三人の顔役
劇場公開日:1960年7月10日
解説
斎藤良輔・芦沢俊郎・井上梅次の共同脚本を、「太陽を抱け」の井上梅次が監督したもので、長谷川一夫が暗黒街のボスに扮するアクション・ドラマ。「扉を叩く子」の小林節雄が撮影した。
1960年製作/107分/日本
原題または英題:The Rambler in the Sunset
配給:大映
劇場公開日:1960年7月10日
ストーリー
その夜、津村隆太郎は計画通り脱獄した。バー・マドンナのマダム千鶴は、二年間獄中で忘れなかった女だ。抱こうとする津村の手を千鶴は払った。津村は二年前殺人事件の黒幕であった自分が捕まったのは、両腕と頼んでいた修吉か、達也か、直接殺しをして獄中にいる内藤のうちの誰かの密告によるものと信じていた。ストリップ劇場を営む達也の所へ警官が踏み込んだのと、津村からの電話は同時だった。危険をさとった達也はとある建築現場で津村に会い、修吉が津村を裏切り今は千鶴とも出来ていると告げた。修吉と千鶴がいつも逢いびきに使うという不二アパートに踏み込んだ津村と達也は、修吉を見た。しかし女は千鶴ではなかった。修吉は達也こそ裏切り者だといい、津村は二人の争いを抑えた。大坂の兄弟分を頼り、更に沖縄へとぶ津村のために、二人は資金作りを約束し、津村はその夜はストリッパーの葉子の住む河岸の小屋に身をひそめた。翌朝、津村の枕許で葉子は婚約者の内藤が死んだと告げた。刑期が明けるのを待たず、獄中で患ったまま死んだという。そして裏切り者は、昔内藤の親友だったペットの勝だと津村に教えた。修吉から船で迎えに行くから釣師の姿で河岸で待つように使いが来た。やがて釣をする男を警官隊が囲んだ。葉子のあどけない顔が現われた。物かげでこれを見る津村の胸は復讐の念に燃えた。津村はペットの勝を呼び出した。しかしピストルをもつ手は高林に抑えられた。以前は名を売ったが今はトラックの運転をして真面目に暮す高林は、津村に定期便で下田の兄弟分の所まで落ちることをすすめた。夜の再会を約束してバー・マドンナに戻った津村は、千鶴に下田落ちをうっかりもらした。修吉は干鶴から、達也は葉子から呼び出されて不二アパートにやって来た。現われた津村は言いわけする二人をあざ笑い、引金を引いた。達也が倒れ、修吉は外へ逃げた。津村をのせた高林のトラックは各所で止まった。臨検する警官に聞くと、津村組の親分がトラックで逃げたためだという。千鶴までも裏切った。津村の心は決まった。トラックは向きをかえ、千鶴と修吉のいる町をめがけて走り出した。