ソロモンの偽証 後篇・裁判のレビュー・感想・評価
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前編の嫌な要素は丸々継承された上で作品の肝もキチンと潰した作品。
「前編・事件」の嫌な要素は丸々継承。
登場人物達の会話が不自然。
役者の演技が過剰過ぎて雑。
話の展開が全体的に都合主義。
荒唐無稽な設定を成立させるための気配りが不足しており。
全体的に雑味が多く話に没入し難い印象を受けました。
更に「後編・裁判」で追加された雑味、正確には発覚した雑味。
それは……或る人物の背景を全く描かない不誠実さ。
巧い出来とは決して言えないですが。
それでも「前編・事件」は一つの事件を多面的に捉える雰囲気は出ていました。
事件性という観点で処理する警察に対して。
学校内裁判は残された関係者の証言や事実を積み上げて多面的に真相を読み解く。
結果に行き着いた理由を各関係者が抱える背景や問題から推理/導出する。
そこには絶対的な、一方的な正義も悪も無く。
無いからこそ、時間を掛けて丁寧に描いた話が独自の厚みを持つ。
各自の事情を知り感情移入した上で改めて事件を振り返ると抱く印象が変わる。
つまり“一方的では無く多面的に描くこと”こそが本作の肝だと感じました。
にも拘らず。
本作では或る最重要人物の背景を全く描かない。
これを不誠実と言わずして何を不誠実と言うか。
この不誠実な対応により当該人物が一方的な悪に。
感情移入不能の怪物に仕立てあげられていました。
先入観や一方的な決め付けは良くないという話のはずが。
作品の肝がキチンと完全に潰されていました。
前編の嫌な要素は丸々継承された上で作品の肝もキチンと潰した本作。
個人的には主演の藤野涼子と板垣瑞生よりも。
判事 井上を演じた西村成忠の熱演が良かったです。
今の時代、「金八」的なベタな委員長を演じ切った点は好感が持てました。
間違って「前編・事件」を観てしまい結末がアレコレ気になり何であれ一応の帰結を確認したい方のみ。
オススメです。
読書への誘い❓
前編を観てあんなに盛り上がったのに、後編はドキドキ感が減った感じがしました。裁判も前編の説明が多く、謎解きの要素は低くなりました。事実関係を追うのに忙しく、登場人物の心理まで迫る時間はなかったのかも知れませんが残念です。
ですから、裁判後の生徒、大人の対応がご都合主義に思えます。事実が明るみに出たのに、警察や学校、保護者は動かないのでしょうか?生徒間に気まずさは残らないのでしょうか?涼子は、何故教師になったのでしょうか?映画では限界かもしれないので、原作を読んでみます。
中学生役のみなさん、頑張りました。どの子も印象が強かったです。次の作品も楽しみです。
緻密で大胆。
原作を読み終えて鑑賞。前・後編ともに期待に応えるものだったと私的には思った。
現代パートから始まり、(ま、またかよ…)とは思ったけど、それからは「省略の美」みたいなものに感服。やはり旨い。当然、映画としてスリム化する訳だけども、柏木の生に対する絶望を決定づける出来事まで削るとは思わなかった。そのかわりと言っては何だけど、前編で藤野涼子に対し「偽善者」「口先だけ」などの言葉を浴びせるなど、かなり接近させていた。この為、原作より涼子の裁判への動機づけに厚みが出ていた。相殺してた感じ。
大胆に大ナタふるって削りつつも、骨格、本質はしっかりしていたと私は観受けた。
ただ、もう少し原作みたくウィットを効かせても良かったと思う。そういう意味では是非とも映像化して欲しかったのが、神原側の証人・土橋雪子!「証人のユキで〜す!てへっ♪てかショウニンてなぁに?」みたいなノリで(笑)
映画単体でも見応えがあるけど、原作も面白かった。
生徒役の皆さんの演技、必見だと思いますです。
前編はよかった…
前後編の難しさ
前篇を観賞後、楽しみにしていた後篇ですが、多くの方が書かれているように期待値が高まってしまったようです
前篇に比べるとちょっと間延びした印象でした
途中から、誰がこの事件の本当のキーマンなのか分かってしまいます
さすがに真実までは分かりませんが、何となく予想は出来てしまうのが間延びした印象の原因だと思います
ネタバレになるので控えますが全て明るみに出てしまえば、観客にとっては前後篇合わせた約5時間、劇中の登場人物なら5日間もの裁判の日々…ちょっぴり拍子抜けでした
原作はおそらくもっとドラマチックに描かれているのでしょうが…
見処は新旧の俳優さんの熱演でしょうか
ベテランも若手も頑張っています
特に三宅樹里を演じた女優さんが印象的でした
また、被告人・大出役の役者さんも良かったです
20数年前の中学校ならひとりやふたりはいたキャラクターの雰囲気がよく出ていたと思います
結論…前後編の映画は難しいですね
映画は出来れば1度にスッキリ全てのストーリーを楽しみたいと思いました
後編を観る頃には前編の記憶が所々失われている事も損した気持ちにさせられます
(物覚えが悪い私が悪いのですが)
期待はずれ?
