百日紅 Miss HOKUSAI

劇場公開日:

百日紅 Miss HOKUSAI

解説

江戸風俗研究家で文筆家や漫画家としても活躍した杉浦日向子の漫画代表作「百日紅」を、「カラフル」「河童のクゥと夏休み」の原恵一監督がアニメーション映画化。浮世絵師・葛飾北斎の娘で、同じく浮世絵師として活躍した女性・お栄が、父・北斎や妹、仲間たちとともに生きた姿を、江戸の町の四季を通して描く。アニメーション制作は、原監督作では初となるProduction I.Gが担当。声優には、お栄役の杏、今作で声優初挑戦となる北斎役の松重豊ほか、濱田岳、高良健吾、美保純、筒井道隆、麻生久美子ら豪華俳優陣が集った。

2015年製作/90分/G/日本
配給:東京テアトル
劇場公開日:2015年5月9日

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第39回 日本アカデミー賞(2016年)

ノミネート

優秀アニメーション作品賞  
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映画評論

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(C)2014-2015 杉浦日向子・MS.HS/「百日紅」製作委員会

映画レビュー

4.0江戸の雰囲気

2024年7月16日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

江戸の雰囲気を味わえる、いいアニメだと思った。

史実物はどうしても争いを描くシーンが多く、
ワー!とかヤー!とか、がちゃがちゃうるさくなりがちだが
江戸時代という長く続いた平和な時代を、見てる側が「こんな雰囲気だったのかも知れない」と感じれるほどに、空気感が細やかにちゃんと伝わってくる作品だった。
歴史を振り返れば、もちろん「争い」というものが大きな出来事ではあるのだけれど、そういう大きな「事件」ではない「暮らし」「生活」にもドラマがかならずあって。なんでもないことほど、物語にはしにくいだろうけど、そういうものを見たい・知りたいと思っている人も多い。

そういう意味でこの作品は北斎とその娘を中心に、その周りで起きる出来事を通して、江戸での暮らしを垣間見ることができた。
単なる歴史上の人物が、すこし立体になった気がして嬉しかった。
絵も、綺麗だった。
もっともっと見ていたい気もした。

濱田岳さん、いい味出してる。松重さんも。

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cris

4.5お栄も、杉浦日向子も江戸の華

2024年4月29日
Androidアプリから投稿

HOKUSAIを鑑賞して、
その娘お栄にとても興味が湧きました。

検索してみると、彼女の遺した作品には驚愕させられます。腰を抜かします。
花魁も、吉原の町並みも、枕絵も。
目を見張るほどに肉感的です。
父北斎の作風とは異次元の絵描きです。

一緒に暮らしていて、変った絵を描き始めた娘を、奔放人の父親は咎めなかった事も、そこも面白い。

日本の「浮世絵」は、その画風と形式が、欧州の画家たちの目を奪ったことはよく知られているけれど、
逆に お栄がヨーロッパの油絵に触れた機会があったのではないかなと想像させる、肉感的な筆遣いなのでね。
そして「黒」の使い方が凄い。
レンブラントの名前を出した人もいるくらいです。

原作者は、
杉浦日向子さん。
彼女の語る「江戸の風物詩」と「庶民の情緒」は、いつもトラックを運転しながらラジオ深夜便で拝聴していました。
こうしてご著作がアニメーションになっていたのですね。

残念ながらアニメーションとしての出来は質が低い。風景は佳いが、人物が ( クレヨンシンチャン並み)。
だからこそ、ラストのタイトルバックに小さく「吉原格子先之図」をば申し訳程度に貼り付けるのではなく、
その逸品を、たくさん、大画面で映して、お栄の真筆で観客を圧倒させてもらいたかったです。

劇中、実際の作品ではなく、象徴的に用いられたイメージ画でしたが「 妹 お猶が、見えない目で金魚のたらい桶を覗き込む庭先の図」が、アニメ全体の頂点。

行方不明になって没年も分からないというお栄と、お栄に夢中になった早世の作家杉浦日向子と。
橋を渡った彼女たち。
江戸の花火のように、そして江戸の火事の炎のように、女たちの命は咲き誇りましたね。

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きりん

4.0陰間茶屋へオエイが行った?  オエイへの評価

2024年2月3日
スマートフォンから投稿
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マサシ

4.0【徳川幕府後期の江戸文化をこよなく愛した、僅か40代で早逝された故杉浦日奈子さんの原作に北斎の富岳三十六景の「神奈川沖浪裏」や彼女の傑作「百物語」の要素を盛り込んだ逸品。】

2024年2月1日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

知的

幸せ

■浮世絵師・お栄は、父であり師匠でもある葛飾北斎と共に絵を描いて暮らしていた。
 恋に不器用なお栄は春画にも手を伸ばすが、絵に色気がないと言われて落ち込む。
 が、決して絵を描くことは諦めなかった。
 そして今年も、嵐の予感と共に百日紅が咲く季節がやって来た。

◆感想<Caution!内容に全く触れていません!!>

・私が、杉浦日奈子さんの漫画「合葬」に出会ったのは、大学生時代だろうか。(年齢がバレるな。)
 そして、今作、そして彼女の最高傑作である「百物語」を読み、衝撃を受けた事は良く覚えている。この人は天才ではないか、と真面目に思ったのである。

・その後、彼女が次々に発表した江戸後期の文化を描いた著作の数々(例えば、当時の将軍の一日を描いた作品など。)には、魅了され愛読して来たが、早逝された後(ナント、40代後半である。)でも、私は書斎が一杯でも彼女の本は一切売っていない。
 それ位、彼女の江戸文化を愛するが故の、精緻に亘る作品群に魅了されたのである。

<今作は、杉浦さんの名作の一つである「百日紅」を根底としながらも、彼女の代表作である「百物語」の要素も絡ませ、美しい描写で描いている所が素晴しいと思う。
 序盤に出て来た鳴き竜の図は、京都では私が一番好きなのは、相国寺の法堂であると思っている。
 毎回、祇園でしこたま飲んだ後に翌日出掛け、拍手をし音響を楽しんでいるが、滅多に見れませんよ。心の洗濯であります。
 今作は、とても良きアニメーション作品であると思います。>

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NOBU