あすの花嫁
劇場公開日:1962年9月9日
解説
壷井栄原作から「海峡、血に染めて」の棚田吾郎が脚色、「遥かなる国の歌」の野村孝が監督した青春明朗篇。撮影もコンビの横山実。
1962年製作/77分/日本
配給:日活
劇場公開日:1962年9月9日
ストーリー
汐崎百合子は小豆島から神戸の藤陰短大に入学した。母親フヨが女手一つでここまで育て上げ、自分の母校に入れてやったのだ。母となじみの寮監瀬川にあたたかく迎えられ、勉強兼アルバイトの学校生活がはじまった。快活な百合子はすっかり寮生たちの人気をさらってしまった。一方、小豆島では、百合子の幼ななじみでオリーヴ園に働く宇太郎が、取材に来た大井川という中年の男を案内していた。彼はかってフヨと激しく愛しあった仲だった。当時無理矢理ひきさかれた二人の胸には再び青春の炎がもえあがった。夏休みが来た。帰って来た百合子は母の様子が今までと違うのをいぶかったものの、遊びにやってきた学友の十糸子や宇太郎とはしゃぎまわった。お盆になって、フヨは神戸へ行き大井川と会った。祖母のハツの話をふと立ち聞きして愕然となった百合子は娘らしい潔癖から帰ってきた母を責めた。そこへ十糸子が自殺未遂という電報がきた。母親をふりきって神戸行の汽船にのった百合子は、偶然乗り合わせた宇太郎にすがったが力強くさとす宇太郎の男らしさに救われた。十糸子に「反抗だけじゃいけないのよ」宇太郎の言葉をかみしめながら慰める百合子だった。病院のかえり道、宇太郎は彼女に大井川をひきあわせた。「東京へ行きます、もうお母さんにはお会い出来ないでしょう」と静かに語る大井川に百合子は何も言えなかった。彼女の顔に明るい微笑がよみがえったのは間もなくだった。街で夫婦茶碗を二組買った百合子は、一組は「お母さんと大井川さんに」と、そしてもう一組の大きい方を恥ずかしそうに宇太郎にさし出すのだった。