バイバイ・ラブ
劇場公開日:1974年12月6日
解説
ある不良青年と女装した美貌の少年との奇妙なロマンスを描いた青春映画。東映東京撮影所助監督出身の藤沢勇夫の第一回監督作品。
1974年製作/85分/日本
配給:その他
劇場公開日:1974年12月6日
ストーリー
「痴漢に追っかけられてんの助けて!」と目の覚めるような美少女に救いを求められたウタマロは、掴えてみたものの痴漢とは警察官で美少女ギーコは実は万引女。警察官は公務執行妨害で手錠をかけようとするがウタマロは拳銃を抜きとって、そのままギーコと街の中にドロン。「あんたさ、そんなやばいことして、しまいには死ぬよ」と言ったもののギーコは危険な事が好きで好きでたまらない。ピストル使って高級レストランで食逃げのベビー・ギャング。「うちに遊びに来ない!やっちやってもかまわないのよ」意外な事にギーコはアメリカ人の囲われもので大きな西洋館に住んでいた。ギーコの魅力にぞっこんまいっているウタマロはなんとか寝るチャンスをつくろうと必死。気をもたせておきながらギーコは肝心なところでするりと逃げる。寝る寝ないで二人は大ゲンカをおっぱじめるが、やがて二人は意気投合して、抱き合う。だが、ウタマロはギーコが実は女装した少年であることを知る。そこにアメリカ人のパトロンが帰ってきて、二人の仲を誤解し逆情の余りピストルをつきつけるが、反対にウタマロに射殺される。二人は遊戯の逃亡の旅に出る。旅先で出会ったドサ回りのストリッパーを抱いて寝てみるが、ウタマロにはギーコの事が頭から離れない。「ギーコ、お前どうして女じゃないんだよ」けんかしたり、仲よくなったり、つかず離れず、ゆきあたりばったりに動きながら、二人は空想的な相互片思いの関係に入ってゆくのだった。盗んだ自転車を湖のほとりで走らせ遊びまわる二人にも警官の追手は迫っていた。警官との銃撃戦……。娼婦を買って裸にし、ラジオの架線を各各の体にまきつけ、ショートさせ、電流と音楽で二人の心をつなごうとする。逮捕は時間の問題、とラジオは報じていた。「あんた私のこと好き?」「好きだよ一番」二人は小さな痛みを感じるのだった。抜きうち寸前の西部のガンマンのように二人は見つめ合う。「青森東映の深夜映画館の中でデリンジャーみたいにおち合おう」ウタマロは青森めざして林道のトンネルをくぐった。トンネルを出て左にハンドルをきると警官隊の非常線が銃弾の雨を浴びせかけた。ウタマロはけっとばされた箱みたいにひっくり返って死んだ。数日後、一人の少年がウタマロのシャツを着て街を歩いていた。それはまぎれもなくギーコだった。