二つの祖国で 日系陸軍情報部

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二つの祖国で 日系陸軍情報部

解説

太平洋戦争時、日米両国で差別された日系2世たちの歴史をひも解くドキュメンタリー。米国陸軍の秘密情報機関「MIS(ミリタリーインテリジェンスサービス)」の中心メンバーだった日系2世の元兵士たちの証言をもとに、太平洋戦争時の米国側の極秘情報も取り上げて描く。米国籍をもちながらも人種差別を受けていた日系2世たちは、それでも自身の祖国である米国のため、両親の祖国・日本との戦争を受け入れた。長く沈黙していた80人近い元兵士にインタビューを敢行し、2つの祖国への思いを聞く。「東洋宮武が覗いた時代」(2008)、「442日系部隊 アメリカ史上最強の陸軍」(11)で第2次世界大戦時の日系人たちの歴史を追ってきたすずきじゅんいち監督による、日系史映画3部作の最終作。

2012年製作/100分/日本・アメリカ合作
原題:MIS: Human Secret Weapon
配給:フイルムヴォイス
劇場公開日:2012年12月8日

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映画レビュー

5.0わが国の教科書だけではなく米国でさえこの史実は語られて来なかった!

2012年11月14日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

泣ける

悲しい

知的

10月17日の試写で鑑賞。まずは、すずき監督の3部作完結をお祝いしたいですね。
前作「442」の後に自動車事故で奥さんの榊原るみさん共々瀕死の重傷とお聞きしていたので、お体の事と共に今作の完成も心配していたからです。思えば前々作の「東洋宮武~」をたまたま恵比寿で 観たことがきっかけで、日本人がもっと知っておかなければいけない教科書では教えられて来なかったこの実話を自分と同年代の監督が 製作資金も乏しい中で記録に残そうとされていることに感銘しました。証言者の日系人のみなさんが高齢となって取材出来る時間がどんどんなくなっていくその焦りが第一作を観ながら自分にもひしひしと伝わってきました。日系人捕虜収容所の存在については それまでも他の映画などである程度知っていたものの、同じ立場の移民であるドイツ系の人達は収容されなかったという徹底的な差別をこの作品で初めて知って大きなショックを!日系人同士の間でのトラブルがあった事も初めて知りました。続く「442」では、薄々知っていた日系部隊の活躍がこれほどまで壮絶だったとにこれまたショック! どんな名役者たちの演技もかなわない真実の証言に裏付けられた現実には驚くばかり。同じ日本人としていかに彼らを誇らしく思えたか!そして今作では全く知らなかった「MIS」の存在についてだからもう期待しないわけにはいかないわけで・・・本来なら「442」と同様にMISの実態もNHKとかが特集番組を作って当然であり、紅白歌合戦の莫大な制作費の何分の一でもそういう番組に受信料が使われるのであれば納得出来るのでは?と今も憤りを感じますね。まあ4年毎に腹立たしくなるけれど あれほど国民を感動させてくれるパラリンピックの満足な中継さえ相変わらずしないNHKだから無理というものか?見苦しいものは見せないという相変わらずの偏見が今でもまかり通っているようで・・・
ただ、今作に関しては、今だからこそ証言しなければ この事実が歴史から抹殺されてしまうという当事者たちの焦りと すずき監督の前二作の製作過程からの熱意により実っての結果だと思います。本当にご苦労さまでした。
それで「MIS」に関しての隠された現実が これほどまでもあったなんて・・・
過去の戦争映画やドキュメンタリーで、通訳をしていたりハンドマイクで日本軍に対し日本語で投降を促す日系兵士たちは確かに記憶があり、それは日本語がわかるから日系人兵士がその役を任されているのか程度にすら意識していなかった自分が恥ずかしくなりましたね。太平洋戦争開戦以前からMISは組織された事、山本五十六が撃墜された理由にNISの暗号解読があった事、戦後の進駐軍での活躍から なんといってもMISに従軍していた日系人の数は女性も含めて3,000人もいたという事実には唖然としました。それらのすべてが今まで極秘とされていたわけで、このままこの歴史が知らされないままに終わっていたらと思うと・・・
学校団体鑑賞はもちろんのこと 今回の東京国際映画祭関連としてもNHKや民放がもっとこの映画を取り上げて当然ですよ! 震災以降日本人魂の素晴らしいところが改めて世界が注目しているわけで 今作も震災のシーンに絡めて三部作の完結として監督が言いたいことがそのエンディングに素直にまとめられていて 半ばからラストまで涙が留まることなく溢れてしまいました。今まさに話題となっている沖縄ですが、「帰米」と呼ばれる日本で教育を受けて開戦前に偶然米国に帰った日系人の実態。MISの兵士としてその郷土の沖縄に上陸して祖国と戦ったという事実。その兄弟が日米で別れて戦っていたと後で知ったという証言など驚く証言ばかり! また特にこのインタビュー後に他界された元兵士のエピソードがラスト近くにありますが、これは涙なく観ることは出来ません!
立派な日本人でもあった彼らに敬意を表したいと改めて思います。
最後に監督にお願いが! 本作には使われなかった貴重な証言がもっとあったはずでしょうから、日本版DVD発売の際には、特典映像に少しでもそれらを入れてほしいです! 原爆証言ではないですが、それらの全てが今の日本人が知っておくべき事実としてすずき監督にその語り部として後世に残して頂きたいのです!
きたろうさんの音楽も前作同様に壮麗で 編集にもマッチしていてより強く印象深いものになっていました。
とにかく 年齢に関係なく、少しでも多くの日本人が観ておくべき映画だと思います!
50代の自分でさえ一昨年他界した父親からその戦争体験は聞かないうちに痴呆症になってしまった事に今更ながら悔やんでいます。沖縄決戦の実情も含め、今作では自分の世代すらも知らなかったこの歴史の事実だからこそ、特に若い人たちには観てほしい! 信じられないであろう教科書では教えてくれない日本の近代史の真実の1ページなのだから・・・・

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