陽気な女

劇場公開日:

解説

「北の三人」に次ぐ佐伯清の演出作品である。

1946年製作/73分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1946年2月14日

ストーリー

大都会の焼跡地。焼け残ったビルディングを改築したアパートの四階。失業者、元経済記者の松本民雄は大抵一日寝て暮らし夕方になって起きる様な男。一間置いて向こうの部屋には恋人の野村恒子が住んでいる。恒子はタイピストだが矢張り失業している。が何時も元気で希望に満ち、毎日就職に成功しなくても元気に希望の唄を歌いつつ帰って来る。彼女の唄はアパートに住む多くの失業者達の心を慰め励ますが、ただ、闇屋の黒田と富永は煙たがっている。恒子は矢張り失業タイピストの内山みち子と同居している。親もない境遇のみち子は善良だが気が弱く恒子はみち子を妹の様に庇って面倒を見てやらなければならない。同時に恋人の民雄の無気力さに困っている。恒子は互いに就職しない限り結婚しないと言う約束を固く守り就職運動の傍ら「新婦人」の懸賞論文を書きつつ寛大な愛情で民雄を無気力から抜け出させようと努力している。元軍需会社の課長中島は絶望のドン底で自殺を想う気持ちをみち子の愛情で慰められながら大臣の夢を未だ忘れない。ある晩民雄は酒を飲んで帰って来た。アパートの人々は皆飛び出して来た。得意になった民雄は驚く恒子に流行歌手になることを宣言する。この時民雄の面前に見馴れぬ娘が立っている。新しく越して来た新井陽子という女である。彼女の出現はやがてアパートに旋風をまき起こした。恒子は陽子と友達になった。彼女は奇抜な陽子の行動の原因を知った。不正と悪を憎む陽子は昔の夢を追い無気力と怠惰に日を送り黒田の横暴に屈するアパートの人々を覚醒させようとしていたのである。一方黒田は陽子が自分の不正を摘発する女探偵ではないかと疑い富永、平沼と共に留守中の陽子の部屋を捜索する。隣室の民雄は黒田が軍閥、財閥と組んで働いた不正を秘かに聞いて愕く。しかし民雄にとってはもっと愕く出来事が起こった。恒子が就職するまで別れようと言い出したからである。民雄は始めて自分が男らしい意志と行動力を失っていた事を悟る。この時中島は造船所の労働者に傭われ欣然として帰って来た。民雄は翌朝早く大運輸会社に仕事を求めに行って、意外にも男の社員達を命令している陽子の姿を見た。彼女はこの会社の腕利きの女秘書だったのである。アパートでは好色な黒田がみち子を暴力をもって己れの物としようとしていた。恒子はアパートの人々の助けを求めみち子を救う。アパートの人達は黒田に謝罪を要求したが黒田は富永の暴力を頼りに謝ろうとしない。そこに自動車運転手に採用された民雄が陽子と帰って来た。覚醒した民雄は昔の弱い男ではない。富永を叩きつけ黒田を謝罪させる。その時速達が届いた。恒子の論文一等当選と「新婦人」社が恒子を採用するという通知であった。ワーッと喜ぶアパートの人達。民雄と恒子、中島とみち子の結婚はめでたく実を結ぶのである。

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