前編がとても面白かったため後編のハードルがあがってしまったのか、つまらなく感じました。
なぜ柏木君は自殺したのかがわからない…
かんばるくんの裁いて欲しい欲求も、個人的には理解できなかったです。
最後急ぎ足だったかなぁとも思います。松子の追悼コンサートとかいるか?ロードショーだとカットされるだろとか考えちゃいました。
松子、好きですけどね
僕を裁いてくれ~!
藤野
前編のワクワクハラハラドキドキから比べたら少し劣るかなとは思うが、傑作には違いない。
原作未読でもオチはある程度読めてしまったが、個人的にはあのまとめ方で満足。
キャリアの浅い若手俳優さんたちもとてもよく演技していたと思う。
藤野さんはこれから藤野さんとして生きていく訳だけど、今回あの髪型とメイクの印象が強く残った分、逆にルックス面で大きなギャップを今後見せつけられるから、良い意味でこの役を忘れさせられる可能性は高く、とても楽しみ。
みんなわざと可愛くなく格好よくなく撮られていたけど、今後が楽しみな俳優女優も多く、それを見られた点でも意義のある映画だった。
そしてこういう面白い日本映画を観ていつも思うのは、「これをオリジナルで作れる人材が映画界にいればなー。」ということ。
演じる側の日本映画の未来は明るいのだ、頑張れ映画界。
二部作映画の後編はダメになりやすい説
<良かった部分>
・リアリティがあった
・中学生キャストの演技力が素晴らしい
<悪かった部分>
・地味すぎる
・だいぶ急展開
<感想>
「ガンツ」や「るろ剣」のように、二部作映画の後編は駄作が多い気がするが、この作品は、原作が長く難しい作品であるにも関わらず、よく作り上げることができたなと思う。
しかし、いかがなものかというシーンが少しある。
例えば、序盤で藤野涼子が家を飛び出すシーン。どう見ても、ワガママな少女にしか見えない。あんな人が学校で裁判できるのか、不安に駆られる。
また、中盤で黒木華がビンで殴られるシーン。前編で酷い目にされているから人間不信になっていてもおかしくないのに、あんなに簡単にドアを開けるなんて少し変…
結論•とりあえず、中学生キャストが素晴らしい
過ちを背負って生きる覚悟
不満点から処理する。
まず、尾野真千子と余貴美子のパートは全くの蛇足。
物語の導入としては機能していたかもしれないが、
映画のテーマを台詞で語ってしまったり、主人公らを
ヒーローのような位置付けに固定してしまうあのパートは、
物語の現実味や感動をひどく陳腐なものにしてしまったと思う。
次に、謎や急展開が次々と提示された前編に対し、
後編はそんな驚きを与えてくれる要素が少ない
(解決篇なのでそこは殆ど宿命だとも思うが)。
三宅の吐いた恐るべき嘘には凍り付いたが、
最大の衝撃に成り得ただろう神原の真の意図については
そもそも観客に勘付かせる作りになっていて驚きは無い。
そして他のレビュアーさんも書かれているが、
みんなで謝罪する場面が多過ぎる。同じような場面が
繰り返されるのは物語のテンポとしてマイナスだし、
何よりひとりひとりをあまりにキレイに処理し過ぎていて、
前篇にあった生々しさが薄れてしまったというか、結局は
甘っちょろい性善説に落ち着いてしまった感が否めない。
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しかしながらそれは、登場人物ひとりひとりに救いを
持たせてあげたいという作り手の優しさだと理解する。
先述の神原の件も、観客にいたずらに衝撃を与えるより
彼の感情を観客に推察させる事を優先させたのだと思う。
前篇で期待していたほどの決着には及ばなかったし、
もっと情け容赦の無い結末を望んでいた気持ちもあるが、
それでもこの物語の人々の姿は――犯した過ちと
必死に向き合おうとする人々の姿は――心に響いた。
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柏木。
あの少年はどうしてあそこまで人生を憎み切っていたのか。
その詳細は最後まで語られない。
説明不足だと非難する向きはおられるだろうし、
原作ではもっと詳細が語られているようだが、
僕はこの映画においてこれ以上の説明は不要だと思う。
いじめを止められない。
辛い過去を忘れたい。
他者を理解しようとしない。
自分の子どもと向き合い切れない。
嘘を吐くことを止められない。
何故なら、怖いから。
人が傷付くよりも自分が傷付くことが怖いから。
そんな自分はなんて弱くて卑怯で浅ましい。
自分なんて生きてる価値すらない。
人それぞれが抱える罪悪感やうしろめたさ。
柏木は、そんな負の感情だけを映し出す
