美貌に罪あり

劇場公開日:

解説

川口松太郎の小説を「吹雪と共に消えゆきぬ」の田中澄江が脚色、「氾濫」の増村保造が監督したメロドラマ。撮影も「氾濫」の村井博。

1959年製作/87分/日本
原題または英題:Beauty the Enemy
劇場公開日:1959年8月12日

ストーリー

東京近郊にある蘭作りでは名の通った吉野庭園の女主人ふさは、二度の結婚とも夫に先立たれ、父の違う二人の娘を育ててきた。長女の菊江は農園の生活をきらい女流舞踊家になろうと家を出た。妹の敬子も、そんな姉に反発を感じながらも単調な田園生活に焦燥をおぼえた。若い農夫の忠夫は、その敬子を愛していた。忠夫には妹かおるがあった。生れつき口が不自由で聾唖学校に通っているが蘭作りの名人・隣の農場の息子周作を慕っていた。若手舞踊家藤川勘蔵の内弟子となった菊江は、上達も早く勘蔵の期待と愛情をうけた。ところが勘蔵の後援者・料亭粂川の女将おくめは、自分と娘と勘蔵を一緒にさせたいばかりに、家を出て行けと言った。菊江を愛する勘蔵はアパートに移った。心を痛めた菊江は自分名義になっている吉野庭園を売って師匠の家を買取ろうと、ふさに相談したが、ふさと敬子の猛反対にあった。菊江は前からあった周作との縁談を断り、勘蔵と世帯を持ったが生活は苦しくパーティのアトラクションに出たりした。一方、敬子は、秘かに受けた日東航空のスチュアデス試験に合格、忠夫の愛を振切って家を飛び出した。忠夫が羽田空港に訪れても野心に燃える敬子は振向かない。そこで片倉という青年と知り合い彼の毒牙にかかろうとするが危く逃れ、今は忠夫のことを懐しく思い出す身。庭園では--菊江との結婚を諦めた周作が見合したというので、かおるは大きな打撃を受けた。しかも、公団の土地買上げで庭園を手放すという、さくの話も彼女にはショックだった。希望を失ったかおるは鉄橋を歩いていた。轟然と電車が走りすぎた。そのあとに、かおるがうずくまっていた。周作が彼女を見つけた。月明りの道の上に求愛の字を書くかおるを周作は、ひしと抱きしめた。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

4.0増村保造監督の上手さ

2024年5月25日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

久しぶりに鑑賞、今回は購入DVD(特報、予告編、ギャラリー付き)
以前は若尾文子ばかりに眼が行ってしまったが、今回は杉村春子の凄さに感服。
3組のカップル、「家」の問題、金とプライドなど……いろんなエピソードを盛り込んでいる映画なので、楽しく観れる増村保造監督作🎥✨

女・菊江(山本富士子)と舞踏家の勘蔵(勝新太郎)が菊江の実家に戻ってくるところから始まる。
家の前にはオート三輪が止まっていて、忠夫(川口浩)と次女・敬子(若尾文子)が売り物の花を積んでいる。この二人、何度も共演していて大抵は恋人役なので本作も…?😍笑
更に、ランなどの栽培をしている周作(川崎敬三)、ろうあ者の三女・かおる(野添ひとみ)、そして一家の母親(杉村春子)などが繰り広げるドラマ。

かつては村の富豪だったこの「家」、現在は細々と生活している。そこに、公団が「土地を売ってくれ」と来るのだが、母親は先祖代々150年の歴史があるので断っている。

若尾文子はスチュワーデス試験に合格し、新たな生活を夢見て、川口浩には「新生活始まるんだから、あまり来ないで」と頼んでスチュワーデスとなる。ここで、若尾文子のスチュワーデス姿&洋服姿が美しい。和服姿が多い若尾文子だが、綺麗。更に、この後、水着姿までサービスサービス‼️😄笑

杉村春子が本領を発揮したのは、近所の人たちを集めた宴会の場で、「もう家や土地に執着する時代ではないんでしょうね」と挨拶した後、近所の人々にこれまでの厭味を言いながらお酌する。
このイヤミが痛烈で、ある男には「〇〇さん、長いことお花を安く買ってくれてありがとう。もう決して高く買ってくれなんて言わないからご安心を」とか、「△△さん、農地改革の時には1坪2円というタダみたいな値段で畑を買ってくれてありがとう」、更に「□□さん、高い利子でお金を貸してくれてありがとう」など……😂笑
この場面での杉村春子は、さすがである。「東京物語」での次女の役を思い出させる。

更に杉村春子が凄かったと思うのは「家の広間で踊る盆踊り」。
たかが盆踊りなのだが、ものすごく気合いが入っているように感じた。

たくさんのエピソードを盛り込んで、テンポ良く見せてくれた増村監督の手腕は見事。
増村監督はドロドロした人間関係を描くのが上手いと思っていたが、こうした物語を描くのも上手い🌟

<映倫No.11348>

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たいちぃ

4.0増村保造監督の人間描写が冴え渡る

2015年3月24日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

知的

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松井の天井直撃ホームラン

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