴィアンはその一般的な概念を超えている。
そこに生き、見たものにシャッターをきって、それだけで楽しい。
上から覗くローライフレックスも彼女の性格に合っている。
誰にでもファインダーを向ける外向性と、地域社会での亀のような内向性。

『ストリート写真家は雑踏をおそれない社交的な性格の持ち主だ、人と接するからね、だが同時に孤独な者でもある。外交的かつ内向的だ。被写体をまるごと抱きしめるが、自らは引いて存在を消す』(映画中、プロの写真家の言葉)

束縛する関係性を嫌い、外で撮りたいように撮る。そもそも、発見されなかったら、発見される人が間違っていたら、世に出なかった。そのネガ15万枚。

『人間やストリートフォトの本質をよくわかっている』
『被写体の人生や風景を完璧にきりとっている』

写真も才能も本物で、世界中で注目された。
そして謎が残った。
こんなにたくさんの素敵な写真を、なぜ誰にも見せなかったのか。
発表しなかったなんて、もったいない。
彼女を知る人々から、そんな言葉が出てくる。
が、そこに高潔という理想も見る。
富も栄誉も求めず、やりたいようにする、自由人。

だが、後半は、奇人ぶりや孤独で惨めな晩年など、ヴィヴィアンの負の側面が紹介される。前半の賞賛から、ぐっと卑近に、等身大になり、リアルだった。

写真の発見であると同時に、ヴィヴィアンマイヤー=15万枚も撮影して誰にも見せなかった、独特な人間の発見でもあったことを、このドキュメンタリーは伝えている。じっさい素敵な写真もさることながら、その高潔に感銘をうけた。

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津次郎

3.5根っからのアウトサイダー

2016年5月10日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

楽しい

幸せ

ヴィヴィアン・マイヤーの人間性をミステリアスに興味深く描いた素晴らしいドキュメンタリー。

自分は素人なので技術面は分からないが魅力のある写真群なのは間違いない。

欠陥のある人間性と彼女のダークサイドな側面を描き写真家としてよりも人物像に人生そのものが興味深くそこが魅力でもある。

常に変わり者なアウトサイダーであるのは承知の事実で作品として残さずそれでも撮り続けた理由は永遠に知れない。

最後のフランスでの写真展のシーンは和むし今の評価に彼女自身、何を想うのかが一番興味深い。

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万年 東一

3.0無名の女性に迫るドキュメンタリー。

2016年4月8日
iPhoneアプリから投稿

ある無名の亡き女性、ヴィヴィアン・マイヤーの人生に迫るドキュメンタリー。

才能がありながらも、ひっそりと暮らした彼女は幸せだったのか。
人目に触れるのを嫌がった彼女の写真が、亡きいま有名になることは失礼ではないのか。

彼女の作品を取り上げ無条件に褒め称えるのではなく、彼女のパーソナルなところにも迫り、良いところも悪いところも曝け出す。
それは、ヴィヴィアン・マイヤーが生きている間にはできなかったことで、本当は望んでいた生き方だったかもしれないな、と少し思いました。

彼女のことを大切にしていた人もいることに希望も感じました。

それにしても、彼女の写真は映る人の物語が自然に、そしてわかりやすく表現されていてすてき。
なかなかあんな写真は撮れないけれど、久しぶりにカメラを持って出かけたくなりました。

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のん

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