おかる勘平
劇場公開日:1952年3月21日
解説
昭和二十六年十二月帝國劇場公演のミュージカルプレイを原作として、「情炎峡」の小国英雄が脚色し、「水戸黄門漫遊記 地獄谷の豪族」のマキノ雅弘が監督に当たっている。撮影は「決闘鍵屋の辻」の山崎一雄である。主演者は「極楽六花撰」の榎本健一、「哀愁の夜(1951)」の越路吹雪で、その他岸井明、橘薫など舞台人のキャストに、岡田茉莉子、津山路子、木匠久美子など。
1952年製作/92分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1952年3月21日
ストーリー
丸の内に約半世紀の歴史を誇る帝劇では、「お軽と勘平」の公演をひかえてごったがえしている。三階の稽古場ではまたしても主役の羽根本健一と山路吹雪とが演技のことで喧嘩をしている。日頃お互いに尊敬し合っている二人だが、芸のこととなると夢中でいい合うのだった。山路には教養も資産もある紳士の相馬という許婚者があるのだが山路は舞台をやめることがいやで、結婚を一日のばしにしている。ダンシング・チームの高砂松子は近頃稽古には遅れるし、落着かない様子で、彼女を恋している照明係の後藤の気をもませている。舞台で「顔世」を追いかける「力弥」の渡邊綱も、楽屋では「顔世」の外山霞に借金をかえせと追いかけられている。踊子達の給料が盗まれたときには、羽根本は借金をして黙ってそれを払ってやるし、踊子達は元の仲間の小川夕子が、結婚して赤ん坊を抱いてたずねて来ると、その余り楽でない家計に同情してみんなでお金を出し合ってやる。山路の結婚の話をきいてから、羽根本はもう彼女と喧嘩しなくなった。山路はそれが淋しかった。そうして千秋楽の日が来た。高砂松子の許へ母が死んだという知らせが来る。しかし、最後の舞台を無事つとめるようにという母の遺言で、松子は涙をこらえて踊っている。山路も今日が最後の舞台で万感をこめて舞台をつとめている。やがて最後の緞帳がおりて、山路を送るささやかな宴が舞台で催され、彼女は相馬の自動車で去っていった。人気のない客席に、淋しいそうな羽根本の背後に誰かやって来た。あまりの傷心のさまに、山路が相馬から舞台へ帰ることを許されて引きかえして来たのだった。間もなく次回公演の激しい、しかし活気あふれた稽古がはじまるのだった。