はんなり
劇場公開日:2007年12月2日
解説
京都、そこに息づく伝統。われわれ日本人でも知っているようで、実はあまり本当の姿を知ることができない世界、花街。これまでも多くの映像作家たちがカメラを持ち込もうとして、誰もがやんわりとその扉を締められてきた舞台裏に、宮崎出身で現在ロサンジェルスで活躍中の曽原三友紀監督がその熱意を持って扉を開け、今真実の姿をカメラに収めた貴重なドキュメンタリー。
2007年製作/94分/アメリカ
原題または英題:Hannari: Geisha Modern
配給:SAKURA Production USA
劇場公開日:2007年12月2日
ストーリー
「ラスト サムライ」など数々のハリウッド作品で芸者役を演じた女優の曽原三友紀。彼女がメガホンをとり、京都の芸妓や職人の真実の姿を捉えたドキュメンタリー。「悲しすぎる誤解を解きたい」。そんな思いに突き動かされ、京都の花街を舞台にした記録映画「はんなり Geisha Modern」を製作した。監督は宮崎県都城市出身、現在ロサンゼルス在住で米国人の夫と一男一女がいる曽原三友紀。テレビ局のアナウンサーなどを経て結婚を機に1999年に渡米、女優になった。しかし、与えられる役はハリウッド的なイメージでとらえられた日本人役ばかり。特にゲイシャ役はひどかった。役づくりのため京都で舞を習い、芸妓(げいこ)、舞妓(まいこ)のこまやかな心遣いに接してきたのに、映画には生かされなかった。「バスローブ姿で男性の肩をもむシーンもあった。屈辱を通り越し、悲しかった。私が間違った日本人像を浸透させ、芸妓さんや舞妓さんをはじめ日本女性を傷つけているのではないか」。自己嫌悪に陥った。そんな折も折、米紙が「祇園の都をどりは南京大虐殺を祝うためのイベント」と報じた。もちろん大誤報である。「今、何かしなければ」。映画製作へ動きだした。初挑戦だった。生まれたばかりの長男を連れて、撮影協力を求め花街を歩いた。熱意が実り、2005年4月にクランクインし2006年11月、完成した。映画には15歳から84歳までの芸妓や舞妓が登場する。この世界に飛び込んだ理由や今の思い、日常などが京都の四季とともにつづられる。襟替え、踊りや三味線のけいこなどの舞台裏、扇子や帯、かつら職人など花街を支える裏方さんたちの姿も映し出した。観客は芸妓、舞妓の凛とした美しさにため息を漏らし、普段は表に出ない厳しいけいこのシーンでは驚きの声。お茶屋のおかみさんの飾らない本音トークには笑い声をあげる。こうして日本人ですら正しく理解していない花街の実像が浮かび上がる。