天空の蜂のレビュー・感想・評価
全207件中、101~120件目を表示
問題提起作品
【天空の蜂】鑑賞(原作読了済)。
2時間半という縛りの中で原作を上手く纏めてくれたな。というのが率直な感想。
どんなテーマでもイケちゃう安定の堤監督作品。
映像化不可能と言うのは、あまり触れられない「原発」というのがあると思う。
それが、2011年の事故によって、国民が感心を持つようになったのも映像化された原因とも言えよう。
原作は1995年作。東野先生自身が「自分の代表作」と言う作品が映像化されたのは作者にとっては感慨深い所だろう。
原作の最後に語られた言葉が正に実現してしまったのだから。
(とは言え、年を追う毎に皆の関心が薄くなって来たのも、あながち間違いではないだろう)
映像化するにあたり、色々な設定変更はされているが、
これならばかなりの許容範囲だと思う。
逆にこういう設定変更によって、ラストが生きたと言える。
原作読んでる人も納得できるのではないかと。
キャスティングも問題ない。
敢て言えば、綾野剛演じる雜賀はもうちょい年上だった様な・・・
本作のキモにもなる巨大ヘリ「ビッグB」。中々の迫力。
実際の所、日本にこんな巨大ヘリは必要か?と言う疑問はあるが。
本作は「反原発」作品ではない。
「原発の存在はどうですか?」と言う問題提起作品である。
本木演じる三島の最後の台詞が現実となり、
国民に対して問うているのである。
ちなみに私は中間派。問題はあるが、必要ではなかろうか?と言う程度(汗)。
さて、貴方は如何だろうか…?
それは本作を観て、2011年を再認識して頂いて貰いたい。
本作観たら、原作読むのもおススメする。
各キャラクターのもっと深い背景が原作では描かれているので。
余談:仮面ライダーファンとしては仮面ライダービーストを演じた永瀬匡の上条はグッドチョイスだと思う。カッケー(笑)
今だから感じられる映画
東野圭吾さんの原作を読まずに見ました。
最近邦画を見ることが少なく、
(特にサスペンスもの。)
特に期待はしていなかったのですが
とても集中して観れる満足度の高い作品でした。
テーマが原発であること
3.11があって以来、日本人が皆、どこかしら
原子力発電について意識していること。
だけど、自分も含め、みんな本気で知ろうとしてはいないこと。もう一つのテーマ、群衆の沈黙にも当てはまると思います。
そのテーマを上手くサスペンスとして一つの事件を解決していくミステリーものとして完成されていたので観るものも楽しめた上に深く考えさせられたのではないでしょうか。
まぁ、よく分からないカーアクションのようなシーンは必要あったかどうかは分かりませんが、モックンの演技、人としてのオーラが素晴らしかったので特に気になりませんでした。笑
個人的には高良健吾さんの演技も光っていると
思いました。子供を救うシーンの緊迫感と、救えたあとの笑顔のシーン。最高でした。
沈黙できるのは蜂に刺されるまでのこと
原作未読。
スケール感だけハリウッドを真似した日本映画は数多いが、この映画は違った。
ハリウッドに勝った負けたとかではなく、これは日本でしか作り得ないサスペンス大作だと感じた。
正直言って冒頭のヘリ奪取までの流れはドラマ・映像ともに安っぽくて白々しいし、一部キャストの
ベタな演技が鼻につく点(前髪をいじる刑事とか挙動不審の佐藤二朗とか奥さんとか)も大いに残念。
だが、この映画は後半に行くほどに良くなる。
テーマは熱く深く切実だし、そのテーマを語ることに比重を置き過ぎて物語の勢いを削ぐような事も無かった。
.
.
まずサスペンスドラマとしての見応え。
たった一騎の無人ヘリを使ってここまで次々とサスペンス要素をぶち込むことに成功した点、
最後の最後まで決着が読めない点はなかなかどうして良く出来ているし、主演陣だけでなく、
ヒロイックだが等身大な自衛隊員、最後の最後で熱さを見せる若手刑事など魅力的な脇役も多い。
主人公をはじめとした技術者たちの、人の生死を左右するものを扱う人間としての誇りと意地にも胸が熱くなる。
巨大な怒りを抱えた三原の、我が子への痛切な想いが伝わる幻想シーンも忘れ難い。
.
