犬神家の一族(1976)

劇場公開日:1976年11月13日

解説

名探偵金田一耕肋を主人公にした横溝正史の同名小説の映画化で、湖畔にそびえる犬神邸に次々と発生する怪奇な連続殺人事件に挑む金田一耕肋の活躍を描く。脚本は「反逆の旅」の長田紀生と日高真也、市川崑の共同、監督は「妻と女の間」の市川崑、撮影は同じ「妻と女の間」の長谷川清がそれぞれ担当。

1976年製作/146分/日本
原題または英題:The Inugamis
配給:東宝
劇場公開日:1976年11月13日

あらすじ

日本の製薬王といわれた信州・犬神財閥の創始者、犬神佐兵衛は、自分の死後の血で血を洗う葛藤を予期したかのような不可解な遺言状を残して他界した。犬神家の顧問弁護士、古館恭三の助手、若林は、莫大な遺産相続にまつわる一族の不吉な争いを予期して、金田一耕肋に助力を得るための手紙を送ったが、那須に着いた金田一と顔を合わさぬまま、何者かに毒入り煙草で殺害された。奇怪な連続殺人事件は、若林の死からその第一幕が切って落された。佐兵衛は生涯妻子を持たず、松子、竹子、梅子という腹違いの三人の娘があり、松子には佐清、竹子には佐武と小夜子、梅子には佐智という子供がいる。そして、犬神家には佐兵衛が今日の地盤を築いた大恩人である野々宮大式の孫娘、珠世も住んでいた。問題の遺言状は佐清の復員を待って公開されることになっていたが、戦争で顔を負傷した佐清は、仮面をかぶって一族の前に現われた。ところで遺言状の内容は、犬神家の全財産と全事業の相続権を意味する三種の家宝、斧(よき)、琴、菊を佐清、佐武、佐智のいずれかと結婚することを条件に、珠世に譲渡する、というものだった。だが、佐武は花鋏で殺され、生首だけ菊人形の首とすげかえられ、佐智は琴糸を首に巻きつけられて、そして、佐清も斧で殺された。犬神家の家宝「斧(よき)、琴、菊」(よきこと聞く)は、いまや祝い言葉ではなく、呪いの連続殺人の呼称となった。犯行現場付近には、いつも珠世と猿蔵の姿があった。私立探偵金田一耕助によって血で血を洗った犬神家の系譜が次々と過去にさかのぼって解明されていく。

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(C)KADOKAWA1976

映画レビュー

4.5 犬神家がいる世界を饒舌に語る美術とカメラワーク。その落ち着き。

2023年11月13日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD
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すっかん

3.0 偶然の集積を解明した金田一はそりゃ名探偵だわ

2022年2月13日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

単純

難しい

珠代と女中のはるが大変美しい。現代でもトップクラスに可愛いぞ。美の基準は当時と変わってないのか。

途中までは独特の雰囲気で良かったが、後半いまひとつ。力技なんだよなあ、なんだか。華麗なトリックや謎解きが欲しかった。佐清も言っていたがほんと偶然が重なりすぎ。。最後には「全ては偶然の集積でした。」なんてぶっちゃけちゃってるし!

それにしてもよくわかったな金田一くん。。

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momokichi

5.0 市川監督のセンスは今観ても斬新

2017年11月27日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

知的

市川崑監督の実験精神に溢れた傑作。回想シーンはモノクロで輪郭が潰れるほどに露出を上げてみたり、カラフルな花で歌舞伎像を彩ってみたり、有名な湖に浮かぶ逆さ足など、シュールな様式美は今観ても斬新。
謎解きの面白さ以上に、人間関係の陰湿さの印象が勝り、トリックの裏にはドロドロの家族関係があり、謎解きパートにはスッキリとしたカタルシスよりも人間の業の深さへの戦慄が勝る。

有名なスケキヨの白いマスクは映画が作ったイメージで、原作ではより人間の顔に近いマスクをかぶっている。この白マスクの不気味さも市川崑監督の独特のセンスによるもの。

ルパン三世で有名な大野雄二氏の劇伴も素晴らしい。昭和初期の街なみにフリー・ジャズをつけ、そのミスマッチもまた不穏な空気を与えるのに抜群の効果を発揮している。テーマ曲の「愛のバラード」の痛切なメロディーが胸を締め付ける。

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杉本穂高

3.5 高峰三枝子礼讃

2025年9月14日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

2022年、「角川映画祭」で鑑賞。

横溝正史ブームの最盛期、小学生の僕は、テレビドラマの金田一耕助シリーズ(古谷一行が演じていた)を夢中になって見ていた。
一方、映画版=本作は、テレビの映画劇場で見たことはあるけれど、映画館で鑑賞するのは今回がはじめてである。
そんなわけで、筋書きを知っているからあまり新鮮さはなかったけど、楽しめた。

まず、やはり市川監督の演出に感服した。なんといっても、犬神家の広間、親族が集まって諍いがはじまるシーンがすごい。たたみ掛けるようなセリフと、ぱっぱっぱっと短いカットをつないでいく手法は何度見ても見事としかいいようがない。ひじょうにスリリングなこの場面は間違いなく本作の見せ場のひとつだが、同時に日本映画史に残る名シーンといっていいと思います。

それから、この作品は照明も素晴らしい。日本建築の内部で表現される、美しい光と陰が印象的です。

あと、脇役の大切さということも改めて考えさせられました。
小沢栄太郎、大滝秀治、三木のり平、加藤武……。昔の役者はいい顔してます。坂口良子もなんともいえず可愛いし。
昔の俳優は、演技が達者なのはもちろん、存在じたいが絵になるんだよなぁ。

そして、高峰三枝子。彼女の迫力ある演技がこの作品の大きな見どころとなっているのはいうまでもないこと。さすがベテラン、威厳に満ちた素晴らしい芝居です。
主演は石坂浩二ということになっているけれど、僕はこの映画の本当の主演は高峰三枝子だといいたいですね。

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peke