陰鬱な鏡のような存在だったのだと思う。
前篇で電車に轢き殺された藤野と同じく、
最も忌み嫌い消えてしまえと願う自分の姿なのだと思う。
彼が最後に見た、雪のちらつく真っ暗な空。
いつかあの空を見たことがあるような気はしないか。
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それでも、自分の過ちを背負って生きろと映画は語る。
毎度同じような所からの引用で申し訳ないが、
終盤の藤野や神原の姿を観ながら思い出したのは、
『サイレントヒル2』というゲームでの台詞。
「私は弱かった。
だからおまえの存在を望んでいた。
私の罪を罰してくれる誰か。
でも、もういらないんだ。
分かったんだ。
自分で決着はつける。」
悔いるべき過去があるなら、
死んで逃げるな、忘れて逃げるな、
他人に罰されて良しとするな。
悔い続けてそれを正す努力を続けろ。
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この物語は単に、自分はこうありたい、世の中は
こうあってほしいという願望に過ぎないかもしれない。
だが、願望をハナから諦めている人間が、どうして願望を実現できる。
善を語ることで己に善を課すというやり方もあっていいんじゃないか。
見応え十分の力作でした。
判定は前篇4.25、後篇3.75で平均4.0判定。
<2015.04.11鑑賞>
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余談:
にゃらんさんも書かれているが、ソロモンとは
旧約聖書の『列王記』に登場する古代イスラエルの王。
彼は神に何でも望みのものをひとつ与えると言われ、
『民を裁くために善と悪を聞き分ける心を
お与えください』と答えた。
この映画の“ソロモン”は、事件の全容を既に把握
していながら、裁判を続ける為に嘘を吐いた
神原のことを差していたのだろうか。
死の真相は何処?
前篇の勢いはどこへ行ってしまったのか。
後篇は学校内裁判が始まり、その一部始終が描かれることで徐々に事件の核心が見えてくる、宮部みゆきサスペンスの真骨頂とも言える展開のはず。
しかし、前篇で理由付けを省略してしまったツケが、後編にジャブのように効いてきて、全く説得力のない展開になってしまった!
終幕も、あたかも大団円のようだが、一体何が解決したのか、解らない。
確かに、校長や担任教師の汚名は晴れたかもしれない。
イジメっ子少年もイジメを認めた。
しかし、イジメっ子少年は心を入れ替えたのだろうか?
人の所為を決め込んでいた教師達は真摯に反省したのだろうか?
何より肝心なのはイジメられ少女だ。
彼女は深く反省したのだろう。
だが、虚偽告発の罪を死んだ友人に押しつけたまま、ましてや彼女の事故の真相を明かさぬまま、裁判を終わらせておいて、校庭で遺影にすがりついて泣いたらみんな許されてしまうのか?
自殺か殺人か、イジメっ子少年が犯人か否か、の疑惑の真相は明かされた。
しかし、主人公少女は裁判の目的を「柏木君と松子ちゃんはなぜ死ななければならなかったのか。それを裁判で明らかにする」と、宣言したのに。
中学生たちの真直な演技は好感が持てる。
その演技を真正面から受け止めるようなクローズアップの演出が効果的だ。
脇を固める大人たちが総じて良い演技をしている。
とか、前篇に引き続いて良いトコロは良いだけに、残念な気がしてならない。
モラルの注意書き
中学生である事の利点は、説教くさくならないって事もあるかも。
実に多種多様な、問題を内包し提議した作品だった…。
映画的には、編集があまかった感じ…。
に、つけても…陪審員って、きっと読者だったり観客の事だよな。
"いじめ"を主軸に話しは進むけど、まあ、あれもこれもと、いっぱいあった。
柏木は、ネット上で、他人を罵る人々のように見えた。
それに振り回され、自分を見失う軟弱者もちゃんと描かれてた。
傍聴の人々は、無責任な大衆そのもの。
懺悔をする事で免罪符なんか与えられないとか、告白したところで、押し付けたところで、過去かは逃げられない。
だから、自分で立って歩きなさいとか。
秘密を抱える強さと、臆病さとか。
さすが、宮部みゆき…と、感嘆いたしました。
きっと、映画には映画の顔があり、小説には小説の顔で読む者を迎えてくれる作品なんだろうなと思えた。
嘘に涙するよりは、人間が構築した器に恐怖した。
僕も、至って普通にそこの住人であることに。
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