ワーテルロー(1928)
解説
マックス・フェルネル氏及びB・E・リュトゲ氏合作の脚本に基づき「蠱惑の街」「エックスプロージョン」のカール・グルーネ氏が監督した作品である。主なる出演者は「かつら」「ライン悲愴曲」のオットー・ゲビュール氏、英国名優ハンバーストン・ライト氏、「ポストマスタア」のヴェラ・マリノフスカヤ嬢、オスカー・マリオン氏、ウィリー・カイザー・ハイル氏、「アパッシュ」のシャルル・ヴァネル氏、「潜航艇C一号」のカール・デ・フォークト氏、ベティ・バード嬢などで撮影は「スピオーネ」「西部戦線一九一八年」のフリッツ・アルノ・ワグナー氏指揮の下にヨゼフ・ヴィルシング氏とH・カヴィチンスキー氏が当っている。(無声)
1928年製作/ドイツ
原題または英題:Waterloo
ストーリー
ナポレオン追放後、フリードリヒ・ウィルヘルム三世、グナイゼナウ、ハルデンベルヒ、英国使節ウェリントン将軍、フランス王代表タレーラン始め王侯、政治家によるウィーン会議は開かれた。然し議論區々、正に決裂の危機に瀕していた。時にナポレオンは遠いエルバの孤島に虎視耽々、昔日の勢力を奪取せんと機を窺っている。会議の中にも連合諸国の全権は社交的歓楽を求める人々に取囲まれていた。ナポレオンの愛人タルノウスカ伯夫人もその中に交っていた。彼女は部下が会場で耳にした凡ゆる報告をナポレオンに秘かに取ついだ。その最後の報告はナポレオンをして遂いにエルバ島を脱出せしめフランスに上陸するの動機を与えた。ウィーン会議をあきたらず思っていたブリュッヘル将軍は自己の所有地で会議の近況を聞き伝えると即刻、副官ロイトリンゲン少尉をウィーンに派して辞職を願い出たがウィルヘルム三世はこれを許さなかった。ロイトリンゲンはウィーンに於いて美しいタルノウスカ伯爵夫人の寵愛を得た。夫人は巧みに術作を用いて彼から探り得られるものを探ろうとしたが少尉の心は常に故郷に残してきた花嫁リーケのもとに通っていた。メッテルニヒ卿によって催された祝宴の最中、ナポレオンがフランスに上陸したという報知が舞い込む。やがてナポレオン撃退の命をうけ派遣されたネイ将軍が軍隊共々ナポレオンに降伏しナポレオン軍が凱歌をあげてパリに向かうとともに欧州諸国は共同戦線を敷きはじめた。英国軍の指令長官ウェリントンがブラッセルに乗り込んだ。ブリュッヘル将軍に国王から令状が降りる。ブルッヘルはプロシヤ軍の指令長官になると同時に希望によりグナイゼナウが参謀長に任命された。ナポレオン軍がまさに国境に侵入しようとする時ベルギーに於てウェリントンとブリュッヘルは会見を行い互に救援の約を交して別れる。 第一回の会戦はリグニー付近で行われたがナポレオン軍強大のためブリュッヘルは敵に勝を譲らねばならなかった。そしてウェリントンの軍隊と連合すべく彼の全軍はワブレ方面に後退する。この時、隊の一武官として活躍していたロイトリンゲン少尉はワブレで思わぬ喜びに出会う。同地の伯父を訪ねていた花嫁リーケが本営に彼を訪問して来たからである。だが翌日の晩、プロシヤ軍の後を追って姿を現したタルノゥスカ伯爵夫人によって少尉のこの純真な気持ちは破壊されて了う。ブリュッヘル将軍の寛容さに付け込んだ伯爵夫人はプロシヤ軍の陣営本部に宿を定めるとともにロイトリンゲンが重要書類を所持していることを嗅ぎつけ一室に誘い入れ手管を弄してこれを捲き上げる。密書は夫人の部下によってナポレオンに伝達されようとしたが途中この使者の逮捕によって失敗に終った。通知が洩れたという嫌疑は真先にロイトリンゲンの上にふりかかって彼は立ち所に拘留された。併しこの嫌疑を晴らすため愛人リーケの面前で、伯爵夫人との交渉を何として告白することが出来よう。彼が煩悶している時、罪状暴露の脱れ難きを知った伯爵夫人は毒を仰ぎ自殺して果てた。ロイトリンゲンは己が犯した過失を深く恥じた。彼は罪の贖いをすべく心に誓ってウェリントン軍に重大は報告書を齎らす危険な使命をすすんで買って出た。花嫁リーケとの悲しき生別。少尉が傷つける体でウェリントンの本営に達した時は既に戦闘中だった。ウェリントンは獰猛な敵軍に攻められて悪戦苦闘を演じていた。死傷者は塁々として山をなしウェリントンの部下は半ば斃れた。だがロイトリンゲンが齎らせる書面を読んでウェリントンはブリュッヘル軍の来援を信じて退却しようとはしなかった。深い沼地を通ってブリュッヘル軍は前進した。鉄の如き老将軍の意志の下に各自は最後の力を出した。かくて遂いにウェリントン軍の陣地に達したプロシャ軍はここに合流し、英独連合軍は必死の攻撃を開始した。ナポレオンは自己の守兵をも出してこれに応戦する。そして乾坤一擲の激しい白兵戦が演じられた。最後の決定的瞬間はナポレオン軍の敗走となり同時にナポレオンの運命が決せられた。強大全欧州を震撼せしめていた敵軍をかくして打破った時、ウェリントンとブリュッヘルの二将軍はワーテルローの戦場で互いに温かい握手を交わした。
スタッフ・キャスト
- 監督
- カール・グルーネ
- 脚本
- マックス・フェルネル
- B・E・リュトゲ
- 撮影
- フリッツ・アルノ・ワグナー
- ヨゼフ・ヴィルシング
- H・カヴィチンスキー
- セット
- ルドウィグ・レイバー
- 技術顧問
- Willy Reiber
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Friedrich Wilhelm ?ウィリー・カイザー・ハイル
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Napoleonシャルル・バネル
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Marshal Neyカール・デ・フォグト
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TalleyrandHelmuth Renar
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Fieldmarshal Old Fritz Bluecherオットー・ゲビュール
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Countess Tarnowskaヴェラ・マリノフスカヤ
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Her maidカミーラ・フォン・ホレイ
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Mrs. BlucherAuguste Prasch Grevenberg
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Lieut. Reutlingenオスカー・マリオン
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Rieke his brideベティ・バード
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GneisenauFritz Ulmar
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Hardenbergゲオルク・ハインリヒ
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First Grenadierフレッド・インムレル
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Second GrenadierFranz Scharwenka
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MetternichKarl Graumann
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General Wellingtonハンバーストン・ライト
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Count Lagardeウィル・ドーム