春色お伝の方 江戸城炎上
劇場公開日:1954年3月17日
解説
邦枝完二がかつて東京タイムスと都新聞に連載した原作を「浮気天国」の松浦健郎が構成し、これに清水信夫が加わって脚本を書き、「叛乱」の阿部豊が監督している。撮影は「アチャコ青春手帳第三話 まごころ先生の巻」の三村明、音楽は古賀政男の担当。出演者は「勢揃い 大江戸六人衆」の宮城千賀子、「花の三度笠」の長谷川裕見子、「叛乱」の細川俊夫のほか、「魔剣」の中村扇雀が新東宝に初出演する。
1954年製作/101分/日本
劇場公開日:1954年3月17日
ストーリー
ここ江戸城大奥ではお伝の方が八代将軍吉宗の寵を一身に集め、同じ愛妾お歌の方の嫉妬をかっていた。お歌の方は西尾隠岐守と共にお伝の方を亡き者にしようと企み、漢方の秘薬をお伝に飲ませているが、お伝の方附きの典医安井竹斎の発見する所となる。竹斎は今評判の中村座の女形芳沢あやめと瓜二つの美貌の持主で、日頃お伝の方を慕っていたので、反対にお歌の方の膳部に毒薬を投じるが、許婚の奥女中妙がこれを飲んでしまい、竹斎は大奥より姿を消した。ある日吉宗はギヤマン風呂による半裸の美女達の人魚踊りの中から、一際目立つおはんを見出すが、お伝の方の叱責でおはんは追放になるので、以後おはんも彼女を恨むようになる。お歌の方は懐姙し殿中は喜びに沸いた。或日お伝の方附の腰元千世は、これが隠岐守の種によるものである密談を聞いてしまうので、隠岐守に殺害されるが、たまたま中村座で隠岐守と一緒になった竹斎の知る所となる。竹斎は深手を追いながらも楽屋に逃れ、芳沢あやめに一切を打明け、お伝の方に伝える事を頼む。事の重大さにあわてた隠岐守とお歌の方は燈火を倒し、江戸城は紅蓮の炎に包まれた。竹斎は重傷もいとわず火事装束の大岡越前守に直訴した。隠岐守は自害したが、お伝もまた吉宗にみとられながら息を引きとった。