怪談片目の男
劇場公開日:1965年9月4日
解説
「怪談せむし男」の高岩肇と「大勝負」の宮川一郎が共同でシナリオを執筆、「銃殺」の小林恒夫が監督した“怪談シリーズ”の第二作目。撮影は高梨昇。
1965年製作/84分/日本
配給:東映
劇場公開日:1965年9月4日
ストーリー
恩田産業社長恩田晃一郎が、無惨な水死体となってあがった。原因は夜釣の舟が転覆したための事故死と断定された。葬儀の後、別荘に集った関係者は、晃一郎の妻で、晃一郎の生前からカメラマン下田宏と関係のあった妻美千子、恩田産業の専務で、秘かに会社乗っとりを企む大西重雄、恩田の妻美千子の兄で、晃一郎を検死した主治医の深沢哲夫。かつて、晃一郎の車にはねられ、半身不随となって以来、生活保護を受けている園雪子。それに晃一郎の認知証を持って、やってきた幼ない武田陽子の面々であった。彼等は皆、宇野と呼ぶ見ず知らずの弁護士からの呼び出し状を持っていた。だがその夜から恩田邸では怪事件が勃発し始めた。深夜晃一郎の好きなトロイメライが邸内に聞え、確かめに行った深沢が行方不明となったり、バスルームで神父を見たという雪子につづいて、葬儀の参列者を撮った下田の写真に晃一郎の姿があったのだ。不思議な事件は続いた。墓地の納棺室の晃一郎の死体が深沢の死体と入れかわっているのだ。それを見た晃一郎の秘書秋山圭子は、大西に頼まれ深沢の調合したしびれ薬を晃一郎に飲ませたことをロ走りながら、海に沈んだ。殺意をもっていた美千子と下田はその直後、バスルームで晃一郎を窒息させ、穴のあいたモーターボートに乗せた。そのボートから、晃一郎を海に突き落したのは、大西と深沢であった。美千子と下田の寝室に、神父姿の晃一郎が現われた。気が動顛した美千子と下田は、それぞれ事故を起して死亡した。恐怖にかられた大西は晃一郎の亡霊にとりつかれ車を崖にぶつけて即死した。晃一郎の墓に祈る雪子に近づいた神父姿の晃一郎。雪子はそれが、晃一郎とは双生児の兄弟である健二郎であることを知っていた。健二郎は殺された兄晃一郎の復讐を雪子に誓った。だが雪子は意外にも「社長の遺産を二人で分けよう」と言うのだ。しかも半身不随は芝居だった。裏切られた健二郎は、初めて仮面をとった。死をのがれた晃一郎だったのだ。驚いた雪子は誤って熊手で背中を刺して、死んだ。晃一郎は薬を飲まされた直後冷たい水に投げこまれ、蘇生して、神父になっている弟健二郎の許に逃げこんだのだ。だが健二郎は復讐するという兄をとめようとして鐘楼から墜落死したのだ。総てが終った時、陽子を婆やに預けた晃一郎は、ボートで沖に出ていった。