月に飛ぶ雁
劇場公開日:1955年4月19日
解説
原作はNHK連続ラジオ・ドラマで、「水戸黄門漫遊記 天晴れ浮世道中」の若尾徳平が脚色し、「慈悲心鳥」の松林宗恵が監督、「天下泰平」の完倉泰一が撮影に当る。主なる出演者は初めて他社出演する「幸福を配達する娘」の若尾文子、「明日の幸福」の有田稔、「一寸法師(1955)」の安西郷子、「初恋ワルツ」の清水谷洋子、「めくら狼(1955)」の小泉博のほか小杉勇、三宅邦子、千田是也、市川春代、日高澄子などで、歌手藤沢嵐子、早川真平とオルケスタ・ティピカ東京も出演する。
1955年製作/96分/日本
原題または英題:Farewell, Innocence
配給:東宝
劇場公開日:1955年4月19日
ストーリー
女子大生水沢麗子と時田喜美子は恵まれた家庭にありながら、社会人としての実力を養うと称し、家族には内緒でアルバイトサロンに働いていた。ある時、誘い合った他の友達が都合が悪く、喜美子は麗子の兄信夫と二人きりでスキーに出かけ、吹雪に襲われて危く山の人達に助けられたが、親達は共に二人が誤ちを犯したものだと思いこんでしまう。麗子の父は社員と一緒にサロンへ行き、娘の姿を見て驚く。流石に沈みこんだ麗子は、客の河村に誘われて熱海に一泊する。勿論サッサと別室を取って泊ったのだが、喜美子の家に泊ったことにして両親にわびた。そのころ麗子は客の雨宮に心を惹かれたが、一緒に働く若い娘たちの身にも色々と変化が現われた。ふみ子は苦学に疲れ、故郷に帰って親の言付け通り結婚することになった。麗子の両親は熱海のことを知って娘を責める。そして娘の潔白を信じようとしないので、疑われる苦しさの余り、彼女は家出して雨宮の許に走った。ところが力と頼む彼は、やがて密輸の犯人と判って検挙された。傷心の麗子は喜美子に伴われて信州の牧場にふみ子を訪れ、その幸福な夫婦生活に心をうたれた。そして麗子は東京へ帰ると、酒場のマダム真理子という情婦まである雨宮こそ、純粋な心で自分を愛していることを悟り、彼が出獄するまでふみ子の牧場で働くことにした。父母の激しい反対も、麗子の堅い決心は動かせなかった。