.
そして犯人の正体と動機が明らかになるにつれて見えてくるテーマ。
除染作業に従事する人々の知られざる苦痛。
過激な原発反対派と賛成派による醜い人格否定。
大丈夫“だろう”という甘い想定に基づく生温い安全保証。
崇高な理念ばかりに目が向いて二の次にされる悪意の検証。
それら不都合な真実を覆い隠す政治的思惑。
いや、『政治が悪い』と片付ければ物事は容易い。
だが、いざ内情を訴える者が現れても、我々自身、それを進んで直視しようとしない。
今の自分の面倒を見るだけでも精一杯なのに、暗い未来の話なんて誰が進んで知りたがる?
それがいずれ自分の身に降りかかってくるかもと思っていても、見なかったフリをする方が楽なのだ。
この物語はそれを良しとしてくれない。次々と提示されるジレンマは重くこちらの心にものし掛かり、
映画内の出来事はもはやフィクションではなく、一種の恐るべきシミュレーションであるかのように思えてくる。
.
.
無知であること自体は罪でなくても、
無知であり続けることは傲慢という罪である。
知る努力を怠るな。そして、選択する事から逃げるな。
そんな切実なメッセージ。
そうしなければ、この国に住む全ての人々の未来が、
一部の人間の勝手な思惑だけで決定されてしまうかもしれない。
『そんな話は知らなかった』と後悔しても、時を巻き戻すことなどできない。
今の時代、いよいよそんな姿勢が各々に求められているような気がする。
.
.
原作は1995年発行とのことだが、それから20年以上が経った今になってもここまで物語が時流にハマるとは。
最後のシーンは映画オリジナルなのだろうが、重いテーマを前向きなメッセージで締める点は優しいし、
原発や天災に対する危機管理の甘さが取り沙汰される2015年と驚くほどに合致したラストには唸った。
しかしながらこれは、驚くよりは悲しむべき合致だと思う。
今後の20年で日本はどう変わっていくのだろうか。
その頃に、この映画のリメイクや続編などが現れないことを祈る。
<2015.09.12鑑賞>
.
.
.
.
余談:
自分は現在静岡に住んでいるが、鹿児島の実家は最近
なにかと話題の川内原発からギリギリ30km圏内である。
(小学校の頃には社会科学習で見学にも行っている)
ひとたび事故が起これば福島原発のような事態になり兼ねないので、原発なんぞ無いのが一番だとは思うが……
建てる前ならまだしも川内原発は僕が生まれる5ヵ月前からジャンジャンバリバリ稼働開始してしまってた訳で、
おまけに原発関連の仕事で生計を立てている人もいる現状。今さら全否定するのも僕には難しい。
僕に言わせれば「安全に制御できます」とか言い張って建設を推し進めた当時の連中が憎らしいし、
もっと元を辿ればそもそもそんなエネルギーを科学的興味と軍事的興味で発見した無責任な連中が憎らしい。
そりゃいつかは誰かが発見することになったエネルギーだったのかもしれないが、それでもムカつく。
自分の作ったものがどんな結果をもたらすか、責任持たなきゃダメだよ。
責任持てないくらいなら、んなもん作るんじゃないよ、と。
考えた
原発反対の要素、それを静観している国民の姿を批判する要素、そんな国でも守るのか?の問いかけに、政治批判とそれでも国民は生きていく!というのが混ざってて、面白かったです。場面展開にはうまくノレないところがあったように感じました。
今、また考える意味がある
犯人の底にある絶望は、世の中が産んでしまった。
ストーリーは重く、しっかりしていて見応えがありました。
今、また考える意味があるし、繰り返し考える必要があるテーマだと思いました。
ただ、息抜きと言うよりは緊張感を削ぐような、間の悪いオモシロみたいなやつが残念な感じ。内容を考えるとがっちり硬派でも良かったなあと思いました。
