ソウォン 願い
劇場公開日 2014年8月9日
解説
幼女暴行事件の被害者家族の苦悩と再生を、韓国で実際に起きた事件を題材に描いたドラマ。「王の男」のイ・ジュンイクが監督を務め、性犯罪の被害にあった少女とその家族が、絶望の淵に立たされながらも希望を見出していく姿を描く。両親と幸せに暮らしていた8歳の少女ソウォンは、ある雨の朝、酒に酔った男に暴行されてしまう。ソウォンは身体と心に一生消えない傷を負い、追い打ちをかけるように病院にはマスコミが殺到、さらに犯人逮捕のために彼女の証言が必要となる。両親は愛する娘を守るべく奔走するが、ある出来事をきっかけに、ソウォンが父親に犯人の記憶を重ねておびえるようになり……。「シルミド」のソル・ギョングと「美しき野獣」のオム・ジウォンが両親役を演じた。監督は「王の男」のイ・ジュンイク。
2013年製作/123分/G/韓国
原題:Hope
配給:アットエンタテインメント
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先般(2020/12)、この映画のもとになった事件の犯人が12年の刑期を終えて出所すると報道され、韓国社会にふたたび脅威をもたらしていた。
個人的な感慨だが、ペドフィリアのような者をなぜ生かしておくんだろう──と、よく思う。
世の中には生きていなくていいサイコパスがいて、そんなやつに権利なんていらないし、しねばいいのである。
わたしは犯罪者の人権に与しないし、それが特殊な意見──とりわけHarshだったり、処罰感情が高い、とは全くおもわない。死刑廃止に賛成している奴ってアタマおかしいんじゃなかろうか。
先日、死刑判決がでた座間の件で、男は執行までに結婚を希望している──とのことだった。世のなかには物好きがいる。いすぎる。
巷間には、結婚したくてもできない男がおおぜいいるが、9人ころしたサイコパスは、おそらく絞首台に立つまえに成婚するだろう。
なんにんも焼きころした京アニの犯人は世界に類例のない最先鋭の火傷治療をうけ、万全の医療設備/体制に置かれて治癒を待っている。
ざっぱくな感慨として、社会というところが、むしろ、犯罪者にやさしいことを、しばしば感じてしまう──ことがある。
新型コロナウィルス禍下にあるせいで、犯罪のニュースが、平時いじょうに、心に沈殿するようになっている。から、だとは思うが・・・。
主演のイレは2006年生まれ。
2020年現在14歳だが、子役からなので、既に業界に長く、なんらかのドラマでも見た記憶がある。
映画で見たのは犬どろぼう完全計画とこれだった。
未見だが新感染の二作目にも出ているようだ。peninsulaと命名されたそれは世評などを見るとコケているようだがイレが出ているなら見たい──と思った。
演技がじょうずなひとである。
韓国の子役はみな泣くのがうまいが、イレも泣かすと、ほんとにしか見えない。
韓国はドラマなどにおいて、子役にもガッツリと容赦なく泣かせる。
日本のドラマで、韓国のドラマのような子役が号泣する愁嘆場をやったら、児童虐待だと騒ぎ出す良識派文化人が、しゃしゃり出てくる──のではなかろうか。
イレはそれほど真に迫る演技をする。
また顔がいい。
きっと韓国~アジア圏で周知の代表的子役だと思われるが、オルチャンと呼ばれるタイプでもなく、業界っぽさもない。賢さとあどけなさが同意した、いい顔をしている。
なにより明瞭なアジア度がある。アジア人が美人化をはかる──ばあい、それはイコール、アジア度の払拭である。鼻梁を高くして、鼻翼をせまくして、眼窩をひっこめて、ふたえにして、えらをとって、ほお骨をひくくして、・・・。
が、ハリウッドではアジア的な顔立ちの俳優が生き延びる。たとえば、さいきんだと、いろんなところでBenedict Wongというモンゴルの相撲取りみたいな見た目の俳優を見る。Dr.ストレンジの隣にいるひとだ。やっぱ顔がいいから選ばれている。イレにもそんな魅惑のアジアがある。
ただ海外進出するなら、英語表記でRe LeeまたはLee Reってのは、改名の余地があるかもしれない・・・。
映画のもとになった事件は韓国を震撼させた非道なものだった。
wikiに以下のように書いてある。
『ドゥスンは性器を露出し、洗うように要求したが拒否されると頭部を殴るなどし、ナヨンが泣き出すと首を絞めて気絶させた。ドゥスンはアナルセックスなどで射精した後、発覚を恐れて便器で使う器具をナヨンの肛門に入れて精子を吸い取ったため、脱腸するなどして内臓が壊死した。また頭部なども水道水で洗ったため、視力低下と鼻腔炎、内耳炎を引き起こし、ドゥスンは水道水を流しっぱなしにしたままナヨンを放置し立ち去った。ナヨンは鼻骨骨折など最小でも全治8週間の怪我と、肛門と膣の80%を失うなどの身体障害を負った。』(ウィキペディア「ナヨン事件」より)
事件後、12年という軽い量刑についても紛糾したようだ。
韓国では性犯罪者がGPSアンクレットを付ける法律があり、導入後には再犯率が大幅に減ったという。
ナヨン事件の犯人においても2020年12月の釈放後も、GPS位置確認をふくめた厳しい監視体制が布かれる──とのことだが、被害者家族は、犯人の出所を恐怖しており、引っ越ししたいがお金がない、と韓国のニュースが言っていた。
