劇場公開日 2002年6月29日

青い春 : 映画評論・批評

2002年6月17日更新

2002年6月29日よりシネマライズほかにてロードショー

かつての自分を見せられているようで

2、3年前までの邦画と言えば、作家性という言葉を都合良く使った監督のマスターベーション映画ばかり。正直、ウンザリしていた。が、今年は楽しい。「ハッシュ!」に「とらばいゆ」に、忘れちゃいけない「ミスター・ルーキー」。脚本や俳優同士の“競演”が見事なだけじゃなく、「お客さんに見て頂く」基本が出来ている。「青い春」もしかり。

一歩間違えば、観客を選別する映画になっていたはずだ。社会問題化している狂気に至る十代をテーマにした映画は、今までにもあった。しかし、松本大洋原作の力を借りたこの映画は、少年たちが事件を犯すまでの心のもがき、苦しみを丁寧に写し出す。

虚勢を張ることで仲間の中心になろうとする大田(山崎裕太)の気の小ささ。そんな大田を疎ましく思いながら拒絶できなかった雪男(高岡蒼祐)の優柔不断さ。そして、力では超えることの出来ない存在がいることを悟ってしまった青木(新井浩文)の気持ち。誰もが一度は経験したことがあるであろう感情だ。かつての自分を見せられているようで切ない。

ちなみに小泉今日子が売店のオバサン役で出演。自分たちのアイドルが「おばちゃん」だなんて……。こっちは現実を見せつけられているようで、これまた切ない。

(中山治美)

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