おかしな奴(1956)
劇場公開日:1956年11月7日
解説
転げこんだ巨万の遺産を持てあまし百鬼夜行の大都会に金をバラマキに来た男の物語。“週刊新潮”連載の大佛次郎の原作を「母恋月夜」の笠原良三が脚色、「好人物の夫婦」の千葉泰樹が監督、「ロマンス娘」の完倉泰一が撮影を担当。主な出演者は、「殉愛」の小林桂樹、笠智衆、「女囚と共に」の安西郷子、「のんき夫婦」の久慈あさみ、「猫と庄造と二人のをんな」の三木のり平、「へそくり社員とワンマン社長 ワンマン社長純情す」の中田康子、「嵐(1956)」の東郷晴子、その他三津田健、多々良純、田中春男、小杉義男など。
1956年製作/92分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1956年11月7日
ストーリー
捕鯨船員早川大助は、アメリカの叔父の遺産百万円を相続したが、遺言によれば一文残らず使い果せとのこと。早速、紀州から東京見物に出掛ける。上京第一日、横浜のバー“ラ・マスコット”に入った大助は持参の鞄に詰った札束を怪しまれ、放り出されかけた処を馴染客の今村画伯に救われその家へ厄介になる。浮世離れした画伯は、銀座に洋装店を持つガリガリ夫人と目下別居中。大金の由来を説明する大助の言葉に嘘がないのを知ると、画学生キヌ子共々、幾日でも泊るようにと好意を見せる。翌日から大助は東京見物開始、案内役はキヌ子だが、例の鞄をタクシーに置き忘れたりして彼女をヤキモキさせる。その夜はキヌ子がアルバイトしているキャバレー快楽園へ。そこで超現実主義の美術家袋先生や、株屋梅谷、女給陽子らを知った大助は、料亭へ案内され大接待。一同は彼の大金引出しがコンタンである。陽子に代って芸者〆駒の口説き落し。怒ったキヌ子は、鞄を持って出てしまう。さて、幾日たっても鞄の金は一向に減らず、大助はいつになったら故郷に帰れるやら。数日後、これまた大金目当の今村夫人が案内した中華料理店で、大助は“ラ・マスコット”の女給エミ子に再会。彼女が世話を受けている中国革命の立役者ホー将軍に誘われたルーレット賭博場で大当り。ふくらんだ鞄を抱えその場を出たが、深夜、キヌ子の家を訪れてもオカンムリの彼女に追い帰され、嘆きの持って行き場がない。今村画伯は夫人や袋先生、梅谷達の醜い下心に腹を立て、翌朝戻って来た大助に、早く故郷へ帰れとさとす。お礼にと差出す札束も受取らぬ画伯。大助はキヌ子に心残りのまま帰郷。太地港で中古捕鯨船を購入し、その名もキヌ丸。だが出航間際にキヌ子が駈けつけ、大助は歓喜の声と共に、彼女の待つ岸辺へ向いザンブと飛込んだ。