その人は女教師

劇場公開日:

解説

三船敏郎の実子三船史郎のデビュー第一作。脚本は「終りなき生命を」の宮内婦貴子、監督は「俺たちの荒野」の出目昌伸、撮影は「栄光への反逆」の黒田徳三がそれぞれ担当。

1970年製作/93分/日本
原題または英題:Forbidden Affair
配給:東宝
劇場公開日:1970年8月29日

ストーリー

竹内亮と速水マキの出合いは、新宿デモの敗走と流血の中から生まれた。虚しい抵抗のあと、刑事に追われて逃げまどう亮は、通りすがりの女マキにすがりついた。マキは間近にせまる追跡者の足音を知ると、とっさに亮を抱いて恋人のように唇を重ね、その場の亮を救った。その日以来、亮にはマキの面影が忘れられぬものとなった。しかし、二人の再会は意外に早く出現した。亮の通う青北高校に赴任した女教師がマキだった。だが、マキは亮を無視し、公式通りの授業を続けていった。学生運動に熱中する亮は学園ストの際に、市の有力者である父親の修造が、機動隊導入の立役者であったことを知り深い傷をうけるが、かつて全共闘の闘士であったというマキが、その傷口をいやしてくれるものと、秘かな期待を抱いていた。マキは、年上の女教師にひたむきな青春を賭ける亮をさとすが、体ごとぶつけるような激しさでマキを求める情熱の前に屈し、美しい湖畔の山荘で二人は結ばれる。マキと亮の噂は急速に広がり、それをしった修造は怒り狂い、校長と共に、二人を引きさく策略をたてた。夏休みを利用してマキが帰郷している間、父親に軟禁された亮は、必死でマキの家を訪れたが、あえぬまま姿を消した。亮の家出をマキと結びつけた修造は、マキを“未成年者略取誘拐”として告訴した。新聞をみたマキは、亮とあうためにあの山荘を訪れ、互いに生命を確め合うように激しく抱き合った。しかし町にもどったマキは逮捕され、亮は警察で二人の純粋な愛情を説いたが、父親はマキへの告訴を取り下げなかった。もはや亮に出来る唯一の道は、死をもって抗議することだけだった。やがて釈放されたマキの頬には涙が流れていた。辞表を出したマキは、亮の葬儀に出席し、親族の火を吹くような憎悪の目の中を焼香台に向うが、冷たく焼香を断わる大人たちに対してマキをかばうのは亮と同じ若者たちだった。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

4.0その人は女教師

2012年10月21日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

出目昌伸の作品だが、作品自体はフランス5月革命の最中に起こった高校生と女性教師の引き裂かれた愛と国家権力との軋轢を描いた仏映画「愛のために死す」の日本リメイク版なのだが、ディテイルやリアリティとしては当作品の方が数段上。 68年当時首相だった佐藤栄作の発案で開かれた伊豆川奈でのASPAC国際会議に反対して激しく政治活動を行った地元の静岡県立KN高校の高校生たちの学園闘争を実際の背景に置いているから、不自然さがなく、実際にバリケード封鎖の後、学校はロックアウト体制をとり、放水車を含む機動隊との激突など、当時KN高には全国から支援の活動家も結集して大きな学園闘争となった。 本編に出てくるような、都会育ちで大学闘争を経験した新任の女子教員が実際にいたかどうか、反戦活動家の高校生と恋に落ちたかどうかは不明だが、当時の雰囲気としてはそれはそれでありうる話だと思う。68年10.8新宿騒乱罪適用の夜、警察官に追われる男を、恋人のように振る舞いとっさにキス迄して救ってやる位の事は当時の時代を背負った女子学生ならやっただろう。 むろん、その偶然の出会いに赴任校で再遭遇するというのは、まぁありえない話でこれ以降はフィクションだが、映画初出演の三船史郎の存在感、若かった岩下志麻の魅力もあって、それなりに唐突ではない話が展開されているのは出目の映画作りの上手さではないか。 レンタルDVDには常にあってほしい1枚だ。70年前後の学園闘争の記憶を失わないためにも。

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satoka

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