黒い天幕
劇場公開日:1956年8月3日
解説
第二次大戦中の北阿戦線で、ドイツ軍の急襲に敗れ傷ついた英軍兵士と、熱風吹く砂漠に黒色の天幕を張って住むヒワリ族の娘との恋物語を描いたもので、製作は「潜水戦隊帰投せず」のウィリアム・マッキティ。サマセット・モームの甥に当るロビン・モームが原案を書き、ブライアン・フォーブスと共同脚色、「暗黒大陸」のブライアン・デズモンド・ハーストが監督した。撮影は「二つの世界の男」のデスモンド・ディキンソン。主演は「ナイルを襲う嵐」のアンソニー・スティール、「潜水戦隊帰投せず」のドナルド・シンデン、イタリア映画界の新星で「高校三年」に出演していたアンナ・マリア・サンドリ。
1956年製作/イギリス
原題または英題:The Black Tent
配給:BCFC=コロムビア
劇場公開日:1956年8月3日
ストーリー
一九四二年、ロンメル将軍の独軍がアフリカに侵攻した頃の話。若い英軍大尉デーヴィッド・ホーランド(A・スティール)は砂漠の激戦で消息が絶え、本国の田舎にある宏大な邸宅と土地は弟チャールズ(D・シンデン)が相続した。ところが戦争が終って数年後、兵隊手帖を破った一枚の紙切れがトリポリの英領事館に舞い込んだ。それは百ポンドの約束手形としての仮証書、デーヴィッドの署名はあるが日付がない。チャールズは、この謎を解くためトリポリに向い、問題の紙片を持って現われたヒワリ族の酋長サレム・ベン・ユセフを訪ねた。彼等は砂漠に黒い天幕を張って暮している遊牧民。サレムは戦争中デーヴィッドが黒い天幕で暮したことは認めたが英軍部隊へ戻ったといい何かチャールズを警戒する様子。帰途チャールズはベドゥイン族の天幕に兄によく似た金髪の少年がいるのを発見。少年の母マブルーカ(A・M・サンドリ)に事情を訊くが彼女は良人が死んだとしか語らない。しかし彼女はデーヴィッドが遺した日記を通訳のベドゥイン人に手渡し、チャールズは砂漠の真中でそれを読む中、事情を知る。デーヴィッドは重傷の身で砂漠をさまよう中にサレムの娘マブルーカに救われ黒い天幕で看護を受けた。健康を取り戻した彼は部隊へ戻ろうとしたが独軍カイロ占拠の報に帰隊を断念、彼に恋するマブルーカと結婚し幸福な数週間は過ぎた。この間、英軍はエル・アラメインの激戦でロンメル軍を撃退。情報に接したデーヴィッドは帰隊を決意。マブルーカには生れる子供に財産相続を誓い、サレムに百ポンドの仮証書を渡したのである。日記はここで終っていた。チャールズは黒い天幕に引っ返しマブルーカと父親サレムから日記の続きを聞き出した。サレムを説得、ゲリラ隊を組織して独軍突破を計ったデーヴィッドは途中、敵の輸送部隊と遭遇、手榴弾で奇襲しトラックを奪ったが敵弾に生命を失った。数カ月後、彼の子が生れダウドと名付けられた。そして戦争は終った。一切を知ったチャールズは兄の財産はダウドに相続さるべきだと言った。だがダウドにとって黒い天幕の生活が最も幸福だとマブルーカもサレムも考えた。事の決定権を与えられたダウドは父の遺言状を火にくべ、黒い天幕で一生を過す意志を示した。これを見たマブルーカの頬には涙が流れた。
スタッフ・キャスト
- 監督
- ブライアン・デズモンド・ハースト
- 脚色
- ロビン・モーム
- ブライアン・フォーブス
- 原案
- ロビン・モーム
- 製作
- ウィリアム・マッキティ
- 撮影
- デスモンド・ディキンソン
- 編集
- Alfred Roome
- 作曲
- ウィリアム・オルウィン