豪華なキャストの中、本木雅弘と綾野剛の存在感に惹きつけられました。
戸惑いながら職務を全うする若い刑事を演じた落合モトキも、たいへん印象的でした。
深い
東野圭吾の小説で読んでいたけど、小説では、長〜い飛行機と爆弾の説明ばかりで、中だるみし、ストーリーをあまり覚えてなかったけど、映画では、ストーリー重視で観やすくなってるし、ストーリーの上手に絡んでいく人間関係が東野圭吾さんの原作なので、とても良かった。
私自身、無関心な人間なので、とても考えさせられた。
役者もいい役者さんで、久々に邦画で観て良かったと思いました。
先見性は確かにある
皆さんの評価は高いようですが、確かにこの原作が書かれたのが1995年だということを考えると、そのメッセージの先見性には頭が下がります。
ただね、冒頭ヘリの設計技師である湯原(江口洋介)が、妻をはじめとして、やたら非難されるのですが、それが何とも解せなくて、物語に入り込めませんでした。また、犯人の主張からして、自分を追跡する警察に対する攻撃も、筋が通ら無いように感じました。
ヘリからの子供の救出シーンは洋画的で、良かったですね。
嫁で減点
さすが、東野圭吾原作!!
訴えることがしっかりしてて、
ボーッと見ているこちらが
恥ずかしくなるくらい…
ただ、江口洋介の息子!!
君はイーサンハントじゃないんだから、
空いてるハッチから顔出すのやめてくれ~~~
そして、江口洋介の嫁!!
もうちょっといい演技のできる
女優さんいなかったの??
周りの方がいい演技されてたんで
嫁役が棒で残念でした
骨太です。
見応え、ありました。
犯人の目星はわりと早い段階でついてしまいますが、それでも、展開されるドラマや配役がしっかりしているので、飽きませんでした。
原作が20年前に書かれたと言うことに驚きです。
オススメです。
今だから映画化
20年前の小説だったと知りビックリ。
シチュエーションは違えど、現実にありえる、と思える内容。原発の脆弱さは否めないのかも⁈
キャストも豪華ですよね。見応えのある一本でした。
余談ですが、撮影場所が近所だったのがわかり二度ビックリ。地元民は違う意味で盛り上がれました^ ^
絵は派手で良かった
ヘリコプター関連のCG(空撮もあった?)はかなり良かった。邦画のテロリストにしては計画もよく練ってあって、何がなんでもヘリを原発に落としてやるぞ、という気概が感じられた。ここはグッド。
一方で気になったのは臨場感。やたらと登場人物が叫ぶのは見ていて疲れるし、重要な心情描写を全て台詞で「説明」してしまうのは子供向けアニメだけにして欲しい。
自分の感情を説明するのは現実ではよくあることだとは思うが、そこは映画ならば絵や演技で魅せるべきではないのか。「冴えない女」とわざわざ言わなければ冴えない女に見えなかったし、雑賀の人柄が登場人物の言葉以外からは全く読み取れなかった。
上がってきた良質な脚本を、そのまま言葉で表現していっただけで、映像にする必要性を全く感じない。ただ、ヘリの救出や爆発の絵はとても良かった。ここを誉めてもあまり映画を誉めている気にならないのだが。
エンタテインメントとして面白い
時代を先取りした原作、原発問題への提言等の見方もあるのだが、それを抜きにしてエンタテインメントとして面白い。
日本のこのようなスケールが大きい映画は、海外映画と比べて予算の問題か、ちゃっちい印象が今まではあったが、これはそれが無い。
長時間飽きさせない脚本の良さもあり、テレビドラマでは決して到達できない領域と感じさせた。
東野圭吾は、はずれないなぁ~
20年も前に書かれた作品とは思えないほど、時代にマッチしていた。
あと、湯原の嫁(篤子)役の石橋恵が、いい意味でおばさん臭くよかった
全207件中、101~120件目を表示