私は20歳

劇場公開日:

解説

60年代のモスクワを舞台に、当時のロシアの若者の姿を追った青春映画。62年に製作されたものの、フルシチョフによって検閲され、修正版が作られた。しかし65年のヴェネチア映画祭でこの版は審査員特別賞を得ると同時に、第1回ローマ国際映画祭で金賞を受賞。90年に監督自ら復元版を完成、日本がこの復元完全版の世界初公開となった。マルレン・フツィエフ監督は、セルゲイ・パラジャーノフと同じく、イーゴリ・サフチェンコ監督モスクワ国立映画大学で師事し、58年に第1作『二人のフョードル』を完成させた。その後、ミハイル・ロンムの遺作となった『それでも私は信じる』を共同で完成させるなど製作を続けている。脚本はG・ダネリア監督の『私はモスクワを歩く』で高い評価を得たゲンナジー・シバリコフ。ヌーヴェル・ヴァーグ的作風を彷彿とさせる撮影は、後にバレエ映画『アンナ・カレーニナ』(日本未公開)を監督し、直後に他界したマルガリータ・ピリーヒナ。音楽はN・シデリニコフが担当し、ロシア民謡とともに、『聖者の行進』を始めとするアメリカのジャズやダンス・ミュージックが使用されている。美術はイリーナ・ザハーロワ。出演は主役のヴァレンティン・ポポフ、本作出演後にミハルコフの「五つの夜に」に出演したスタニスラフ・リュブシン、マリアンナ・ヴェルティンスカヤなど、新人俳優で固められている。その中には後に一連のアンドレイ・タルコフスキーの作品に顔を覗かせるニコライ・グベンコも含まれている。また、まだ若々しいアンドレイ・タルコフスキー、ミハイル・コンチャロフスキーや、エフトゥシェンコ、アフマドゥーリナといった著名な詩人たちも姿を見せている。

1962年製作/ロシア
原題:ЗАСТАВА ИАЬИЧА
配給:シネセゾン
劇場公開日:1995年4月29日

ストーリー

モスクワの街を10月革命時の軍服を着た三人の若者が歩いていた。セリョージャ(ヴァレンティン・ポポフ)が除隊となって戻ってくると、既に友人(ニコライ・グベンコ、スタニスラフ・リュブシン)が結婚していることに驚く。セリョージャは発電所で働くことになる。そんなある日一人の女性をセリョージャは市電で見かけ、彼女の後を追うが、姿は見えなくなる。春になり、メーデーのパレードで再びセリョージャは市電で見かけた女性、アーニャ(マリアンナ・ヴェルティンスカヤ)を見つける。二人は知り合い、現代若手美術展覧会へ連れ立って行くが、そこにいる美術官員がアーニャの離婚訴訟中の夫であることをセリョージャは知る。セリョージャはアーニャの父親とも知り合いになるが、父親はアーニャが同棲することを認めようとしない。詩人たちが集う場にセリョージャはアーニャと参加したが、アーニャはそのとき家出したことを告げる。セリョージャは友人たちと久しぶりに会う。が彼らの生活は決してうまくは行っていない事を確認したまま三人は別れる。セリョージャの家で家族が本棚の整理をしていると、父親が戦場で書いた手紙を見つける。それを見たセリョージャの母親は当時のことを回想する。パーティに出た後、父親のいない世代であることを悩むセリョージャの前に死んだ父親が現れる。父親とセリョージャは、いつしか兵舎となっていた部屋で酒を酌み交わし、父親はそこにいた他の兵士と出て行く。しかし父親が行進しているのは現在のモスクワだった。再びモスクワの朝の通り。セリョージャと友人二人が仕事に向かうために歩いていた。

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