愛欲の港

劇場公開日:1951年10月2日

解説

スウェーデン映画界の第一線にあるイングマール・ベルイマンが脚色・監督した一九四八年作品。オーレ・レンスベルイの原作で、撮影はグンナール・フィッシャー、音楽はエルランド・フォン・コックの担当。主演はニーネ・クリスティーネ・イェンソン、ベングト・エークルンド。以下、ベルタ・ハル、エリック・ヘル、ミミ・ネルソン、ビルギッタ・ヴァルベルイらが共演する。

1948年製作/100分/スウェーデン
原題または英題:Hamnstad
配給:北欧映画=東宝
劇場公開日:1951年10月2日

あらすじ

船員ヨスタ(B・エークルンド)は八年間の海上生活に別れを告げ、イエートボルイの港に来て、沖仲士の仕事をみつけた。彼は偶然、港に投身自殺しようとした少女ベリト(N・C・イェンソン)を救い、或夜ダンス・ホールで再会したことから、親しくつき合うようになった。彼女は今女工をしていたが、感化院出の暗い過去を持つ少女であった。恋におちた二人は、週末に海辺のホテルへ出かけ、そこでベリトは感化院時代の友人イェルトルウド(M・ネルソン)に遭って、彼女から堕胎の費用をせがまれた。やむなく金を貸したベリトは、これで過去の一切が明るみに出たことから、ヨスタとの恋も終りを告げたと思いこみ、彼の許を去った。ヨスタもはじめて知った女の過去に、はげしくおもい悩んだ。イェルトルウドはベリトに連れられて堕胎医に行ったが、手術は失敗して死んでしまった。このためベリトは再び警官に捕えられたが刑務所行きの恐ろしさから彼女は一切を自白して釈放された。悩みつづけていたヨスタは、仲間のスコオネの老人(H・アアリン)から諭されて彼女をうけいれる決心がつき、港での二人の新生活をはじめたのであった。

全文を読む(ネタバレを含む場合あり)

スタッフ・キャスト

全てのスタッフ・キャストを見る

愛欲の港 の関連作を観る

powered by U-NEXT

映画レビュー

3.5潔く前を向くことを決めた二人。

2025年7月29日
Androidアプリから投稿

イングマール・ベルイマン監督作品 1948/スウェーデン
『愛欲の港』という邦題はひどすぎて、悲しくなった。わたしはベルイマンのものだから観てみたが、こんな邦題では広く皆に観てもらえないだろうなと。題に惹かれて観た者も見当違いで逃げ出すだけ。せっかく、古い映画ながら中味は意外に健全でわかりやすく、テーマは現代にも通用しそうな良い内容なのに。

自分がギョーテの立場になったら?と考えると、やはり悩んだり逃げ出すかもしれない。(しかし、そもそも相手によるだろう…)
素直に二人の潔い決断に感動した。失敗した状態であっても仕切り直せばいい。今後の人生でもって過去を少しずつ精算し、更にその上に積んでいけばいい。

やるせない悶々とした状況から抜け出して、急にググッと上向きに上がってくる構成がよいと思う。描写では語るが、言葉では多くを説明しない。だから自然な形で作品に入っていきやすい。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
あまおと