お涙頂戴におとしてしまうわけでもなく、抑制をもって映画をまとめているのはさすがだが、事件の非道さで気が散ってしまい、冷静な映画判定ができなかった。
2019年7月23日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD
実際の事件を基に制作されたと聞いたので鑑賞。
とにかく、娘を想うお父さんの気持ちがひしひしと伝わってきて涙が止まりませんでした。
娘を守りたい、娘に何かできることはないか、でもどうすればいいのか分からない。
最後は感動の涙に変わりました。
2017年4月2日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD
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性犯罪という重く不快なテーマであるが、被害者家族を支える友人家族やクラスメートが暖かい人たちが多く、救われる。特に父親の工場長夫妻と息子。韓国では、周りの人と助け合う様子が映画やドラマによく出てくると感じる。被害内容など表現しずらいこともしっかり表現している点は評価できますが、実際に被害にあったり近い経験をしたひとは避けたほうが良いと思う。
韓国映画はすきですが、その中でも高評価の良い映画です。※TSUTAYAでおすすめされていました。
2017年1月5日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD
ネタバレ! クリックして本文を読む
韓国で実際に起きた幼女性的暴行事件を基にしたヒューマン・ドラマであるが、何年か前の「トガニ」のようなエグい衝撃作を期待したら少々肩透かし。
勿論、目を背けたくなる見ていて辛い場面もあるが、本作は、被害者少女とその両親が受けた心の傷からの再生を描いた感動作。
「トガニ」とは違った意味で、非常に胸に突き刺さり、心揺さぶられた!
始まりは何気無い家族の日常。
雑貨店を営む働き者の母は妊娠中。
父は工場勤務。家に帰ると、妻や娘の話よりTVの野球中継に夢中。妻に「娘は私が育てるからあなたは野球でも見てて」なんて言われる始末…。
そして、娘ソウォンは活発でちょっとおマセな女の子。
思えばこの何気無い描写が、これからすぐ起こる事件との対比に効き、ラストの感動に一役買う事に。
ある雨の日、ソウォンが何者かから暴行を受け、重傷を負った。
病院に駆け付けた父母に状態を説明した医師の言葉にゾッとした。
大腸と肛門を摘出し、人工肛門を取り付けなければ命に関わる。
大腸と肛門を摘出し、人工肛門を取り付ける?
一体どんな暴行を受けたのか。いや、それほどの酷い暴行を受けたのだ。
現場に犯人のものと思われる指紋が残っていたが、確たる物証が無い。
ソウォンが犯人の顔を覚えていれば逮捕に踏み切れる。
娘の事を思い、犯人逮捕を強く訴える父。
娘の事を思い、事件の苦しみを思い出させるような事をさせたくない母。
犯人逮捕か、癒えるまでソッとしておくか、今娘の為にどっちが優先か。
結局、ソウォンに容疑者の顔写真を見せ、犯人逮捕に踏み切った。
これが迂闊だった。
犯人が逮捕されればニュースになる。ニュースになれば幼い娘がどんな目に遭ったか公に知らされる。
病院にはマスコミが殺到し、周囲の好奇の的に。
が、この被害者家族の苦闘はここから。
妊娠中の妻が倒れる。
娘は事件の後遺症から喋らなくなる。
そして、父にとって最も辛い事が。
ある事がきっかけで、ソウォンが父を拒絶する。
当事者も家族も深い悲しみと傷を負い、救いと癒しはあるのか。
本作は韓国で多くの賞を受賞。
父役ソル・ギョングの名演、主演女優賞を受賞した母役オム・ジウォンも素晴らしいが、何と言ってもソウォン役のイ・レ。
その愛らしさ、達者な演技は芦田愛菜級!
救いと癒しがあったのが本作だった。
まず、周囲の人々が善良。
パッと見性犯罪者みたいな父の同僚。裁判で今にも爆発しそうな父に変わって怒りを爆発させるシーンは胸打った。
性犯罪被害児童相談センターの車椅子の女職員。嫌がるソウォンに容疑者の顔写真を見せ、コイツ絶対ムカつく社会権力者だと思ったら!
彼女がこの仕事をしたきっかけとなった悲しい過去、車椅子の理由…。
未だ顔さえ合わせられない父と娘。
父が娘と距離を縮めるとするある方法がよくよく見ればコミカルでシュールなのだが、父の不器用な愛に目頭を熱くさせる。
少しずつ少しずつだが、傷が癒え始めるソウォン。また喋るようにもなり、事件の事も話し始める。
犯人にしたある対応が自身の不幸を招き、その事を咎められたというソウォン。
いや、彼女は何も悪くない。彼女は心の優しい女の子なのだ。
退院。家へ。
あの悲しみから立ち直り、また穏やかな日々が訪れると思った矢先…
裁判。判決。
それは余りにも不条理。
犯人の卑屈さにブッ○したい思いに駆られる。
これが法の限界か。
ラストシーンは、それから暫く経った日々。
冒頭と同じ何気無い日常に感動した。
自分たちが前向きに明るく生きる事こそ、犯人への本当の罰。
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