才女気質

劇場公開日:

解説

田口竹男の「賢女気質」の映画化で、京都の古い商家を舞台に親と子を通して時代の移り変りを描き出そうというもの。「第五福竜丸」の共同執筆者・新藤兼人が脚色、「紅の翼」のコンビ中平康が監督、山崎善弘が撮影した。

1959年製作/87分/日本
配給:日活
劇場公開日:1959年4月15日

ストーリー

京都四条木屋町の表具商松江堂は、三十年の暖廉を誇っていた。主人の市松はずぼらで気が弱く、女房の登代は世渡り上手の女丈夫で、店のきりもりはいっさい彼女一人でやってきた。登代は大学を卒業した次男令吉の花嫁候補を、西陣の織常の娘久子に決めた。さっそく祇園のお茶屋翁屋の女将で、市松の母つねを訪ね、仲人を頼んだ。登代は自分の離れに住んでいるスミに出てもらって、そのあとに令吉夫婦を入れようとした。スミは市松が小僧時代に世話になった店のお内儀で、夫の死後、戦争にいった息子一夫の帰るのを待っていた。市松は登代の考えに真向から反対した。そんな時、一夫が中国からひょっこり戻って来た。一夫は市松の弟成次が区会議員に立候補するので、そこの事務所に傭われることになり、スミと二人で登代の妹辰江の家の二階に移った。登代の冷い仕打ちに、娘の宏子は心を痛めた。そして、秘かに一夫に恋心を抱いた。令吉と久子は離れに移った。しかし、何かにつけて登代の勝気な性格は、久子に対してつらく当り、そのために久子はとうとう実家に帰ってしまった。令吉も後を追って家を出た。一夫は登代に宏子を嫁にもらいたいといったが、断わられた。宏子は一夫と結婚するために家出した。長男尚男の七回忌がきた。尚男は小さい時から頭がよく、医大に進んだが戦死してしまった。登代は残った二人の子供にすべての望みをかけていたが、その夢も無残にくずれた。今までは成次や辰江の忠告も聞こうとしなかった登代も、市松と二人だけになってしまうと、はじめて弱音を吐き、自分の非を認めるのだった。数日後、令吉夫婦が戻って来た。巡査になった一夫夫婦とも和解した。松江堂から久しぶりの笑い声が聞えてきた。活気の満ちた店先で、登代は相変ずテキパキと客の応待に当っていた。

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