つづり方兄妹

劇場公開日:

解説

モスクワ国際つづり方など種々のコンクールに第一位を獲得、話題となった野上丹治・洋子・房雄三兄妹の物語を映画化したもの。「駅前旅館」の八住利雄が脚色、「母三人(1958)」の久松静児が監督、「嵐の講道館」の高橋通夫が撮影した。出演者は望月優子・織田政雄・香川京子・津島恵子・森繁久彌・乙羽信子らに、京阪神の劇団関係子役から選抜された藤川昭雄・竹野マリ・頭師孝雄が三兄妹弟に扮している。

1958年製作/103分/日本
原題または英題:The Child Writers
配給:東宝
劇場公開日:1958年8月23日

ストーリー

枚方市のはずれ、柿の木の下にある小さなボロ家。ここにブリキ職人の野村元治と妻みつそれに六人の子供が住んでいた。学校へ行っている圭一・まち子・文雄の三人は、みな天才と評判をとるほど作文が上手だった。圭一は作文コンクールで貰った自転車で新聞配達をしソロバンを習っている。まち子はみつ口だが、それでも学校の先生になろうと思っている。誰からもフウフウという愛称で呼ばれている文雄は、小学二年生だ。頑固な気性の元治は、出先きで面白くないことがあると、仕事を中途にして帰ってきて、酒をあおってゴロ寝してしまう始末だった。こんな不甲斐ない夫を見てみつは夫婦別れをする決心で妹のはまの許を訪れた。けれども、戦争未亡人のはまの口から、元治が月々生活の足しにと、いくらかのお金を届けていると聞かされ、みつは夫の心遣いにうたれた。こんな兄妹の生活に流れこんだ大きなニュース--モスクワの国際作文コンクールの話である。三人揃って書いた綴方は、いじらしい祈りをこめて遥か北の国の都へ送られた。折返し受取の通知が来たが、なぜかフウフウのだけは来なかった。フウフウは、学校の帰りに茶色の仔犬を拾った。マルと名づけて可愛いがった。フウフウは新しい夢を得たのだ。ある雨の日。いなくなったマルを探して駈けずり廻った文雄は、その夜高熱を出した。家庭薬で間に合わせたりしている間に、容体は取りかえしのつかないものになってしまった。文雄はわずか八歳で亡くなった。悲しみの中へ、新聞社の人たちが駈けつけて来た。そして、フウフウの作文が、モスクワで一等当選になったことを知らせた。せめて文雄の生きている間に--一同は新しい涙を拭った。

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