青い春
劇場公開日:2002年6月29日
解説
漫画家・松本大洋の同名短編集を松田龍平主演で実写映画化した青春映画。「ポルノスター」「ナイン・ソウルズ」の豊田利晃が監督・脚本を手がけ、原作に収録された複数のエピソードを基に不良高校生たちの閉塞感に満ちた青春の日々を鮮烈に描き出す。男子校・朝日高等学校の3年生になった九條と幼なじみの青木は、仲間たちと一緒に授業をサボって屋上に集まり、柵の外側に立って手を叩いた回数を競い合う危険な度胸試し「ベランダゲーム」をする。新記録を出した九條は学校を仕切る権利を手に入れるが、彼にとってはゲームも学校を仕切ることも無意味なことだった。漠然とした不安と苛立ちを抱えながら退屈な日常をやり過ごす彼らに、やがて進路選択という現実が否応なく突きつけられる。
2001年製作/83分/日本
配給:ゼアリズエンタープライズ
スタッフ・キャスト
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3.5花
しゃらくせえなと思いながらも最後まで見てしまったのは松田龍平の色気ゆえか新井浩文の危うさゆえか。俺の地元の高校もあんな感じで、窓が割れたりうるせえ野球部の先輩が来たり露骨なヒエラルキーがあったり、話を聞く限りじゃ「バカ」の一言で片付けられそうなところだったけど、こうやって蓋を開けてみれば鬱屈とした文学青年で溢れかえった進学校ともさほど変わらないのかもしれない。そこにはホモソーシャル的な友情があって、どうしようもなく個人的であるがゆえに息の詰まるような葛藤があって、そして死の予感がある。立場や経路はどうあれ多くの若者が最後に辿り着いてしまう、それが青春という名の袋小路なんだろう。ところどころに誇張があるにせよ、俺は本作をけっこうリアルな映画なんじゃないかなと思った。ただ、俺はやっぱりフィクションとはいえ若い人間が青春の蹉跌に蹴躓いてそのまま死の淵に転がり落ちてしまうのを見たくない。就職できなくても夢が実現しなくても甲子園行けなくても死んでほしくない。だから俺は校庭の花に全てを賭けていたし、それが無に帰したとき本当に落ち込んだ。映像の美しさに惑わされて言葉を慎むのはやめよう、だから敢えて言おう。俺はもっとどうにかなったんじゃないかと思う。
恋愛、友情、憧れ
なんでもいいけど男性へ強い感情を抱いたことのある男性が見るべき映画だと思います。
ブロークバックマウンテンよりも率直に男性への気持ちを描いてる作品
2022年1月26日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD
ー 松本大洋原作の映画としては「ピンポン」が好きだが、今作も原作同様にインパクト溢れる作品である。
短編集「青い春」の”しあわせなら手をたたこう”をメイン軸に””夏でポン!””ピース”の印象的なシーンを絡めて、豊田利晃監督が、ダークでヴァイオレンス&倦怠感溢れる原作の魅力を上手く映像化している。
随所で流れるTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTの激しいロックンロールナンバーも効果的である、と思った作品。 -
・役者としては、今よりももっと鋭利で冷たい雰囲気を「御法度」に続き、醸しだしている美しき松田龍平と、今作後もずっと不穏な雰囲気を纏っていた、新井浩文が図抜けている。
- 新井浩文は、罪を償い映画界に戻って来る日がいつか、来るのだろうか・・、とあのラストシーンを見て思ってしまった作品でもある。-
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あのラストシーンは圧巻だった。
あのインパクトと、疾走感。テンポの良さ。楽曲。素晴らしい。
キャラクターの魅力がすごかった。
松田龍平演じる九條。あの年齢でしか出せない繊細さと、透明感。純朴さ。そんでたまに狂気的に魅せる目。凄まじい・・・。
個人的なお気に入りシーンは、トイレの個室内での雪男と木村。
雪男、マジかっけえ。つええ。なにあいつ。
行き過ぎた0か100かな感じが堪らなくサイコで、鬱屈としてて、木村がまた真逆の阿呆だから、ああなるのも頷けるというか、むしろやったれって思った。
先生の一言が無性に響くね。
「花は咲くものです。枯れるもんじゃない。私はそう思うことにしています。それは大切なことです。」
わたしはどう思うことにするかな、と人生を考えるよね。もう高校生を過ぎた私的には、枯れることも含め、花だと思うことにしたいです。
また、あの先生が言うから余計にずしんとくるものがあるのよね、説得力というか。