劇場公開日 2015年2月6日

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チャーリー・モルデカイ 華麗なる名画の秘密 : 映画評論・批評

2015年2月3日更新

2015年2月6日よりTOHOシネマズスカラ座ほかにてロードショー

ジョニーが使い慣れた変人キャラのスタイルを混合して活用!

チャーリー・モルデカイは怪しげな美術品を闇組織に売りつけては大金をせしめている、言ってしまえばペテン師ディーラー。一応は美術の知識はあるし、ロンドン郊外には瀟洒(しょうしゃ)で広大なマナーハウスを所有しているものの、如何せん、莫大な借金と税金滞納で破産寸前だ。そんなチャーリーがMI5や国際テロリストやロシアンマフィアを巻き込み、キャンバスの裏に財宝の在処が記されたゴヤの名画を追って世界を股にかける。

イギリスのミステリー作家、キリル・ボンフィリオリによるシリーズ小説の愛読者だったというジョニー・テップは、原作が持つモンティ・パイソンや「オースティン・パワーズ」に近い奇想天外な展開と、かなりえげつない台詞の応酬が大のお気に入りだったとか。そこで彼は製作も兼任して、「シークレット・ウィンドウ」(04)でほぼ1人芝居の醍醐味を味わわせてくれたデビッド・コープを監督にご指名。俳優としては、髭フェチで愛妻家で用心棒がいないと何もできないへたれキャラを、とても気持ちよさげに演じている。

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今回のジョニーを一言で表現すると、“墨のアイラインと白塗りを茶髪とちょび髭に換えたジャック・スパロウ×ウィリー・ウォンカ÷2”。もごもごした台詞回しと体のさばきも使い慣れたスタイルの混合みたいだ。意外な存在感を発揮するのはチャーリーを尻に敷く美人妻、ジョアンナ役のグウィネス・パルトロウと、ジョアンナの元学友で今も彼女にメロメロのMI5の刑事、マートランドを演じるユアン・マクレガー。20世紀末のセレブシーンを互いにリードした2人が、依然、美しさをキープしたままテムズ河畔のカフェで密会する場面は、映画にタイムスリップという予期せぬ要素を書き加えている。

特に、グウィネスのアンチエイジング感が半端ない。タータンチェックのミニ、裾が短い黒のパンツスーツと来て、ベージュのパンツで脚立に上がり、ワークアウトで鍛えたヒップラインを見せつけるグウィネス・パルトロウこそ、ジョニーを喰って本作の顔。物語自体も、夫が勝手に蓄えた髭へのアレルギーにもめげず、愛を貫く妻、ジョアンナの芯の強さが隠しテーマと言えなくもないのだ。

清藤秀人

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