北海の虎

劇場公開日:

解説

東京映画目黒撮影所の「夕立勘五郎」に次ぐ第九回作品で、「馬喰一代(1951)」「無法者」など一連の北海道ものを書いている中山正男の原作を、新井一が脚色し、「南十字星は偽らず」の田中重雄が監督している。撮影は、「夕立勘五郎」の栗林実の担当。出演者は「野戦看護婦」の藤田進、「夕立勘五郎」の花柳小菊、旭輝子、「急襲桶狭間」の龍崎一郎、、劇団“若草”の子役水村国臣(獅子の座)、「地獄門」の植村謙二郎などである。

1953年製作/104分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1953年11月17日

ストーリー

昭和十八年、網走港。戦争の影響で人手が足りなくなった伊谷漁業部では、理事の伊谷が捕鯨船の砲手長の補充に昔の相棒大林七五郎を口説きに出掛けた。七五郎は今は蒲鉾工場に勤めて、母を亡くしたわが子出の成長だけを楽しみに暮していた。町の祭に乗り込んできたオッチョコチョイ一座の花形うめは出と口をきくようになり、出もうめになつくので、伊谷の世話で七五郎はうめを後添いに迎えた。うめを迎えて七五郎も出も楽しい生活が始まり、うめは七五郎にも増して出を愛した。しかし、七五郎にインチキを見破られうめに去られた香具師の親分大学の慎吉は一味を使って七五郎を待伏せた。勿論七五郎の敵でなかったが、うめは石つぶてに当って失明した。その頃、伊谷は脚を傷つけ海上輸送が出来なくなった。彼を見舞った七五郎は何事か決心する。七五郎の決意を察したうめは自ら七五郎を海に送ると言い出した。出に好い母親が出来て安心した七五郎は荒海を筏一つで乗りまくる壮挙に出た。しかし七五郎は流氷のオホーツク海に消えさり、再び帰らなかった。それから十年、捕鯨船の船長としてオホーツク海に乗り出した伊谷は、七五郎に捧げる花束と酒を感無量の面持で荒海に投じた。

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