ラルジャン
劇場公開日:2011年6月25日
解説
「抵抗(レジスタンス) 死刑囚の手記より」「少女ムシェット」などの名作を残したフランスの名匠ロベール・ブレッソン監督が、ロシアの文豪トルストイの原作をもとに、偶然手にしてしまったニセ札を知らずに使ってしまったことから、一家惨殺事件を引き起こし転落していく人生を歩む青年イボンの姿を描いた。1999年に他界したブレッソン監督の遺作。日本初公開は86年。2011年、ブレッソンの名作をニュープリントで上映する「映画の國名作選III ロベール・ブレッソンの芸術」にてリバイバル。
1983年製作/85分/フランス・スイス合作
原題:L'argent
配給:紀伊國屋書店、マーメイドフィルム
日本初公開:1986年11月29日
スタッフ・キャスト
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2022年6月3日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD
一つの偽札から始まって、ブルーカラーの男性がひたすら堕ちていく物語だった。これが技巧派の小説だったらドミノ倒しのように影響が広がって、それが一つのシーンに収束する形でラストシーンを迎えると思うのだけれど、この映画は違う。並行して動いている人々の物語は、つながりそうでつながらないまま、男は「悪事」をひとつづつこなしていく。実存主義的なレアリズムがバチバチに効いている。映画の盛り上がりを楽しみにすると肩透かしを食らうけれど、胃袋の中に違和感が残り続けるようなそんな映画だった。
2021年8月6日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
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こんな難解な作品がカンヌの監督賞だなんて・・・ブレッソンの経歴を見ても80歳を過ぎてからの作品だし、評論家にはウケが良くても普通に映画を楽しむ者にとっては苦痛でしかない。町の雑踏とかの自然の音にはこだわりがあるようだし、冷たい空気感にはアンゲロプス風なところもあるんだけど、カットが一つ一つ短く、俳優の動きも絵画的だし表情も乏しいことから物足りない。
ストーリーが動くのはイヴォンが出所してから。安ホテルに泊まり夫婦を殺し、はした金を奪う。ここで『罪と罰』が原作なのかと気づくのだけど、そんな雰囲気なんて感じられない。さすがに老婆やピアノ教師を惨殺する(とはいっても、斧を振り上げるシーンのみ)ところで青年の狂気を知るのだが・・・
やはり「罪と罰」を読了してないせいか・・・読んでおいたほうがいいですね。
2019年2月10日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館
スクリーンで観なおし。
ギリギリまで切り詰めた映像や、編集、音声がとても良いです。
余計なものを排除し、人物よりも悪やお金といったことに集中して見る事ができます。
集中してみると、悪やお金のすぐそばには、愚かさや純粋さもあり、時に愛さえあったりもします。
そしてその愛さえも…
心理的な追い詰め方は、ベルイマンとは違えどキリスト教的な厳しさを感じます。
感情を刺激されてはいないはずなのに、ちょっとした何か(囚人の乾杯や、手紙の検閲など)でポロっと涙がこぼれてしまう。
稀有な作品です。
2014年6月28日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
パリの風景に響き渡る足音と車の音。それが全編に満ちていて、どうしたら良いのか分からない不安感の中に放り込まれます。金をめぐってジリジリと誰もが心を軋ませてる、そんな様子を淡々と描き続けます。
ラスト近くの赤色に彩られたシーンの緊迫感が忘れられません。
予想通りと言いますか、ブレッソン、体力使いますよ、この鑑賞体験は。