真紅の恋(1933)
解説
「黒騎士」「少年探偵団」のゲルハルト・ランプレヒトが監督した映画で、「南の哀愁」「アトランティド」のブリギッテ・ヘルムが「愛国者」のカール・ルドウィッヒ・ディールと共に共演するもの。脚本はゲオルグ・C・クラーレンがハーバート・ユットケと協力して書き、撮影は「今宵こそは」と同じくフリッツ・アルノ・ワグナーとロベルト・バベルスケが共同担当した。助演者は「第二の人生」のエドゥアルト・フォン・ヴィンターシュタイン、「黒騎士」のギュンター・ハダンク、「ボートの八人娘」のテオドル・ロース、「私と女王様」のユリウス・ファルケンシュタイン、「愛国者」のハリー・ハルト、エルンスト・デュムケ、オスカー・ホモルカ等である。
1933年製作/ドイツ
原題または英題:Spione am Werk
ストーリー
1912年頃の欧州各国は表面華やかな平和と儀礼に過していたが、裏面では互に相手を陥し入れんと激烈なスパイ戦が繰り返されていた。オーストリア参謀部将校ホムベルク中尉はその犠牲者だった。恋人であるマルケサ・カルジをイタリア国境まで送った時、重要な要塞機密書類が紛失し、捜査の結果書類は彼の部屋から発見され、マルケサがイタリアのスパイである事が判明した。自決を迫る拳銃が彼の手に渡された時冤を主張する彼は逃亡し、オーストリアから消息を絶った。千九百十四年大戦は勃発し、イタリアはオーストリアに宣戦を布告した。飄然とオーストリア参謀部に現われたホムベルグは再び冤罪を主張し、その復讐のためスパイとしてイタリアに潜入する事を懇願した。願は入れられ、直ちにイタリア将校に変装した彼は飛行機に依り国境を越え、パラシウトに身を托してイタリアへ潜入したが、炸裂する砲弾のため重傷を負い、イタリア将校として病院へ運ばれた。長い昏睡から覚めた彼の枕元にはマルケサが立っていた。そしてあの事件に自分は関係なくK77号というスパイの頭目の仕業だと告げ、早く逃げないと危険であると知らせた。しかしホムブルグはイタリア軍策戦の中心地羅馬へと潜入した。その地に於ける彼の探索の結果K77号の正体が判明した。彼は元イタリア生れと称するオーストリア将校でホムブルグと共に参謀本部の枢要の地位を占めていた男だった。しかも彼は今オーストリア軍の総攻撃の計画を嗅ぎ知ってその詳細をもたらして国境線に潜む部下を迎えに赴かんとしている。ホムベルクは直に活動を開始し、飛行機で正に出発せんとしているK77号を倒して飛行機を奪ってスタートした。復讐の時は遂に来たのだ、しかしこの時恋と義務に挟まれて、ホムブルグの本体を知りながら遂に密告し得なかったマルケサは憤った同僚のスパイの拳銃に倒されてしまった。二年間の冤罪も晴れ、復讐もとげたホムブルグの顔には喜びの色は見えなかった。敵のため恋に死んだマルケサ、手は下さぬが自分が殺したのではなかろうか?やがて総攻撃の日前線に真先に立って敵弾よ吾れを砕けと突撃したのは再び昔の中尉に戻ったホムブルグだった。
スタッフ・キャスト
- 監督
- ゲルハルト・ランプレヒト
- 脚本
- ゲオルグ・C・クラーレン
- ハーバート・ユットケ
- 撮影
- フリッツ・アルノ・ワグナー
- ロベルト・バベルスケ
- セット
- Erich Zander
- カール・ウェーバー
- 音楽
- C・ボッコ
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Michael von Hombergkカール・ルドウィッヒ・ディール
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Marchesa Marcella Galdiブリギッテ・ヘルム
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Colonel von Waldmullerエドゥアルト・フォン・ヴィンターシュタイン
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Captain Larcoギュンター・ハダンク
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Captain Romanelliエルンスト・デュムケ
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The Curio-Dealerテオドル・ロース
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Count Valentiパウル・オットー
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B 18オスカー・ホモルカ
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No.77Heinrich Heilinger
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The Watchmaker Ricciユリウス・ファルケンシュタイン
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1st Officerハリー・ハルト
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2nd Officerアンドレ・マットーニ