風立ちぬ(1954)
劇場公開日:1954年5月19日
解説
伊藤基彦、三輪礼二、瀬良庄太郎の共同製作になる東京映画、大雅社提携作品。堀辰雄の原作よりラジオ作家桂一郎と新人村山俊郎が共同脚色し、「金色夜叉(1954)」の島耕二が監督している。撮影は「春色お伝の方 江戸城炎上」の三村明、音楽は「地獄門」の芥川也寸志である。出演者は「女の園」の久我美子、「伊豆の踊子(1954)」の石浜朗、「真実一路」の山村聡、「花と龍 第一部」「花と龍 第二部」の山根寿子のほか、池部良、灰田勝彦、佐野周二などの賛助出演が予定されている。
1954年製作/101分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1954年5月19日
ストーリー
節子は軽井沢で弘と親しくなったが、胸を病む彼女は迎えに来た父荘太郎と共に東京へ帰ることになった。画家の荘太郎はかって愛しながら結婚できなかった泰子にここでめぐり合った。弘は彼女の甥だったのだ。弘は寂しく八ツ岳山頂に近い学校の実験所にこもった。彼の心を知った泰子は荘太郎を訪れて、二人の愛情について語りあった。帰京した弘は荘太郎に節子との結婚を申入れるが若い弘と病身の彼女を考え、人格を尊重して交際するよう、優しく話してやる。荘太郎が泰子をモデルに珍しく人物画を描き始めたころ、節子は弘とピクニックに行き過労から又も床についた。妻を失った荘太郎と未亡人の泰子は、再び溶け合った心持から結婚することになったが、病気の節子は大人の愛情が理解できず、「お父さん不潔よ」と叫んでショックから喀血し、遂に高原の療養所に入院した。かけつけ弘の看護に勇気を得た節子は次第に快方に向い、父と泰子との愛情を祝福するようになった。見舞に来た父と泰子の帰京を見送った節子は、弘と高原を心も軽く散歩するうち、不意に飛立った雉に激しいショックを受け弘の背に負われながら、清純な体と心のまま死んで行った。