肉の蝋人形(1996)

劇場公開日:

解説

蝋人形博物館で起こる猟奇事件を描いたホラー。『オペラ座の怪人』のガストン・ルルー原作で、「サンゲリア」のルチオ・フルチの監督作品で製作が開始されたが、フルチの急死で、撮影・特殊効果担当のセルジオ・スティヴァレッティ(「フェノミナ」「バロン」)が演出を引き継いだ。フルチと「スタンダール・シンドローム」のダリオ・アルジェントによる原案を基に、フルチとダニエル・ストロッパが脚本を執筆。美術はマッシモ・アントネロ・ゲリング。編集はパオロ・バナーシ。出演は「個人授業」「愛と哀しみのボレロ」のロベール・オッセン、「女優マルキーズ」のロミーナ・モンデロほか。

1996年製作/95分/イタリア
原題または英題:Maschera di cera/The Wax Mask
配給:コムストック配給(ポニーキャニオン=コムストック提供)
劇場公開日:1997年12月6日

ストーリー

1900年12月31日深夜のパリ。少女ソニアの目前で、両親が黄金の義手の男に惨殺された。12年後。ローマ。ひとりの男が閉館後の「蝋人形博物館」で謎の死を遂げる。館の主人は歴代の猟奇事件を蝋人形で再現する邪悪な芸術家ボリス・ヴォルコフ(ロベール・オッセン)。彼のアトリエは人体実験室さながらの気味悪さで、その蝋人形はまるで生きているかのようだった。謎の変死事件が以後も続発。事件の取材にあたる記者アレックス(ウンベルト・バーリ)はひとりの美しい少女と出会い、たちまち恋に落ちる。その少女とは、美しい娘に成長したソニア(ロミーナ・モンデロ)だった。ソニアは蝋人形博物館で衣裳係として雇われたのだ。美しい彼女をヴォルコフが見初めたのだが、それまで寵愛を受けていた助手アンドレア(リカルド・セルヴァンティ・ロンギ)は面白くない。そのアンドレアのなじみの娼婦が行方不明に。捜査が進むうち、ボリスへの疑惑が深まる。彼の正体は元錬金術師のマルタ・フォルク。彼は妻が浮気していた実験室に踏み込み、逆に間男に薬品槽へ突き落とされ、見るも無残な姿になった。だが、人工皮膚を開発して自らを甦らせた彼は、妻と男を殺してから、蝋人形師ヴォルコフに姿を変えた。ソニアは何と彼の娘だったのだ。ヴォルコフは天才である彼を認めない世間への復讐として、生きた人間を蝋人形に作り変えて、館に並べていたのだ。全てを知ったソニアにも彼の魔手が迫るが、すんでのところでアレックスに救われる。蝋人形館に火がつき、ソニアらは逃げのびた。炎の中、ヴォルコフの身体は溶解していく……。だが、ヴォルコフはすんでのところで、これまた人工皮膚によって生かしてやった助手アンドレアを身代わりにして生き延び、燃えつきる館を後にするのだった。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

3.0ルチオ・フルチに捧ぐ

2019年4月22日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 ルチオ・フルチが監督をする予定だった今作品。他界したために、急遽特殊効果担当のセルジオ・スティヴァレッティがメガホンをとることとなった。冒頭では「ルチオ・フルチに捧ぐ」の文字が痛々しく映る。

 プロットでは、人間関係の意外性や目の見えない叔母という小技も冴えていて、単なるホラーではなく、2時間サスペンスの雰囲気さえある。言いかえれば、これはホラーなんかじゃない!ということだ。もちろん、スプラッター要素も隠し味として加え、突如折りこまれるサブリミナル・エッセンスやCG効果もいい感じなのだ。さらに、ラストも秀逸で、思わず唸ってしまうくらいなのだが、何かが足りない。そう、恐怖感が足りないのだ。ルチオ・フルチなら不気味な登場人物と派手なスプラッターに作り上げただろうなぁ~と、ちょっと残念に思う。

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kossy

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