映画 中村勘三郎

劇場公開日:

映画 中村勘三郎

解説

2012年12月5日に急逝した歌舞伎俳優・18代目中村勘三郎のドキュメンタリー。日本の伝統芸能である歌舞伎を世界に広めるため海外公演を行ったり、若い世代の心をつかむため現代劇の作家とコラボレーションするなど革新的な挑戦を続け、奔走した中村勘三郎。希代の歌舞伎役者がどこに向かって走り続けていたのか、その真実を紐解いていく。テレビのドキュメンタリー番組が20年にわたり密着し、舞台上の俳優としての顔から家庭でのプライベートな姿まで、記録された映像は7000時間以上。その膨大な映像素材を厳選・再構築して1本の映画作品に仕上げた。勘三郎が生前、強い思いを寄せていた全国の芝居小屋で巡回上映された後、東京・東銀座の東劇で劇場公開。

2013年製作/95分/G/日本
配給:松竹
劇場公開日:2013年12月21日

スタッフ・キャスト

監督
監修
塚田圭一
企画
田中亨
エグゼクティブプロデューサー
西渕憲司
岡崎哲也
プロデューサー
西村朗
後藤博
音楽
平井真美子
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映画レビュー

4.0中村屋、日本一!

2016年2月8日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

泣ける

2012年に亡くなった歌舞伎役者、中村勘三郎に10年密着したドキュメンタリー。

正直、歌舞伎は一度も見た事が無い。
歌舞伎の世界には疎く、どうも取っ付き難い。
中村勘三郎の名は勿論知っており、「やじきた道中 てれすこ」「ディア・ドクター」など映画でも何度か顔は拝見したが、それは歌舞伎の名役者であるという肩書きをただ頭の片隅に留めているだけに過ぎない。
だから本作で、初めて中村勘三郎という人物を真っ正面から見た気がする。
そんなド素人でも見応えある作品だった。

まず、ベタな感想だが、中村勘三郎の歌舞伎を生で見てみたかったと素直に思った。
そう思っただけでも本作を見た甲斐があった。
インタビューの中で、自身を貪欲と言っていた。
貪欲で、チャレンジャーだった。
歌舞伎の海外公演。
歌舞伎を外国語で披露する。
それは本当に歌舞伎か?…そう思わずにいられないのも無理はない。
歌舞伎は日本の伝統。
が、勘三郎は敢えて挑戦する。
日本の伝統の面白さと魅力を世界の人に伝える為に。
何も歌舞伎そのものをひっくり返す訳ではないのだ。
ちょっと趣向を凝らすだけ。
何事も吸収し、視野を広くする。
ジャンルは全く別だが、前に何かで、もし円谷英二が今生きていたら積極的に最新技術を使っていただろう、というのを読んだ事がある。
それをふと思い出した。
縛られない自由な発想、視野、挑戦、貪欲…それらが新しい成功を導く。

地位と名声を築いても、絶えず稽古に精進。
癌が発覚しても、再び舞台に上がる事を諦めない。
弟子たちへの厳しい指導、叱責、眼差し…。
もはや情熱を通り越して、執念。
歌舞伎馬鹿一代とでも言うべきか。

父亡き後の息子たちの決意の言葉にはグッとくるものがあった。
四十九日、孫は祖父の映像を見て真似事をする。
中村スピリッツは受け継がれている。

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近大

4.5駆け抜けた!

2014年11月18日
Androidアプリから投稿

泣ける

興奮

幸せ

素晴らしすぎる(><)まさに人生を駆け抜けたといった感じ。彼の人生短すぎたと一言ではいい切れない、濃~い人生を垣間見せていただいた、普通の人の何十倍も濃い人生だったことだろう。

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yasupou

4.0今を生きることの意味

2014年11月5日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

第十八代中村勘三郎が亡くなったことを知り、その日のうちに僕は、「一番好きな役者ではないし、一番上手い役者だとも思わない。しかし、一番客を呼べて、一番客を喜ばされれる役者だった」と書いた。
この20年間の勘三郎の活躍は、現代歌舞伎界の中で特筆すべきものだった。もちろん、猿之助あたりから「新しい歌舞伎」を作っていかなければいけないという強烈な刺激を受けただろうし、人柄から多くの歌舞伎以外のエンターテイナー達との付き合いの中で大いなる刺激もあっただろう。しかし、やはり歌舞伎界の中であれだけの活躍をしたのは傑出といっても過言ではない。後世の歴史にしっかりと刻まれるものだろう。

勘三郎は常々、そしてこのドキュメンタリー映画の中でも、「歌舞伎役者として今を生きる意味」という言葉を口にし、それを模索していた。だからこそ、あらゆるジャンルの芝居仲間と交流し、そこから「新しい歌舞伎」を創り出していった。
歌舞伎や伝統芸能を見る時、「今を生きる意味」を本当に実感させられる。歌舞伎を知れば知るほど、過去の「名優」達の名前とその評価を目にしていくわけだが、そこは想像の世界でしかない。
しかし、いま目の前で演じている役者達の評価は、「今を生きる」僕たちが下しているのだ。そして、それが歴史になっていく。

勘三郎という役者は、まさに「今を生きる」役者だった。そしてそれは、過去と、今と、さらに未来を感じさせてくれるものだったのだ。
映画でもそうだが、芝居でも、歌舞伎でも、「あぁ、いま、この時代にこの作品を見られて良かった」と思うことはしばしばある。過去や未来には、絶対に同じ感動を与えることはない、今だからこその感動と幸福感だ。それが、僕にとっての「今を生きる意味」でもある。だから僕は、そうした「自分がいま生きている意味を感じさせてくれて、幸せにしてくれる作品や、アーティストやクリエイター達には最大限の経緯を払っていたい。

第十八代・中村勘三郎という役者は、そういう意味では、間違いなく「今を生きる」意味を感じさせてくれた役者の一人だった。
本作の冒頭を見れば、製作者にも同じ気持ちがあったのだろうと推測できる。多いに共感出来るものである。

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