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上田市上北町。何軒かの家でフランス人形が盗まれるという事件が起こっていた。転校してきたばかりの足立麻子(小泉今日子)の小学生の娘エミリ(木村葉月)が男に連れ去られ殺害される事件が発生した。同級生の仲良し4人の少女たちは、犯人を目撃するも、顔が思い出せず事件は迷宮入りする。
第1話 フランス人形
15年後の東京、目撃者の1人だった菊地紗英(蒼井)は極度に男に対して警戒心を抱き、女性だけの美容サロンで美容員として働いていた。その紗英に取引先の会社の御曹司である孝博(森山未來)とのお見合い話が舞い込んできて、最初は断るものの結婚を決意するに至る。孝博は小学校の2級上の先輩。
一度も生理になったことのない女・紗英。そんな彼女でもいいと言ってくれた、与えられたレールの上で何不自由なく過ごしてきた孝博。新居となる部屋へ招き入れられた紗英は、そこに15年前に盗まれたフランス人形があるのを目撃!そして孝博が生身の人間に興味を持てないことを告白する。「ぼくの人形になってくれ」などという求婚も異常だったが、2人は新婚生活を迎える。結婚式当日、式場に麻子が現れるが、紗英に罪を償う気持ちがあることを確認するに留まった。夫婦の営みもなく、はたから見ると異常な新婚生活。孝博が眠りにつくまで人形のように脇に立たせ、留守中には誰にも会うなと強要。それでも満足していた紗英・・・
突如生理になった紗英。女になった途端、人形ごっこの異常な生活に不満をぶちまけ、最後には夫である孝博を殺してしまう・・・そして、フラフラ彷徨う彼女の前に麻子の姿。犯人ではありませんでしたと告げるが、贖罪はどうなった?紗英に対して憐みの表情さえ見せる麻子だったが、彼女に対して幸せな生活を望んでいたことに違和感さえ覚える・・・
第2話PTA臨時総会
優等生であった篠原真紀(小池)はエミリちゃん事件で何もできなかったことに無力感を覚えるが、15年後には小学校教師となっていた。イジメ問題でも被害者の生徒にきつくあたることが父兄の反感を買ったりしていた。ある日、プールサイドでナイフを持った暴漢が現れ、果敢に暴漢に立ち向かったことが評価されたが、過剰防衛と思われるほど相手を棒で殴りつけた。剣道部での練習でも暴漢の姿が見えたせいで生徒に立ち向かうほどだった。やがて、暴力教師として生徒たちからネットの書き込みが・・・
エミリちゃんの命日に墓参している麻子と再会した真紀は、事の顛末を臨時PTA総会で釈明するから来てほしいと麻子に参加してもらう。そこでの釈明会見では15年前の事件から始まったが、結局辞意を表明した。麻子は「辞める必要ない」と慰めるが、「私に幸せになる権利はない」と固辞する。そこへ、プール事件で真っ先に逃げて立場がなくなった熱血教師の田辺(水橋研二)が現れ、真紀を殴る・・・え、それだけで真紀は死んだ??
第3話くまの兄妹
高野晶子(安藤サクラ)は自分のせいでエミリちゃんが殺されたと思い込み、劣等感を背負い込み引きこもりとなっていた。突如結婚して帰ってきた兄の幸司(加瀬亮)が結婚していて、連れ子の若葉の面倒をみることになった晶子。若葉とは徐々に打ち解けるようになっていったが、幸司の若葉に対する態度に不可解なものを感じ始めた。
ある時、幸司の住まい・・・倉庫を安く買い取り、仕事場兼住居とした荒れ果てた場所・・・に赴くと、幸司が若葉にいたずらしようとしていたように見えた晶子。過去にエミリちゃんを殺されたことがトラウマとなり、犯人のように思えて殺してしまった。これがつぐない?
警察に拘留されている晶子に面会にきた麻子。晶子の語りによる回想形式で物語が進んでゆくのだが、晶子は誰を殺したんだ?という視点で見入ってしまう。紗英や真紀に対しては優しく声をかけた麻子だったが、今回は晶子に対して冷たく当たる。エミリのためというより、自分のためじゃない?と、まぁ、まったく身勝手な晶子に怒りをぶつけるところがいい。
第4話とつきとおか
優しくしてくれた警官に憧れを抱いていた小川由佳(池脇千鶴)。15年後、フラワーショップを始めた由佳だったが、病弱だった姉の真由(伊藤歩)の結婚した相手が警察官であることを知り、嫉妬から彼女の夫・圭太(長谷川朝晴)を誘惑する。
見事妊娠した由佳。おかげで真由は自殺未遂。そして圭太を階段の上から突き落として殺してしまう。事件はうやむやのまま?麻子はそんな由佳に「幸せに・・・」と声をかける。途中、麻子から手紙が来たが、それを破り捨てた由佳。丁度、ラジオから流れてきた声にエミリ殺しの犯人の声だと直感した由佳は麻子に会い、取引しようと悪女ぶりを発揮する。それが何もないまま終わったことに不満・・・だが、なぜか他の子たちと不幸の度合いが違うことに不思議な気分にさせられた。
最終話償い
由佳の情報を元に、山梨県にある友愛フリースクールへと赴いた麻子。そこで出会ったのは大学時代の恋人・青木弘章(香川照之)だった。青木に殺されそうになるものの、彼には「あなたの知らない秘密があるの」と伝える麻子。
青木は実の娘を殺したのか?!と、簡単に読める展開だ。しかし、共通の友人であった久保田秋恵という存在が浮かび上がる。彼女は麻子の目の前で自殺したという経緯があり、彼女もまた南条(青木の旧姓)を愛していたのだ。よくある三角関係。最終話にきて謎が解けると同時に、ドロドロとした普通の作品のような結末となってしまった。青木の動機といえば、好きだった秋恵のことを中傷したりして、最後には自殺と追いやった麻子を憎むようになったこと。しかも大学時代には秋恵のことを忘れようと普通に付き合っていた2人。それが、忘れたい一心で飛び込んできた見合い話に乗ってしまった麻子により終わったかと思われていたのだ。たまたまフリースクールの物件を探していた南条が贈ったはずの指輪と秋恵の遺書を見つけてしまったことが原因。娘のエミリが友だちとともに宝物を隠していたからだった・・・
辻褄が合わない、というか、心情を想像すると、腑に落ちない点もあるのだが、強烈な贖罪ドラマであることには違いない。最後には青木も自殺するし・・・