デビルズ・ノット
劇場公開日:2014年11月14日
解説
1993年にアメリカで実際に起こった未解決事件で、逮捕された3人の少年に対する史上最悪の冤罪事件とも言われる「ウェスト・メンフィス3事件」を、関係者の視点からスリリングに描いた群像劇。「スウィート ヒアアフター」「アララトの聖母」などで知られるカナダの名匠アトム・エゴヤンがメガホンをとり、「英国王のスピーチ」のコリン・ファースと「ウォーク・ザ・ライン 君につづく道」のリース・ウィザースプーンが主演した。93年初夏、米アーカンソー州ウェスト・メンフィスで、児童たちが無残に殺される猟奇殺人事件が発生する。事件当日の不審者目撃情報が相次ぐものの、いずれも決め手に欠け、押し寄せたメディアによって報道は過熱。小さな田舎町の住民たちは、次第にパニックに陥っていく。やがて警察は16~18歳の若者3人を犯人と断定し、逮捕するが、そこに不自然さを感じた私立探偵のロン・ラックスは独自に調査を開始。一方、被害者のひとりの母親パムも、裁判を通して浮上したさまざまな矛盾に動揺していた。
2013年製作/114分/PG12/アメリカ
原題:Devil's Knot
配給:キノフィルムズ
スタッフ・キャスト
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2022年6月16日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
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少年3人が惨殺された事件。若者達が逮捕されても犯人適性に無理があり・・・主人公の探偵は事件の謎を追う・・・と言うストーリー。
実は過去鑑賞したことを忘れて2回目の鑑賞をしたのですが、1回目鑑賞した時よりより高い評価を付けた作品です。2度、3度鑑賞してより良さを感じることが出来る、そんな作品なのかもしれません。
アメリカでは有名な殺人事件の顛末のようで、wikiで確認する限り、この映画はかなり事実に忠実に描いているようです。
古い気質が残るアメリカの片田舎。惨たらしい殺人事件の発生でヒステリックになる住民。悪魔崇拝を行う異端者への嫌悪と不信。そして不公平な裁判の経過と結果が良く描かれています。
残念ながら真犯人はわからず終い。もしかしたら、逮捕された彼らが本当の犯人かもしれない状態。サスペンスとして、とてもカタルシスを得られるエンディングにはなりませんでしたが、それでも一見の価値はある、そんな作品です。
2019年7月6日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
悪魔崇拝者=オカルト殺人者と決めつける世論。ヘビメタが好きだって黒い衣服が好きだっていいじゃないか!冤罪はこうした偏見から成り立ち、自白の強要からでっち上げられるのが世の常だ。日本ではあまり見かけないオカルト殺人。キリスト教国家ではこうした魔女裁判が根強いということを痛感。
一人は知的障害を持った16歳の若者。残り二人のダミアン、ジェイソンは無実だと言い張るものの、裁判も強引に押し切られた形となった。どうしてまたダミアンとジェイソンなんだ?!ホラー映画を想像してしまう、観客をもミスリードするネーミングなのか。
猟奇殺人の内容よりも、魔女裁判のごとき進む裁判の方が怖かった。最初にビデオテープに証言したマーロン少年も何かにとりつかれたのような淡々とした表情だったし、証言台に立った少女も無表情。町ぐるみで少年たちの復讐のための儀式を行ってるかのようだった。不思議と印象に残ってるのが、性犯罪絡みだったので被疑者が陰部まで警察に撮影されてたことかな・・・
2018年9月4日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD
人は間違いを犯す動物だ。
でも、絶対に間違いを犯してはいけない事がある。
他人を傷付ける事、殺める事。
間違った相手に罪を着せる事…。
1993年、アーカンソー州ウェスト・メンフィスで、3人の男児が行方不明となり、惨殺死体となって発見された。
不安と恐怖に包まれる町。遺族の悲痛…。
警察は他の件を後回しにしてでも、事件解決を誓う。
警察の言動には称賛を贈りたい。
やがてその甲斐あって、3名の犯人を捕まえる。
が、これが大いなる間違いであった…。
アメリカ史上最悪の冤罪事件と言われる“ウェスト・メンフィス3”の映画化。
何故こんな間違いが起きたのか。
それは、警察のずさんな捜査と、“モラル・パニック”が原因であった…。
犯人として逮捕されたのは、3人のティーンエイジャー。
疑われた一番の理由は、3人共、ヘヴィメタ好きで悪魔崇拝者だったから。
ただ、それだけ。
何たる偏見!
確かにちょっと変わってるかもしれない。
でも、あくまでそれは趣味/嗜好であって、それだけの理由で罪を犯す決定的な理由にはならない。
日本でも昔、似た偏見があった。
女児が殺され、男が逮捕された。この時逮捕された男は間違いなく犯人であったが、その男がアニメオタク。それ以降、アニメ好きやオタクはアブナイ奴らという偏見…。
全員がそうとは限らない!
他に犯人が居るかもしれない証拠の紛失、関係無い者の証言…。
警察のずさんな捜査が明らかになっても、覆る事は無かった。
犯人を見付けるというより、犯人を誰にするか。
そう決めていたようだ。警察も、検察も、町中も…。
一応表向きは、ティーンエイジャー3人の犯行。
つまり、真相は謎。未解決。
町ぐるみで間違った犯人を糾弾してる中、本当の犯人を逃がしてしまった。
その大いなる間違いと共に、3人のティーンエイジャーのちょうど青春真っ只中だった失われた時は取り返せない。
悪魔に絡めて言うならば、
間違いや偏見、それらこそ悪魔的なものに他ならない。
2017年8月18日
Androidアプリから投稿
「スイート・ヒア・アフター」に続き、アトム・エゴヤンの映画は2作目。
未解決事件を扱っているので、勿論事件は解決しないのだが、町全体を覆う不穏な空気、何か起きそうな緊張感がずっと続き、怖い。
殺された子どもの母親役にリース・ウィザースプーン。
最初は起訴された3人が犯人だと盲信していたが、冤罪の可能性を感じ事件を調査する弁護士と話すうちに、いつしか違和感を持つ。
誰しも身近な人を疑ったりはしたくない。
若者たちの、分かりやすすぎる反抗的な態度をそのまま信じてしまうのは、むしろそうであって欲しいという心の表れ。そして憎しみをぶつける相手として相応しいと思える相手ほど、悲しみは癒える。そういった同調圧力が真実を覆い隠す。
真実は他にあるのではと、彼女が思い至る時点で映画は終わる。
はっきりいって、すっきりはしない。
だが彼女が事件を見つめ直す意志を持ってくれたことに、少し救われる。
若者文化への無理解と保守的な信仰心からくる無理解、こういった杜撰な捜査による冤罪がなくなりますようにと、願わずにはいられない。