アイ・ジョージ物語 太陽の子
劇場公開日:1962年9月9日
解説
「大氷原」の秋元隆太と「気まぐれ渡世」の若井基成が共同で脚本を執筆。「佐久間・大空の恋愛学校」の近藤節也が監督した、ラテン歌手の半世記。撮影は「考える葉」の仲沢半次郎。
1962年製作/72分/日本
配給:東映
劇場公開日:1962年9月9日
ストーリー
海にあこがれて、ぶらりと横浜に流れてきた譲治にはでっかい夢があった。競輪選手やパン職人もやったが、もっと生きがいのある仕事をと放浪しているのである。荷役作業員として働く彼を、風太郎の神津が何くれとなくみてくれた。パチンコ屋で働く治子はかって見ず知らずの譲治を助けてくれた美しい娘だった。文なしのくせに大きな夢を抱く譲治に、治子は惹かれていくのだった。ふとしたことからギターに興味を覚えるようになった譲治は、治子の励ましもあっていつしか歌手を志すようになった。作業員を廃業、艶歌師のクラブに入った譲治は大賀という二枚目とコンビで盛り場を流し、変わったムードが大いに受けた。だが、突然、治子が姿を消し、大賀も女と逃げていった。傷心の譲治をマスコット人形のジョニーがやさしく励ますのだった。それから、北海道から近畿、近畿から九州へあてもなくめぐり歩く譲治の姿があった。と、ある町の芝居小屋で治子と再会した譲治は金でしばられている治子を連れ大阪へ逃げだした。大阪での相棒は北川。大分景気もよくなった二人の当面の夢はナイト・クラブ「アロウ」の桧舞台を踏むということ。再びつきまといだした芝居小屋のボスが譲治を傷つけ、心を傷めた治子は譲治との愛の巣を飛びだしいずこともなく立ち去った。悲しみを歌に託してこの試練に耐える譲治だった。腕ききのプロ・マネージャー古川が、豊かな声量と独特のムードを持つ譲治に目をつけて「アロウ」での仕事を持ち込んだ。そしてアイ・ジョージの芸名での本格的なデビューは、トリオ・ロス・パンチョスとの共演。ステージで声をかぎりと歌う譲治に、「立派な君自身のラ・マラゲーニャだ」とパンチョスも讃辞を贈るのだった。そして、譲治の熱演ぶりをテレビで小料理屋の女中治子も見守っていた。