聖バンサン

劇場公開日:

解説

貧苦と病苦の不幸な人々救済に、一生をささげて一介の僧として栄達を望まなかった聖ヴァンサン・ド・ポールの伝記映画で、映画には素人のジョルジュ・ド・ラ・グランディエールが、全フランスに呼びかけ五万人の拠金を得て製作し、大ヒットとなった一九四七年フランス・シネマ大賞受賞作品。脚本は劇作家ジャン・アヌイとジャン・ベルナール・リュックが書卸し、アヌイが台詞を執筆、記録映画出身で、現在第一線の映画監督たるモーリス・クロシュが監督に当り、クロード・ルノワールが撮影、「偽れる装い」のジャン・ジャック・グリュネンワルドが音楽を作曲した。主演は「弾痕」「大いなる幻影」のピエール・フレネー、「厳窟王」のエーメ・クラリオン及びリーズ・ドラマール、ジャン・ドビュクール、ジェルメーヌ・デルモズ、ガブリエル・ドルジア等が助演する。

1947年製作/フランス
原題または英題:Monsieur Vincent
劇場公開日:1949年7月

ストーリー

一六一七年八月、幼王ルイ十三世がフランスを治めていたころ、ドムブ県の寒村シャティヨンに黒い大きな帽子をかぶった一人の僧が現れた。それはド・ゴンディ夫人のざんげ聴聞僧であったヴァンサン・ド・ポール師父で、都での職務を辞し、ひそかにこの寒村の教会の牧師に任命してもらって来たのであった。ところがペスト患者が出た村では、各戸が戸も窓も閉ざして、通りかかった師父に石を投げつけるという血迷いようであった、教会を訪れると聖像にはくもの巣がはり、聖水盤には牝鶏がすわっている有様、やむなく村の城主ベエニエ殿の館を訪れると、門を閉ざした中では宴会の最中であった。ペスト患者のことを尋ねると、それは老婆だか閉込めてしまったから危険はないとの答。師父は患者の家へ行き戸を破って入ると、老婆は死んで冷くなって居り、小娘が片すみにうずくまっている。師父は石の雨の中を小娘を助け出し、棺の用意を命じ、死人を葬った。遠くから見ていた村人は、漸くヴァンサン師父の大きな愛を了解した。しかし彼はシャティヨンに長くは居なかった。ある朝ド・ゴンディ夫人が迎えに来た。四百の村人を救うより、一万二千人の都民を救ってもらいたいというのである。かくてド・ポールの名は高まった。彼は組織を作るのに妙を得ていたので、彼の慈善事業は彼の意志に反して有名となった。その高名を慕ってモンミライユの村の僧ポルタイユが訪ねて来て、宮廷に就職したいとこうた。ヴァンサンは村へ帰って貧しい人々を救えと教えて帰らせた。摂政リシュリユー枢機卿は、ヴァンサンを王の軍船の徒刑撓ぎ手の主教誨僧に任命した。二隻の軍船の競漕が行われた時、師父は倒れて撓ぎ手に代って、自ら苦役を味った、その後ヴァンサンは職を辞し、何の後援もなしに貧民救済を始めたところ、ポルタイユ師父が来て協力したパリの公立病院で給食があった、宮廷の慈善婦人会が誕生したが、それは道楽にすぎない。一人の農婦が献身を申出たとき彼は初めて、貧しい人々を救うには貧しい人の手が要ると悟った。こうしてヴァンサンの真の愛から生れた貧困者救助は、フランスの三十年戦役介入などで人民疲弊した長い年月続けられた。売女や捨子が幾人も救われた。一六六〇年ヴァンサンは八十歳を越え、幼王ルイ十四世の母后で摂政のアンの顧問僧となっていた。彼に倣おうとする僧や尼僧に、慈善の難しいこと忍耐の要ることを説きつつ、一師父として世を去った

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