モンテンルパ 望郷の歌

劇場公開日:

解説

昨年重宗プロにより「残された人々」の名で製作された。「甲賀屋敷」(49)の脚本をかいた劇作家青江舜二郎が脚本担当、「飛びだした日曜日」の村田武雄が監督している。杉本正二郎が久方ぶりに撮影にあたった。小堀誠、汐見洋、石黒達也、芥川比呂志、杉村春子、荒木道子など新派、新劇人が出演している。

1953年製作/74分/日本
配給:大映
劇場公開日:1953年7月22日

ストーリー

死刑囚を夫に持つ妻、そしてその家族たちは父や夫の帰りを心から祈りつつ、苦しい生活にわずかな希望を抱いて生きている。今日も生活のためかつぎ屋をして生計を立てている女が警察に捕えられる。しかし警察は、そのころモンテンルパという名前さえ知らなかった。警察ばかりでなく当時は世間の人々も殆どそれに無関心であった。がモンテンルパの刑務所では、ずらりと並んだ独房の各室に、いつ死刑の宣告を受けるとも分らない同胞が生きていた。彼等はいずれも善良な父であり、夫であり、兄である人たちばかりだ。彼等もまた戦争の犠牲者であり、はるかに故国に想いをはせ、時には味噌汁の話などに心をまぎらしていた。彼等の唯一の心の友は教誨師であった。教誨師は囚人たちが死刑執行にあたって、心安らかに十三の階段を登ることを祈っている。しかし此等の人々がなぜ死刑囚なのか。教誨師は時にその怒りを胸に秘め、彼等が晴れて故国の土を踏むことができるように祈っていた。比島人の中にも彼等の無罪を主張し、法廷で立証する娘もあった。内地でも苦しい生活を送る遺家族を慰さめ励まして廻る復員者もあり、家族の声を録音してモンテンルパに送る人もあった。こうして内地でもモンテンルパでも、戦争の償いをしようとする日本人の悲壮な努力が高まって行った。

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