劇場公開日 2014年2月1日

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新しき世界 : 映画評論・批評

2014年1月21日更新

2014年2月1日より丸の内TOEI、シネマート新宿ほかにてロードショー

3人の演技派スターが火花を散らす、韓国版「インファナル・アフェア」

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<潜入捜査官>として韓国最大の犯罪組織=ゴールド・ムーンに潜入させられた男、イ・ジャソン=イ・ジョンジェ(「ハウスメイド」「10人の泥棒たち」)のスリリングで酷薄な潜入サバイバル顛末記。彼を潜入させたのがソウル警察課長カン=チェ・ミンシク(「オールド・ボーイ」「悪魔を見た」「悪いやつら」)である。ミンシクの登場だけで画面に渋み、淀みの気配がみなぎるあたり、さすがというしかない。もはや<至宝>の域なのだ。タイトルの<新しい世界>とは、警察がゴールド・ムーン会長の事故死(?)の後に勃発した組織の跡目騒動に介入するプロジェクト名である。黒いユーモアを感じる命名だ。

「新しい世界」で組織の中心軸となっているのが<華僑>系ギャングだ。イ・ジョンジェが潜入することができたのも、彼が<華僑>系だからという設定。これが新鮮。同族意識、<ブラザー>関係で結ばれた組織のナンバー2、チョン・チョン=ファン・ジョンミン(「生き残るための取引」)との関係がやるせない。ダーティワークに中国在住<朝鮮族>を使うのは、コリアン・ギャングものの新たな定番といっていいが、その<朝鮮族>の殺し屋のひとりが、「オールド・ボーイ」の用心棒をマニアックに演じたキム・ビョンオクというのが、嬉しい。彼とチェ・ミンシクの対面にニヤリとせざるをえないのである。

インファナル・アフェア」シリーズのフェリックス・チェンが「ジ・エレクション 仁義なき黒社会」の挿話で、警官だとアピールしても取り合ってもらえない潜入捜査官を自己パロディとして描いている合間に、韓国からみごとな系列作が登場してきた。何よりも、監督パク・フンジョン自身の脚本の勝利。

滝本誠

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