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建築のことはさっぱりわかりませんが、アートとか興味があるので、ちょっと気になって見に行ってみました。
事前情報でミレニアムブリッジを始めとするプロジェクトに携わったことはきいていたし、その建築の素敵さも写真では何度もみていましたが、もう、彼の手がけた建築の素晴らしさたるや…感嘆です…
オープニングのシーンからもうその知的で壮大なイメージに圧倒。一目の雪にクロスカントリーレース…もしや…フォスター卿の姿…。そのストイックさって一体…と思わず引き込まれるワンシーンでした。
その後はインタビューを交えながらのドキュメンタリーですが、パイロットになりたくて、自分はデザインをしている時は空を飛んでいる気分…的なことを言っていた時の、ものすごい馬鹿でかくて美しい吊橋…それを飛行機の視点で捉えて行くシーンの幻想的なスケールの大きさ…。
ミレニアムブリッジやルノーの出荷センターだっけな?ドイツの国会議事堂やテレコミュニケーションタワーやアメリカ航空博物館、本当にどの建物もうつくしく機能的で環境的な建築ばかり…ほんとこんなオフィスに努めたい…と思わせる建物ばかりで思わずうっとり。特にベルリンの国会議事堂は圧巻でした。
ただ、このお話、建築が素敵なだけではありません。ノーマンフォスターという人…。本当にすごい… 決して裕福ではないけど、勤勉な親を持つ家庭に生まれ、一度は市役所だっけな?公務員になりながら、改めて設計がやりたくなり、イエール大学へ。その後は輝かしい活躍とはいかず、危機的な状況ばかり…
香港が財政悪化し、支払いが滞ってしまい、会社が潰れかけたり、会社をやりくりしてきた最愛のパートナーをなくしたり、国際コンペに落ちたり…最後にはガンを患い、心臓発作を起こし、余命3ヶ月を宣告されるまでに…
そんな絶望的な苦境を味わいながらも、ひたすら前を向いて生きていく…その強さと、苦境すら感じさせないエレガンスさ…とても感動しました。
デザインは物事をよりよくするという信念だったり、建築は物ではなく哲学であり、何年先まで残る建築哲学を作ることができたら本望だというそのスケールの大きく潔い考えだったり、常に新しいプロジェクトに参加して、新しい国に飛び込んで新しいことを学ぼうとする姿勢であったり、本当に勉強になりました。
今や1400人を越える大所帯の事務所、本当であれば、組織がそんなに大きくなるとその哲学や思想は薄まるのが当たり前と思いますが、それでもその哲学は会社に根付いているようにも見えるし、ノーマンフォスターの強さが会社の哲学を守り続けているのがよくわかります。
しかし、イームズといいシュタイデルといい、ラガーフェルドといい、昨年みた天才たちのストイックさとそれを感じさせないエレガントさは本当にすごいし、ノーマンもそれらに負けじと劣らないエレガントさ!こうなりたいなぁ…と思ってしまいますね。
最後に、アブダビでの実験都市のプラン。
壮大で過去にない素晴らしいプランです。ノーマンの全てのデザインの集大成になれば…とおもいます。
あ、ドローイングもめちゃめちゃかっこよかったです!