明日を創る人々
劇場公開日:1946年5月1日
解説
東宝・東芸提携作品。
1946年製作/82分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1946年5月1日
ストーリー
父は製鋼会社社員、姉娘は撮影所の記録係、妹娘はレヴュー劇場の踊子、その留守を守って母は貧しい家計を一人できりまわしている一家があった。その二階には郊外電車会社の運転手堀とその妻とがこれも貧しい世帯を守っていた。堀の会社もよし子の撮影所も生活改善のための争議が展開されている。父の会社は資本家のサボにより操業を中止し、近く大量整理を行うことになっていた。あい子の劇場では労働強化に対する不平の声が昂まっていた。母は物価高と、配給難で苦しんでいた。よし子は撮影所組合の婦人部の指導者で、地区の婦人団体と協力して深夜まで活躍していた。資本家をあくまで親としている父にはよし子の行動を叱っては見たが、自分の会社の馘首問題にはどうすることも出来なかった。堀も又過激な闘争員である。よし子の日頃の態度も堀の影響と誤解している父はその追い出し策を迫ったがそのため、父と娘の争いを生んだ。家庭的不平に満ちたよし子を慰め、力づけんとするものは照明係の松井と、劇場の内幕をだんだん覚って来た妹のあい子であった。父の会社も組合が結成されて資本家に挑んだ。なお自分の周囲がことごとく自分の考えとは逆に激しく動いて行くことに戦慄した。そして自分の考えが正しいのかどうか判らなかった。堀の子供が急病で死んだがその悲しみにもめげず争議に没頭する彼の逞しい精神に、一家のもの、特に父は感動した。そして父は今更のように勤労者の団結の力によって利益は擁護されるのを知り、よし子達の正しさをはっきりと知ることが出来た。あい子の劇場では永い間の封建的慣習のために踊子達の結束がうまく行かなかった。その時戸外から力強いデモ行進の歌が聞こえて来た。あい子が何気なしに見ると、そのデモ行進の先頭に父の姿があった。あの父が--あい子は叫んだ。こうした感動が劇場の踊子達を結束させるいい導火線となった。撮影所の交渉は決裂し従業員は生産経営管理に入った。交通争議も会社側の切崩しに苦戦となったが、堀もよし子もお互いに激励し合い応援し合った。そしてすべての闘争は勝利の日をむかえんとするのである。