卍(まんじ)(1964)

劇場公開日:

解説

谷崎潤一郎の同名小説を「傷だらけの山河」の新藤兼人が脚色「「女の小箱」より 夫が見た」の増村保造が監督した文芸もの。撮影もコンビの小林節雄。

1964年製作/90分/日本
原題:Manji/All Mixed-up
配給:大映
劇場公開日:1964年7月25日

ストーリー

秘かに奈良の奥山を散策する二人の女性。手をしっかりと握って、どちらともなく微笑みかけている美しい二人は、洋服のよく似合う魅惑的な徳光光子。その眼は特に印象的だ。そして和服の似合うもう一人の女性は、弁護士柿内孝太郎の妻で、チャーミングな小悪魔を思わせる柿内園子だった。この二人は同性愛であった。先日も、園子の寝室で、その美事な裸体を披露した光子は、その美しさに興奮した園子と、激しく抱き合っていた。最初は恥かしがっていた光子も、だんだんその奇妙な魅力のとりこになっていた。すっかり光子の美しさに魅惑された園子は、光子に綿貫栄次郎という情夫がいることを知って、光子に裏切られたと、涙にくれた。だが光子を食いものにする綿貫は、園子と光子の愛情のこまやかなのを心配して、光子への愛を二人で分け合おうともちかけ、光子、園子、綿貫の奇妙な三角関係が生れた。だが、この関係も長くは続かず、光子と綿貫の関係を清算させようと園子が画策するのを知った綿貫は光子を脅迫した。これに絶望した光子と園子は狂言自殺をしたが、朦朧とした園子の眼に映ったのは、自殺の知らせを聞いて、駈けつけた園子の夫孝太郎と、光子の情事であった。ここに、光子のとりことなった孝太郎と、光子、園子の新しい三角関係が成立した。ところがある日のこと、三人にとって致命的な事件が起きた。綿貫が写真に撮った誓約書を新聞にスッパ抜いたのだ。醜聞は、広まり、三人の前には、自殺でつぐなうより他に手はないように思えた。ある夜ベッドで睡眠薬を飲んだ三人は、静かに事を処理した。だが翌日、光子と孝太郎はすでに息絶え、園子だけが生き残っていた。

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映画レビュー

3.0未来へ

2023年12月3日
iPhoneアプリから投稿

繊細な旋律と共に二人の女性の心を追っていく

しかし、それが裏切りや愛憎に揉まれるにつれて
絆を失ってしまったのが悲しい。
『噂の二人』もそうだった。

「殺して」「死のう」「逃げよう」
こんな言葉が要らない現実へ。
そうなる為のフィクションが必要だ。

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JYARI

3.0不思議な関係

2023年2月18日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

いつ見たのか忘れたけれど、新宿とか池袋の映画館で見た。若尾文子はすごく若いときは京マチ子さんの脇で可愛らしい(「浮草」)。大人になった若尾文子さんはベルベットのようなゆったりした柔らかみのある、聞いていて気持ちがいい声。でもそれだけで、演技そのものは上手いのか下手なのかよくわからない。どんな女優さんと共演するかによる人なのかなと思う。

京マチ子(「浮草」)、岸田今日子(この映画)、それから高峰秀子(「華岡青洲の妻」)との共演の若尾文子はとてもいい。

だからこの映画でも、面白くてじーっと見てしまうのは岸田今日子さんだったかなあ。

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talisman

4.0濃厚なスープの如し

2019年12月26日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

1964年・谷崎潤一郎原作・増村保造監督。主演若尾文子&岸田今日子。
冒頭からグイグイ物語が進む進む。このあたり流石の増村演出。若尾文子の裸までわずか15分。うーんスゴイ。

回想型の物語。岸田今日子の語りが超効果的。中盤あたりから想像してた話とは違う方向へ。(同性愛だけの物語ではなかった)
BGMのヴァイオリンと全編に渡る関西弁が特殊なムードで濃厚に突っ走りザクッと終わるそのセンス。今作はフェチではなく、従属的な関係性の愛とでもいう物語でした。

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散歩男

3.0違和感あり

2017年6月14日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

怖い

難しい

●引き込まれていきましたが、何となく違和感があり、
●後味の悪さを感じました。

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Tシャツおじさん
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