曽我兄弟 富士の夜襲

劇場公開日:

解説

苦節二十年、今ぞ工藤陣屋におどりこむ五郎、十郎。御存じ曽我の仇討をイーストマン東映カラーで描く戦国絵巻篇。五都宮章人の原案から「ふり袖太平記」の八尋不二が脚本を書き、「忠治祭り 剣難街道」の佐々木康が監督、「海の百万石」の三木滋人が撮影を担当する。主な出演者は、「夕日と拳銃」の東千代之介、「青年安兵衛 紅だすき素浪人」の中村錦之助、「髑髏銭(1956)」の高千穂ひづる、「御存じ快傑黒頭巾 神出鬼没」の大友柳太朗、三笠博子、「海の百万石」の片岡千恵蔵、花柳小菊、「緑眼童子 (二部作)」の伏見扇太郎、「ふり袖太平記」の大川橋蔵、「父子鷹」の北大路欣也、「水戸黄門漫遊記 鳴門の妖鬼」の月形龍之介。その他、片岡栄二郎、三条雅也、山口勇、原健策、山手弘、植木基晴、植木千恵、歌舞伎の中村時蔵など。

1956年製作/111分/日本
配給:東映
劇場公開日:1956年10月17日

ストーリー

鎌倉将軍頼朝の世、一万、箱王の父河津三郎祐泰は、狩の帰途祐泰を妬む工藤祐経の手にかかり非業の死を遂げた。彼等の祖父がかつて頼朝に謀叛を起した事もあずかり、親子三人への世間の目は冷たかった。母満江は曽我太郎祐信に再嫁したが、兄弟は実の父を殺した祐経が忘れられなかった。仇を怖れる祐経の奸言もあって、頼朝は兄弟に処刑の命を下した。由比ケ浜に引立てられた二人は畠山重忠の必死の嘆願によって救われた。やがて一万は十郎と名を改め、箱王は箱根権現に仕える身となった。或る夜箱王は、頼朝公の富士の巻狩に狩場奉行となった祐経が権現に参拝するのを知ったが、一人ではどうする事も出来ぬ。これに気付いた祐経一党の追手を逃れた箱王は、遊女化粧坂の少将の許に匿れた。一方十郎も祐経を欺き都へ上るため遊女大磯の虎と別れを惜しんでいる時、祐経の配下に踏み込まれ、虎は狩場へ連れ去られた。十二年振りに再会した兄弟二人。義父から小袖と佩刀を与えられ、箱王は元服し五郎と名を改め二人は仇討の志を固めた。やがて狩がはじまったが、狩場の切手を持たぬ二人はただ焦るばかりだった。二人の本懐を祈る虎と少将。畠山重忠は兄弟のために門鑑と工藤の定紋を手に入れてくれた。兄弟は雨をついて目ざす工藤の陣屋にしのび入り十八年の怨敵祐経を討ち取る事が出来た。群がる武者の中で十郎は重忠の情の下に自刃し、五郎は捕われて頼朝の面前に引出された。さしもの頼朝も兄弟の孝心に心を動かし、五郎は晴れて富士を仰ぐ事が出来たのであった。

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